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「アカデミー賞で言えば演技賞だな。判決を受けて終わり……」
5日朝、堀内派の古賀誠・前幹事長は、こう漏らした。野中広務元幹事長と組んで小泉包囲網を広げようとしたが、橋本派と同様、堀内派も自主投票になった。「権力の近くにいて統治責任を果たす」が信条だった古賀氏が、小泉再選ムードの中、「反小泉」で動いたのはなぜか。師匠格の野中氏に気兼ねしたのか。「演技賞」というつぶやきは、自分の立ち回りに向けたものか、それとも堀内光雄総務会長に対してか、意味深長だった。
正午、堀内派総会。柳沢伯夫事務総長代行がペーパーを読み上げた。
「本会(堀内派)からいずれの会員も立候補しないことにする。丹羽雄哉君は将来、本会を代表して国政の中枢を目指し、研鑚(けんさん)してもらう。会員は情勢を勘案して立候補者の選択を行う」
表向き異論はなかったが、派内に確執は残った。キングメーカーを狙った古賀氏の影響力に陰りが出ることが予想される。古賀氏の前に立ちはだかったのは、実は森喜朗前首相だった。
話は8月7日にさかのぼる。この日、森氏は山梨県富士吉田市のホテルで堀内氏と会った。
「私は立候補するつもりはない。このままだと私が『反小泉』の統一候補にされてしまう。どうにかならないか」
堀内氏は森氏に、そんな心境を打ち明けた。総裁選で人気の高い小泉純一郎首相に勝つ自信はなく、小泉政権下で自分を生かそう……。堀内氏はそう考えていた。森氏はこの経緯を首相に報告。2週間後の20日、首相は外遊先のワルシャワで記者団に「反対勢力でも閣僚に起用する」と語る。堀内氏が不出馬の意向を表明したのが23日、さらに進んで首相支持を宣言したのが29日――という流れだ。
小泉首相と堀内氏の間に密約があったのでは、という観測が出た。
記者「ポスト狙いというウワサがあるが」
堀内氏「まったくありません。仮の話はよしなさいよ。まったくそんな失礼な話はない」
記者「ポスト提示があった場合は」
堀内氏「そんなこと、これからの話でしょう」
ふだん、紳士然とした堀内氏が珍しく声を荒らげた。
■ ■ ■
高村正彦元外相は5日午後4時半、自民党本部で記者会見して出馬を正式に表明、「反小泉」の戦列に加わった。
藤井孝男元運輸相は南七子(ななこ)夫人を伴って、東京・代沢の故・竹下登元首相邸、王子の故・小渕恵三元首相邸を訪れた。
「私が出ることによって、竹下総理が手塩にかけて作ったグループの対応が分かれたことは申し訳ないと、ご霊前におわびした」という。
亀井静香前政調会長は全国建設業協会、日本医師会など13の業界団体の事務所を回り、支援を要請した。
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この日、河野グループは小泉支持を決めた。河野洋平・元外相は午後3時から、グループの総会であいさつした。
「ベストの候補を見つけることができない以上、ベターな候補として小泉氏を支持することが適当と考えた」
午後、小泉首相は官邸に森、山崎、旧加藤の主流3派の中堅幹部9人を呼び、情勢を聞いた。その場で、こんなやりとりがあったという。
――国会議員に広く支援を求めるため、首相の気持ちを手紙にしていただけませんか。
首相「いいよ、そんな面倒くさいこと」
――じゃあ、どうするんですか。
首相「政策をもって回ればいいんだ。月曜日(8日)に出すから。当選回数別に(自民党の)全議員に会うよ」
首相は青木幹雄参院自民党幹事長の自分への支持を、菅直人・民主党代表らに批判された点を記者団に聞かれた。「人の批判をしても民主党の支持率が上がるわけじゃないんだけどね」。首相の切り返しはきつかった。
今や隠れもない首相の支援者となった青木氏はこの日、周辺に「参院から藤井さんに投票するのは(42人のうち)2人ぐらいだろう」と自信たっぷりに語り、こうつけ加えた。「私が(小泉首相の)推薦人に名前を出そうと思っている」
[毎日新聞9月6日] ( 2003-09-06-01:14 )