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【パリ=池村俊郎】欧州各国で記録的な猛暑と乾燥が続いている。今週、パリでは20世紀に1度だけ記録した観測史上最高の40度に迫る39度、ロンドンでも35度と、今年の最高気温に達した。
ポルトガルやスペインでは大規模な山林火災が続いている。高温で高齢者が死亡したり、農産物や家畜にも被害が広がっている。欧州では過去150年で5回しか起きていない異常熱波という。
フランスでは6月から断続的な猛暑が続いてきた。今回の熱波が最も強く、7日、中部ブルボンランシなどで41度を超え、パリ郊外クレテーユでも6日に40度を記録した。
関係官庁は日中の外出を控えるよう呼びかけ、公務員には背広なしの出勤を勧めている。パリの気温は夜も30度を割らない。ある救急医は「65歳以上の高齢者は要注意」と話す。観測史上、パリの過去最高気温は1947年の40・4度。来週初めまで続くと予測される熱波で、56年ぶりに40度を超す恐れがある。
ロンドンでもトラファルガー広場など名所の噴水に、観光客らが涼を求めて殺到。「英国の過去最高37・1度を更新しそう」という暑さだ。線路が曲がる恐れから、英国や欧州大陸各地では列車の運行中止が相次いでいる。各地で気温40度以上を記録しているスペインでは、7日までに高齢者16人が衰弱死した。
この猛暑はフランス、スペイン、イタリアから英国、ドイツ、さらに東欧にまで広がる。気象専門家は「サハラ砂漠上空の高温乾燥帯が北へ進出し、地中海の真上に居座る形になった」と説明する。アルプス山脈で高さ4200メートルの雪が解ける異常事態も発生した。
山林火災も猛威をふるっている。先週以降10万ヘクタール以上を焼失、焼死者が15人に達して非常事態を宣言したポルトガルは、近隣諸国に緊急支援を求めた。火災は7日までにようやく鎮火しかけている。
英オックスフォード大学のニック・ブラウン教授は「アカシアなどパルプ産業用の燃えやすい樹木に植生を変えたことも火災の強さに影響した」といい、人災の側面を指摘する。
フランスやドイツでは乾燥と高温のため家畜や農作物の被害が大きい。イラク戦争の余波で米国人が欧州旅行を避けていることも手伝い、リゾート地の南仏コートダジュールでは20%以上の減益という。逆にミネラルウオーターや扇風機など一部商品の売れ行きは跳ね上がった。しかし今回の熱波は、過去3か月の経済成長率が前年同期比わずか0・1%というユーロ圏12か国の経済に、大きな打撃を与えそうな気配だ。
(2003/8/8/20:43 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20030808id21.htm