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(回答先: 【ついに偉業達成!】 ウナギの稚魚育てることに成功 養殖研、完全養殖に道 [朝日] 投稿者 ファントムランチ 日時 2003 年 7 月 13 日 15:16:27)
写真:ニホンウナギの幼生(レプトケファルス)
★7月10日のニュースによると水産総合研究センター養殖研究所は、ついにニホンウナギを孵化からシラスウナギの段階へと育て上げることに成功しました。これは生物学的にも、水産養殖技術としても、また日本の食文化保護の観点からも非常に価値ある偉業です。
今までウナギの完全養殖は確立されておらず、全て沿岸部で獲れる稚魚、シラスウナギを成魚まで育てるというもので、今回の成功により初めてウナギの完全養殖が可能になったことになります。ウナギの生態調査から始まった日本での少なくとも30年来の地道な研究成果です。ちなみにこれは最近の遺伝子操作やクローン技術を全く使用していません。むしろその対極の価値観を示すものとしての意義があるとも言えるでしょう。
これまでの研究の長い道程はたぶん近々、『プロジェセクトX』のネタになりそうな気もしますが、4年前に放送された、『たけしの万物創世記』という番組で一時間まるごと「ウナギ」をテーマに取り上げており、「ウナギ」について研究者への取材を含め、その謎の多かった生態と完全養殖に向けた研究について詳しく解説していました。以下にその内容の要点をビデオから書き取ってみます。
■たけしの万物創世記 「ウナギ」
≪うな丼が食べられなくなる日≫ ニホンウナギ絶滅カウントダウン
1999年6月22日(火)放送
◆近年のウナギに関する概況
近い将来ウナギが食べられなくなる日が来るかもしれない。「ウナギは養殖できるからそんなことはないだろう」と思う人も多いだろうが、現在のところ卵からウナギを育てることは技術的に不可能で、養殖ではすべて沿岸部で獲れるシラスウナギという稚魚の段階から成魚にまで育成しているにすぎない。
ニホンウナギ(Anguilla japonica)は日本のほかに中国、台湾、朝鮮半島に棲息している。世界のウナギは16種類、その大半は熱帯に分布しており、温帯ではニホンウナギ、ヨーロッパウナギ、アメリカウナギの3地域のみ、日本にはオオウナギという種類も存在するがこれは大味でほとんど食されない。
スーパーに並ぶ低価格のうなぎ蒲焼は中国や台湾の工場からの輸入品であるが、問題は中国や台湾でも同じようにシラスウナギの漁獲量が激減しているということである。代りにヨーロッパウナギの稚魚を輸入して養殖しているが、いずれ世界的にウナギの減少が深刻な情況になるかもしれない。
ウナギの世界総生産量は年間約20万トン、日本の消費量は13万トン。
一日一人当たり4尾 消費金額4800億円の大産業である。
日本の消費量が世界に占める割合は ウナギ60% カツオ・マグロ20パーセント エビ12%
約4000年前の縄文貝塚からウナギの骨が発見されていることから、日本でウナギを食べる歴史は古い。あくまで目安として、
ビタミンB1は、1位うな丼 2位カツ丼 3位天丼 4位ステーキ
ビタミンAは、卵の10倍 チーズの5倍
ビタミンEは、牛ロースの8倍 チーズの6倍
良質な脂肪は動脈硬化、高血圧、心筋梗塞を防ぐために効果的である。
日本でのウナギの養殖は1879年(明治12)に深川で開始、エサは粘土状の魚粉の塊を与える。90年代後半からシラスウナギの漁獲量が下降をたどり98年では従来の三分の1に減少、シラスウナギの価格は1kgあたり約100万円を超え、金に匹敵するほどの相場となった(一匹あたり約200円)。このままでは養鰻業自体が成り立たなくなると養殖業者である大石敏弘さんは言う。
◆ウナギの生態
ウナギを食する長い歴史に比して、その生態、とくに繁殖についてはごく最近まで全くの謎に包まれていた。本格的な研究によりウナギの幼生である体調1cmほどの葉っぱの体型をしたレプトケファルスが発見されたのが1967年のことである。
ウナギは一般に川の中上流域に棲み、夜行性なのであまり目に付かない。川に棲みついて8〜12年するとウナギの成魚は繁殖のため川を下る。そして河口付近で体を海水に慣らしその後、遥か遠い海原を目指して旅を始める。
いったいウナギは海のどの辺りを繁殖地にしているのか、1973年から本格的調査が開始された。東京大学海洋研究所の白鳳丸、鹿児島大学の敬天丸が太平洋上の広い範囲で調査を実施した。その方法とは太平洋上で広く海中からウナギの稚魚のサンプルを採集して分布図を作成し、最も若い稚魚が多く存在する海域から繁殖地を絞り込むという、膨大な時間と地道な努力が必要な作業だった。
その結果1991年にウナギの繁殖地は日本から遥か南のマリアナ諸島西の海域だという結論が発表された。この西マリアナ海嶺にはスルガ、アラカネ、バスフィンダーという3つの海山があり、その深海で繁殖が行われていると推定されている。繁殖シーンは観測されていないが、メスは700万から1270万もの卵子を放出する。レプトケファルスの耳の奥にある耳石と呼ばれる部分を拡大してみると年輪のような輪が見える。これは一日毎にその輪の数を増やすので、それをもとに逆算すると仔魚が生まれるのは6〜7月の新月の日であることが判明した。
ウナギの生命力の神秘ともいうべき大回遊が明らかになったわけだが、ウナギはいったい何のために、何を目印にこのマリアナ諸島西の海域に集まって来るのか?ウナギの祖先の誕生はおよそ一億年前、この大回遊は約4000万年前からといわれ、始めは熱帯地域の小規模なものだった回遊が、次第に北へと棲息域を拡大し長い年月をかけて現在の日本ルートが形成されたと考えられる。ウナギの成魚たちはこの海山の磁気異常を感知し、目印にしているのではないかと思われる。
では泳ぐ力があまり無いこの仔魚はどうやって日本までたどり着くのか?葉っぱの形となったレプトケファルスはまず北赤道海流に乗って西に移動する。そのまま行くとミンダナオ海流によって赤道付近に流され死滅してしまう。日本に行くためには黒潮に乗り換えたいところだが、レプトケファルスは夜になると海面近くに上昇する習性をもっており、海面附近では地球の自転によるブレーキの力と、東から吹く貿易風のフォローの力の作用を受け、西へ流されつつも北の方へと吹き寄せられのだという。
日本近海に到達してもそのままでは北に流されて死滅してしまう。でもすでにレプトケファルスはシラスウナキに変態しているので時速4kmという黒潮の流れから脱出できる泳力が備わっている。河口付近で淡水に身を慣らし、さらにクロコウナギに成長し上流を目指す。激流に逆らい滝をも上り、川を遡上した先にはほとんど天敵のいない棲みやすい環境が待っている(はずだ)。
しかし近年なぜシラスウナギが激減しているのか?その理由の第一は乱獲。第2は河川環境の悪化(開発や汚染)。そして第3は地球規模の気候変動(温暖化で仔魚の行方が南にズレてしまう可能性)が挙げられる。最近ではアメリカでウナギ20万匹大量死というニュースもあったそうだ。
◆ウナギの完全養殖を目指した研究
ウナギの生態が次第に明らかになる中、稚魚からではなく卵からウナギを育てる研究がこの30年来続けられてきた。だがそれは困難の連続だった。最初の壁はウナギが繁殖行動をとらないので卵も産まないということだった。人工的に繁殖地に似た環境を作り出すことはほとんど無理がある。いやそれ以前に、ウナギが体内に精子や卵子を作ることさえないので人工授精すら出来ない情況だった。
1973年、ウナギの人工孵化に初めて成功。これはウナギのメスに、サケの脳下垂体から抽出したホルモンを注射して卵子を作らせ、オスにヒトの胎盤から分泌される生殖腺刺激ホルモンを注射して精子を作らせる、という方法が開発された成果であった。そして取り出した卵子に精子をかけて受精させた。
やがて水槽では無数の透明な受精卵の内部で細胞分裂が起きはじめ、受精後わずか36時間で孵化。卵から透明で微小なオタマジャクシ状の仔魚が元気に跳び出す。一週間で5mmほどの細長い体型となり頭部の形もはっきりしてくる。この孵化の成功によってレプトケファルスより前のプレレプトケファルス(葉っぱの形になる前の透明で細身な体型)という段階があることが分かった。
ところがそこでまた大きな壁にぶつかった。仔魚がエサを食べずに全滅してしまうのである。多くの研究者によって様々なエサが試されたが失敗に終わった。そしてその後約20年間、研究にこれといった進展は無かった。プレレプトケファルスからレプトケファルスへの壁がどうしても越えられなかったのだ。
90年代に入って、水産庁養殖研究所主任研究官である田中秀樹さんがこの研究に光明をもたらした。1993年からウナギの仔魚に最適なエサを見つけるための実験を重ねるが、仔魚たちはどんなエサも受け付けず数日で全滅してしまう。そんな状況にもあきらめず多種多様なエサを与えて試し続けた。
1994年2月4日、一匹のプレレプトケファルスがエサを摂取しているのを発見。それはワムシという微生物だったが、ワムシをエサとしてプレレプトケファルス群に与えても、それを摂取する頻度と個体数が少なすぎて程なく全滅。別のエサを考えなくてはならなかった。1995年までの最長生存は18日間であった。
1996年、サメ卵の粉末を与えたところ、プレレプトケファルスは盛んに摂取するようになり、成長を確認。27日間生存させることに成功。多くの研究者が試行錯誤を繰り返した中で、成長が確認されたのは初めてのケースだった。
1999年、250日以上の飼育に成功。ついにプレレプトケファルスから葉っぱの体型をしたレプトケファルスへと変態した。番組放送の1ヶ月前だった。その後も次の段階であるシラスギウナへ成長させるための研究が続けられた。シラスギウナまでの飼育が実現すれば、あとは従来の養殖技術の段階と連結し、完全養殖が可能だということが実証される。
一方こうした中、1999年のシラスウナギの漁獲量は、いちおう1998年の3倍、つまり従来の量を記録した。しかしこれも一時的な現象で近年を通して平均的に減少傾向にあり、年によって不安定になっているという。ひと昔前までは小川や用水路などで石をひっくり返せば、メッセと呼ばれるクロコウナギがいた、そのような環境が戻ってくればいいのだが、と大石さん(前出の養殖業者)は語る。
関連
【ついに偉業達成!】 ウナギの稚魚育てることに成功 養殖研、完全養殖に道 [朝日]
http://www.asyura.com/0306/health5/msg/242.html
投稿者 ファントムランチ 日時 2003 年 7 月 13 日 15:16:27:oswAM6lqBSCW6
水産総合研究センター養殖研究所
http://www.nria.affrc.go.jp/unagi/pres-unagi.htm
東京大学海洋研究所・塚本研究室
http://www.dobis.ori.u-tokyo.ac.jp/monthrep/tsukamoto_lab/tsukamoto_lab.html
ウナギの完全養殖実現まであと一歩 田中秀樹
http://www.nria.affrc.go.jp/news43/43-4.HTML
うなぎの話
http://www5.ocn.ne.jp/~iunagi/hanasi/hanasi.htm
万葉集: 鰻(うなぎ)を詠んだ歌
http://www6.airnet.ne.jp/manyo/main/animal/unagi.html
江戸食文化紀行 - 江戸の美味探訪 - うなぎの蒲焼 [歌舞伎座HP]
http://www.kabuki-za.com/syoku/bkindex.html
世界のマグロ、50年で9割減…カナダの大学が研究 読売online
http://www.asyura.com/0304/health4/msg/457.html
投稿者 小耳 日時 2003 年 5 月 15 日 14:59:43:
稚アユの採捕ゼロ 【2003年3月26日付掲載記事】 【紀伊民報】
http://www.asyura.com/0306/health5/msg/198.html
投稿者 hou 日時 2003 年 6 月 21 日 19:51:40:HWYlsG4gs5FRk