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船舶塗料の有機スズ化合物でヒラメ、メスからオスへ
http://www.asahi.com/science/update/0809/003.html
船舶の塗料などに使われる有機スズ化合物「トリブチルスズ」(TBT)に、メスのヒラメをオス化する環境ホルモン作用のあることが、九州大学大学院の大嶋雄治助教授(水産生物環境学)らの研究でわかった。TBTは微量でメスの巻き貝をオス化するが、脊椎(せきつい)動物で同様の働きが確認されたのは初めて。
大嶋助教授らは、ホルモンの操作でメスしか発生しないようにしたヒラメの稚魚を使い、エサ1グラム中にそれぞれ0.1マイクログラム、1マイクログラムのTBTを混ぜて飼育。その結果、0.1マイクログラムの群では26%、1マイクログラムの群では31%で、卵巣の代わりに精巣が形成されていた。また、筋肉1グラムから、それぞれの群で、平均0.018マイクログラムと同0.159マイクログラムのTBTが検出された。
また、同助教授らが01年から02年にかけ、西日本の小規模な港湾20カ所の海底の泥を分析したところ、19地点でTBTが検出された。濃度は最大で泥1グラム中20マイクログラムに達した。
TBTは60年代半ばから船底や漁網にフジツボなどが付着するのを防ぐのに使われたが、80年代から欧米で規制が進み、日本も90年代初頭までに造船業界は使用を中止。
しかし、多くの国で現在も大型船を中心に使用されている。極めて微量で巻き貝をオス化するとされ、日本海や瀬戸内海で90年代にバイ貝などの漁獲が激減した原因とみられている。
環境省は環境ホルモン作用が疑われる65の物質群にTBTを挙げるが、「メダカなどの実験では魚類に対する明らかな環境ホルモン作用は認められない」としている。
国際海事機関(IMO)でもTBTについて議論され、船舶への使用を全面禁止する条約が08年にも発効する見通しだ。大嶋助教授は「未加盟国での使用や、すでに環境中に蓄積された分の監視などの措置を急ぐべきだ」と指摘している。
TBTによる巻き貝のオス化を調査している堀口敏宏・国立環境研究所主任研究員の話軟体動物の巻き貝に起こった現象が、脊椎動物でも起こりうることを示した点で画期的だ。エサに含まれる量としてはかなり高い濃度の実験なので、同じことが現実の自然界で起きているかどうか、慎重な調査が求められると思う。規制が進んだはずなのに一部の港湾でこれだけ高濃度の地点が見つかるということは、TBTの不正使用が続いている実態を示唆するもので、対策の徹底が必要だ。