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http://www.kumanichi.co.jp/kawabegawa/kiji/20030729.1.html
県を総合調整役として新しい計画策定へ向けた農家との意見交換会が続いている国営川辺川利水事業。五月の利水訴訟控訴審判決で国側敗訴が確定しただけに、「次は失敗できない」と背水の陣で臨む国・県の姿勢が際立つ。一方、対象農家の名簿流出疑惑が浮上するなど、公正性確保へ課題も残っている。
「新利水計画でも農家の三分の二以上の同意が取れなかったら、この地域の利水事業は完全にストップだ。水がいるのか、いらないのか。農家の意向を正確に把握して、同意が得られる新利水計画をつくらなければならない」
人吉市の人吉カルチャーパレスで十八日あった国・県と対象農家との意見交換会で、県の鎌倉孝幸理事は強調した。
利水事業は一九九四(平成六)年に計画変更されたが、その際に問題となったのが、工事費など金銭的負担について農家に十分な説明がなかったことだ。
国や県などの事業が絡み合い、農家の工事費負担額が見えにくい。用水路の維持管理費なども必要で、農家の間には「費用がはっきりしないままでは事業に同意できない」との不安が強く、提訴の要因にもなった。
このため、農水省は意見交換会で、従来の計画に沿った工事費負担額や水代の一覧を明記した資料を初めて農家に提示。新計画でも、農家側からみた正確な負担額を明示する方針を打ち出した。
利水訴訟原告団の東慶治郎副団長は「九四年の計画変更で今回のように詳しく説明があれば、水を必要としない農家まで含めた無理な計画はできなかったはず。裁判も起こらなかっただろう」として、今後も農家負担など、より詳しい説明を求めている。
しかし、ここにきて公正さを揺るがす懸念材料も出てきた。対象農家の名簿約五百人分が、地元建設業者の間に流出していたとされる疑惑だ。
真相は九州農政局などで調査中だが、鎌倉理事は「公正な農家の意向把握に影響する恐れがある。コピーも含めてすべて回収するよう、九州農政局などに要請した」と話す。
八月六日に終わる市町村単位の意見交換会に続いて、集落単位や農家一戸一戸に対する説明も行う方針。農家からの意見書回収には、利水訴訟原告団も同行する。
弁護団の板井優団長は「まだ国側の説明が不十分な点などもあるが、意見交換会は出発点」とおおむね評価した上で、行政の公正性確保を注視する。(球磨支局・鹿本成人)
熊本日日新聞 2003年7月29日朝刊掲載
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