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1985年9月22日 プラザ合意(5か国蔵相・中央銀行総裁会議声明)の分析
http://www.asyura.com/0306/hasan28/msg/248.html
投稿者 TORA 日時 2003 年 7 月 25 日 21:52:06:

(回答先: 株式日記と経済展望 日本経済におけるバブルの発生とバブルの崩壊の分析 投稿者 TORA 日時 2003 年 7 月 25 日 21:08:53)

[文書名] プラザ合意(5か国蔵相・中央銀行総裁会議声明)
[年月日] 1985/09/22
[出典] 第10回大蔵省国際金融局年報昭和61年版,282−284頁.

1.フランス、西独、日本、英国及び米国の大蔵大臣及び中央銀行総裁は本日、1985年9月22日、相互のサーベイランスを行う合意との関連で、また、韓国のソウルでの来たるべき会合におけるより広範な国際的討議の準備の一部として会合を持った。彼らは、これら各国の経済発展と政策を再検討し、経済見通し、対外収支及び為替レートに対するその合意を評価した。

5.大臣及び総裁は、今後の政策決意とともに、彼らの国々の間の基礎的経済条件の最近の変化が、為替市場に十分反映されていないとの見解である。

最近の経済発展と政策変化{前12文字下線}

6.大臣及び総裁は、彼らの国々全体としての実質成長は、1982年の−0.7%のマイナス成長に比し、本年は約3%となろう。この数字は、1984年より若干低いが、過去4年間のいかなるときよりも、バランスのとれた成長となろう。1983−84年の米国の特に急速な成長の後、今やその他の国々において国内成長が一層明白となりつつあると期待する。特に、民間投資が力を得ている。現在の成長は、財政再建の中で生じており、それは、短命の財政刺激には依存していない。成長の構成における変化の結果、彼らの国々における実質成長は、米国の成長が鈍化しても引き続き強いものと見込まれる。

8.最近数年間金利は著しく低下してきている。これは、歓迎すべき国内的効果を別にして、開発途上国の債務負担を軽減する上で特に有意義であった。

9.この成功したパフォーマンスはインフレ及びインフレ期待を軽減したマクロ経済政策、政府支出に対する継続的な警戒、市場の力と競争の一層の強調及び慎重な金融政策に重要度を与えたことの直接の結果である。

10.これらの経済発展の積極面にかかわらず対外ポジションには、潜在的な問題を提起する大きなインバランスがあるが、これは広範な要因を反映するものである。それらは、米国がその相対的に極めて高い成長期から経験したその対外ポジションの悪化、いくつかの主要開発途上国の経済困難及び調整努力の米国の経常収支に与えた特に大きな影響、いくつかの市場での貿易アクセスの困難、米ドルの上昇などである。これらの要因−相対的成長率、開発途上国の債務問題及び為替レートの展開−の相互作用が、主要先進国間の大きく、潜在的に不安定な対外インバランスに寄与した。特に、米国は、大きくかつ増大する経常収支赤字を、また、日本及びそれより少ない程度で西独は、大きくかつ増大する経常収支黒字を有する。

11.米国の経常収支赤字は、現在、他の要因とともに保護主義圧力に寄与しており、これに抵抗しない場合、世界経済に重大な損害を及ぼす相互破壊的報復へと導く恐れがある。その場合には、世界貿易は縮小し、実質成長率はマイナスともなり、失業がなお増大し、債務負担のある開発途上国は是非必要とする輸出稼得を確保できなくなろう。

政策意図{前4文字下線}

12.大蔵大臣及び総裁は、これら各国が主導的工業国としてその国際的責任及び義務を果たす強い決意であることを首肯した。彼らは、また、その個々の政策の相互の整合性を確保する特別の責任を持っている。大臣は、より広範にして強力なインフレなき国内成長と解放された市場を定着させることが、現在の成長がよりバランスのとれた形で継続することを確保する上で鍵となる要素であることに合意し、この目的に沿った政策を行う決意である。予算赤字が過大なる国々においては、その赤字を充分に削減するためのより一層の措置が緊急に要請される。

結論{前2文字下線}

17.大蔵大臣及び中央銀行総裁は、最近の経済発展及び政策変化が、付属声明に記述された特定の政策意図と結合する場合に、継続的かつよりバランスのとれた低インフレ成長の基礎となることに合意した。彼らは、これまでに生じた大きくかつ増大する対外インバランスを是正するための改善の重要性に合意した。これに関連し、彼らは、一層の市場開放措置が保護主義に抵抗する上で重要であることに留意した。

18.大蔵大臣及び総裁は、為替レートが対外インバランスを調整する上で役割を果たすべきであることに合意した。このために、為替レートは基本的経済条件をこれまで以上によりよく反映しなければならない。彼らは、合意された政策行動が、ファンダメンタルズを一層改善するよう実施され強化されるべきであり。ファンダメンタルズの現状及び見通しの変化を考慮すると、主要非ドル通貨の対ドル・レートのある程度の一層の秩序ある上昇が望ましいと信じている。彼らは、そうすることが有用であるときには、それを促進するようより密接に協力する用意がある。
(強調は引用者)

 日本政府{前4文字下線}は、日本経済が主として国内民間需要増加に支えられた自立的成長局面にあることに留意し、持続的インフレなき成長を確保し、外国製品の国内市場への十分なアクセスを提供し、また円の国際化と国内資本市場の自由化を行いことを意図した政策を引き続きとる。
 特に、日本政府は次の明白な意図を持つ政策を実施する。
1.保護主義に抵抗、並びに外国製品及びサービスに対する日本の国内市場の一層の開放のため7月30日に発表した行動計画の着実な実施。
2.強力な規制緩和措置の実施による民間活力の充分な活力。
3.円レートに適切な注意を払いつつ、金融政策を弾力的に運営。
4.円が日本経済の潜在力を十分反映するよう、金融・資本市場の自由化及び円の国際化の強力な実施。
5.財政政策は、引き続き、国の財政赤字の削減と、民間活力を発揮させるような環境づくりという二つの目標に焦点を合わせてゆく。その枠組みの中で、地方団体が個々の実状を勘案して1985年度中に追加投資を行おうとする場合には、所要の許可が適切に与えられよう。
6.内需刺激努力は、消費者金融及び住宅金融市場拡大措置により民間消費及び投資の増大に焦点を合わせる。

 米国政府{前4文字下線}は、着実な、インフレなき成長を確保し、経済における市場及び民間部門参加の役割を最大化し、政府部門の規模と役割を軽減し、開放市場を維持する政策を行う強い決意である。 これらの目的を達成するため、米国政府は以下を行う。
1.財政赤字を縮小し、資源を民間部門の活用に供するために、GNPに対する政府支出の役割を減らす努力を続ける。
2.1986会計年度の赤字削減パッケージを十分に実施する。議会を通過し、大統領が承認した本パッケージは、1986会計年度の予算赤字をGNPの1%以上削減するのみならず、その後の年度における赤字の一層大きな削減のための基礎となるであろう。
3.貯蓄を促進し、新たな雇用インセンティブを生み出し、経済の効率性を高め、それによりインフレなき成長を促進する歳入中立的な税制改革を実施する。
4.持続的な成長と物価安定への継続的前進を促進する金融環境を与える金融政策を運営する。
5.保護主義的措置に抵抗する。


9・「18」を読めば、その後の「ドル安ーその他の主要通貨高」を容認し、促進さえすることに、「5か国蔵相・中央銀行総裁」たちが「合意」した、ということはわかる。しかし、わかるのはそれだけだ。
  ・この「ドル安ーその他の主要通貨高」はいったいどの程度まで容認されるのか。
  ・この「ドル安ーその他の主要通貨高」が経済に及ぼす影響、とりわけ、「ドル建て」で投資されている各国の資産の
   価値低下に対する手当はどこまで許されるのか。
  ・米国はこれまで、その「双子の赤字」を、「ドル高の趨勢」や「5%の内外金利差」を誘因として外国資金を
   呼び込むことによって埋めてきたわけだが、今後「ドル安」、「金利低下」となればそれはどうなるの?
・・・といったようなことが当然議論になったはずなのだが(でなければアホだ)、そんなことまでは書かれていない。
10・この文書で表わされている「ドル安容認」の<論理>を今一度確認しておきたい。


11・米国の経常収支赤字は、現在、他の要因とともに保護主義圧力に寄与しており、これに抵抗しない場合、世界経済に重大な損害を及ぼす相互破壊的報復へと導く恐れがある。その場合には、世界貿易は縮小し、実質成長率はマイナスともなり、失業がなお増大し、債務負担のある開発途上国は是非必要とする輸出稼得を確保できなくなろう。
   それ故、「米国の経常収支赤字」改善のために、

18.大蔵大臣及び総裁は、為替レートが対外インバランスを調整する上で役割を果たすべきであることに合意した。このために、為替レートは基本的経済条件をこれまで以上によりよく反映しなければならない。彼らは、合意された政策行動が、ファンダメンタルズを一層改善するよう実施され強化されるべきであり。ファンダメンタルズの現状及び見通しの変化を考慮すると、主要非ドル通貨の対ドル・レートのある程度の一層の秩序ある上昇が望ましいと信じている。彼らは、そうすることが有用であるときには、それを促進するようより密接に協力する用意がある。


11・まさしく、「教科書的」(本書評(3);2・2の(イ)参照)に、浅薄かつ無難な<論理>にとどまっている。
   要するに、「米国の経常収支赤字がこれ以上続くと世界経済のために良くないから、ドル安が容認されるべきだ」ということである(あるいは、ということでしかない)。
   (アメリカ(USA)の経常収支悪化(赤字化)→円高ドル安→(輸出品価格低下、輸入価格高騰)→(輸出増、輸入減)→経常収支均衡)
12、しかし、少し考えてみれば(あるいは考えるまでもなく)為替レートの変化の影響は、なにも国際収支の経常勘定にだけでなく、資本勘定にも及ぶのはまったく自明のことというべきである。
   (<素人>の私でさえ、「本書」を読んだ当時(1993年頃)には、よくは分からないなりに、きわめて素朴に「プラザ合意で、以後為替が円高になると決まった時点で何故アメリカ国債を売ってしまわないのか」という疑問を抱いてはいたのだ。)

13・が、しかし誰も(学者、識者、評論家、ジャーナリスト、etc.)が、そんなことにまで踏み込んだ議論をしようとはしなかったようだ。


 さて、以上、プラザ合意が貿易収支に与えた影響について比較的詳しく検討してきたが、これらの点は、貿易収支の均衡がプラザ合意のいわば大義名分であったため、これまでにも折にふれ議論の的にならざるを得なかった。ところが、第二のテーマであるマネー関係になると、プラザ合意がもたらした影響の甚大さに比して、深く議論されることが少ない。わが国では政府も民間も、モノ作り部門における円高対策を論ずるのみで、日米間のマネー問題を避け、これをタブー視してきたのではないか、とさえ感じられる。
 マネー部門におけるプラザ合意後の経過は、八〇年代前半の日米経済が、いかに奇妙な相互依存の道を選んでしまったかを、いっそうあからさまに示していた。それはアメリカが貿易収支の不均衡是正に失敗した以上に深刻な問題を、日本に突きつけることになった。
(吉川元忠著「マネー敗戦」p.69-70、強調は引用者 )

14・<タブー>とは何か?

 文化人類学などにおいては,タブーという語は次のような限定された意味で用いる。すなわち,ある事象 (事物,人,行為など) を,感染性の危険を帯びているとみなして,それに触れたり,さらにその行為をしたりすることを禁じる規則があり,その規則に違反したものは自動的に災厄に見舞われると考えられているとき,そのような規則をタブーと呼ぶ。 タブーを侵犯した者は,自分自身が災厄に見舞われるだけでなく,自分の周囲の人々や共同体にも災厄をもたらす。つまり,タブーを侵犯した者の危険な状態は周囲の人々にも感染するのである。 タブーという語は今日,欧米や日本では,慣習や道徳で禁じられた事がらを指すのに広く用いられているが,文化人類学などでは上のように,より限定された語義を与えている。
(「ネットで百科」の「タブー」の項より引用)
 要するに、<タブー>とは、
 @それを侵せば共同体(あるいは<体制>)に災厄をもたらすとして禁じられた事象であり、
 Aそれを侵す者は「自動的に災厄にみまわれる」ところの
 B「感染性の危険を帯びている」ものである。
 そして勿論文化人類学ではそのようなことは想定していないのだろうが、
 また、吉川氏も学者らしく控えめに「(誰もが)タブー視してきた」とおしゃるが、恐らくはそんなことではなく、強力に「作られ」強制される<タブー>があり、
 もしも、ただ今、現在においてタブーが「作られる」とすれば、それは強大な<権力>が発動されたものとみなければならない。
 そして、現在の日本におけるそのような<権力>とは、<国王>としての最高権力者と<マスコミ>の連携によるものであろう。(註)
 「プラザ合意に係るタブー」とはそのようなタブーである。

 (註):副島隆彦が「テロ世界戦争と日本の行方」のIIIで、竹下登と渡部恒雄を併せて論じているのは意味深長である、という気がするのだがどうだろうか?。

15・では、この場合の<タブー>が災厄をもたらす「共同体(あるいは<体制>」とはいかなるものであったのかを、以下で詳しく見ていきたいのだが、
   その前に、吉川氏のいう「八〇年代前半の日米経済が、いかに奇妙な相互依存の道を選んでしまったか」ということを一瞥しておく必要がありそうだ。

副島隆彦の学問道場(気軽にではなく重たい気持ちで書く掲示板)より

http://www.soejima.to/

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