★阿修羅♪ 現在地 HOME > 掲示板 > 国家破産28 > 657.html
 ★阿修羅♪
次へ 前へ
年金改革:「坂口試案」の課題   −毎日新聞
http://www.asyura.com/0306/hasan28/msg/657.html
投稿者 怪傑 日時 2003 年 9 月 06 日 03:53:59:QV2XFHL13RGcs

(回答先: 年金制度改革:“消費税抜き”の財源論議は無理だ  − 9月6日付・読売社説(1) 投稿者 怪傑 日時 2003 年 9 月 06 日 03:10:39)

坂口力厚生労働相が5日、将来の年金給付水準を「現役時代の平均所得の50%台半ば」とする切り札として、年金積立金(現行147兆円)を取り崩して給付に充てる「坂口試案」を公表した。厚労省が10月上旬にも示す年金改革案の柱で、年金削減を主張する財務省の機先を制した形だ。しかし、試案は、基礎年金の国庫負担を2分の1に引き上げることが大前提。引き上げに難色を示す財務省が首を横に振れば、「50%台半ば」も絵に描いたモチに終わりかねない。【吉田啓志、堀井恵里子】

 ■次世代のために積立金取り崩し

 「積立金は次の世代への贈り物。人口構成が変わる世代のために使うことに大きな反対はないと思う」。坂口氏は5日の会見で、将来不安に備え積立金保持を当然視してきた厚労省の方針転換について、こう言ってのけた。「50%台半ば」に執念を燃やす坂口氏に、同省内には積立金維持へのあきらめムードが漂う。

 4日の公明党年金制度調査委員会。約100年かけて積立金を取り崩すことを説明する坂口氏に、所属する同党内からも「タコが足を食うようなものではないか」との疑問の声が出た。これに対し坂口氏は「100年後なら、(人口がピークの)団塊の世代もその子どもも年金受給を終えている」と切り返した。

 坂口氏が省内の慎重論を抑え、積立金取り崩しに踏み込んだのは、「水準が5割を切れば年金とは呼べない」との信念からだ。積立金を維持する従来の厚労省案なら、出生率(02年1・32)が1.10に低下すると、現在の年金水準(59%)は将来47%台に落ち込む。それが坂口試案なら、51.2%を維持できる。

 ただそれも、基礎年金の国庫負担割合が数年内に2分の1へ引き上げられることが前提だ。現行の3分の1のままなら、年金水準は43.7%に落ち込んでしまう。

 00年の年金法改正では、同法の付則に2分の1への引き上げが明記された。だが、約2.7兆円の財源が必要になり、小泉純一郎首相が「在任中は消費税を上げない」と繰り返す中で、財務省は「財源はどうすんの」(主計局幹部)と冷淡だ。

 坂口氏は5日、折衷案として5年で引き上げる案も示唆し、政治決着に期待をつないだが、自民党も「2分の1問題」には答えを見いだせていない。8月29日の同党厚生労働部会幹部会で、丹羽雄哉元厚相は坂口試案に触れ、「積立金という財源があるじゃないか、との空気が生まれる」と指摘し、試案が国庫負担引き上げの障壁になりかねない、との懸念を示した。

 ■医療介護含めた上限にこだわり

 「医療、介護保険のムダを省くなどで34%を2%圧縮し、少なくとも32%に収めたい」。坂口氏は5日の会見で、試案の一環として2025年の社会保障負担を年収の32%(労使折半、現行約23%)に抑える意向を表明した。「年金が中心だが、一つの財布から(社会保障費)全体にどれだけ出さねばならないかという話だ」と述べ、上限の「32%」も試案の一部であることを明言した。

 社会保障費全体の負担の上限を公表することに厚労省は消極的だった。

 8月14日、同省10階の大臣室で、官房や年金局の幹部らが坂口氏を囲み、試案を詰めていた。坂口氏は年収に占める厚生年金保険料率の上限を20%とするだけでなく、医療や介護などの保険料率も合わせ、全体の上限を3割程度とすることを試案に盛り込むことにこだわっていた。

 「年金20%▽医療10.3%▽介護2.1%▽雇用1.6%▽計34%」。こう記されたペーパーが坂口氏に手渡された。事務方が25年の各保険料率を試算したものだった。

 「しかし大臣、上限は発表しない方が賢明です」。幹部は、坂口氏にクギを刺した。年金は財政が悪化しても給付額削減で保険料率の上限を守ることができる。だが、医療や介護はそうはいかない。医師会を無用に刺激することにもなる。

 調整の末、最終的に保険料全体の上限が、坂口試案に書き込まれることはなかった。だが、「数字の扱いは大臣の腹一つだから……」との幹部の不安は的中し、坂口氏は5日の会見で「上限」に言及した。

 厚労省幹部は会見の際に、上限設定の前提として「賃金上昇率1%、少子化が改善すれば」と加えるように坂口氏に要望していた。同省では、保険料率を2%圧縮できる根拠となる試算はしておらず、32%は「腰だめの数字」(幹部)。省内からは、早くも「努力目標に過ぎない」と予防線を張る発言が漏れる。

 ■政争で議論休戦、痛み語らぬ首相

 自民党総裁選や次期総選挙が迫る中、国民生活に関係の深い年金改正問題が身動きできなくなってきた。年金水準をどの程度引き下げるかをめぐって厚生労働、財務両省が対立を深めているうえ、調整役として8月初めに発足した古川貞二郎官房副長官らの検討会議も本格議論に入れない状態だ。総裁選は「小泉改革」の是非が争点だが、「痛み」の中核である年金問題は、その表舞台から遠ざかる一方となっている。

 小泉首相は総裁選の公約で、年金改正の具体論には踏み込まず、坂口試案も念頭に置きながら「検討中」で乗り切る腹づもりだ。政府内がまとまらない現状では「土俵に上がる前に行司が勝敗を決める」(首相周辺)ことになりかねないためだ。

 改正の方向を左右する財源問題でも、首相は「(消費税は)在任中は引き上げない」と議論にフタをしてしまっている事情もある。

 国民生活に深くかかわる問題を明確に打ち出せない首相に対し、総裁選の対立候補、藤井孝男元運輸相は公約に「国庫負担を引き上げ、財源は消費税も含めて議論」と盛り込んだ。藤井氏は「真正面に取り上げないと無責任」と総裁選の争点に浮上させる構えだ。

 少子高齢化が進み、年金改正は「保険料の引き上げと給付の抑制」の方向が避けられない。しかし、「しわ寄せ」を誰がどの程度負うのかという「負の分配」(内閣府担当者)しか選択肢がない現状は、首相から語られず、内閣府内からも「厳しい年金事情を説明し、理解を求めるのが本来の姿」という声が漏れている。

◆ことば=基礎年金

 20歳以上60歳未満の全国民に加入義務がある国民年金は、給付時には基礎年金と呼ばれる。自営業者らは月1万3300円の保険料を払い、サラリーマンは厚生年金保険料の一部が国民年金保険料に充てられる。給付は定額で、満額なら月6万6000円。給付費用の3分の1を国庫負担しており、01年度は約5.5兆円が投入された。

[毎日新聞9月6日] ( 2003-09-06-01:11 )

 次へ  前へ

国家破産28掲示板へ



フォローアップ:


 

 

 

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。