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UFJつばさ証券・エクイティ調査部シニアストラテジストの近藤敬子さん(Keiko Kondo /Senior Strategist, Equity Research Dept. UFJ Tsubasa Securities Co.,Ltd)は、米国経済の回復には困難が多く時間が必要との見方から、「世界的な金融相場の終わりは近い?」と語る。
<金融相場的な株価上昇は数ヶ月が限度> 世界的な株価上昇が続き、最近は全般的にも投資家マインドに明るさが戻りつつある印象を受けるが、「一方で相場の上昇力には明らかに不安定さも増している」と言う。春先まではリスク資産の保有を大幅に減らしていた投資家のリスク許容度は イラク問題解決後、平常状態に戻ったはずだ。それまでの金融緩和の影響もあり、今回の資金シフト過程で株価は世界的に大きく押し上げられた。しかしこの様な上昇トレンドがその後も長期化するかどうかは、「その時点の世界景気サイクルに影響される」。 グローバル株価(MSCI WORLD)が直近の高値を記録した6/18の水準をベースに算出すると、今回の上昇局面は開始以来98日間で株価が25%上昇したところにある。過去の金融相場を検証すると、日数は90〜158日、株価上昇率は20〜32%となっている。これらとの比較で考えて、「今回の上昇相場は、数値的に見てもそろそろ限界点が近そうであることに違いはない」と言う。
<企業業績の回復局面で、一時的な設備投資回復もある> 米国ではハイテク関連など一部企業では需要拡大の兆しが見られているといった発言や報道もある。だが、稼働率が最近低下していることは無視できず、この状態で消費から設備投資へと景気の牽引役を即時にバトンタッチできるかどうかには、まだ確信が持てる状況にはない。バブル崩壊後の日本の過剰設備問題を参考にすると、企業業績が回復する局面では一時的に設備投資が回復する傾向はあるであろうし、減税効果もある程度は期待できるだろう。しかしこうした回復は、「根本的な問題解決ではなく、サイクルも短命に終わることが多い」
<米国の設備投資が回復に要する時間に注目> 設備投資の低迷が続きながらも、米国経済がここまで成長を維持できたのには、消費の貢献が大きい。設備投資が大きく落ち込んだ最近でも消費はプラス成長を維持し、米GDPの7割を超すレベルにまで達している。設備投資が需要の担い手として力を発揮するまでまだ時間がかかるならば、消費動向が当面の米景気の先行きに大きく影響する状況はまだ続くだろう。 これから米国で実行される減税は消費にプラス効果を及ぼすだろう。しかし一方で、「減税効果がカバーしなければならない他のマイナス要因の多さが気になる」と言う。まず雇用環境は依然厳しく、賃金に大幅上昇は期待できない。さらに足元で家計部門の収入増に貢献した信用による資金調達機会が減少する可能性が高い。したがって減税による可処分所得の押し上げ効果を考えても2003年の消費は2-3%程度の伸びが限界であると見る。ここで設備投資はストック調整が未完のために加速しきれない状況になるとすると、米景気が回復色を強めることを期待するのは難しいが、消費が下支えをするならば、大幅減速の可能性も低い。結局、「当面はもたつき感を味わうことになる」と見ている。
<株価が本来の景気サイクルと連動した動きになる条件> 昨今、期待が広まった景気加速が実感を伴なう形で早急に実現する可能性も低く、現実の加速感が確認できるのは数ヶ月先のことになりそうだ。それまで投資家は期待と現実認識の繰り返しを強いられ、それを反映した世界の株式相場はレンジ内での推移を見せながらも、ほぼ横ばい推移へと移ると予想する。「その後、ストック調整が進み米経済で稼働率の上昇が確認できるようになれば、世界景気も加速傾向を強め、株価も本来の景気サイクルと連動した動きを数年ぶりに取り戻すだろう」