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宮崎正弘の国際ニュース・早読み
平成15年(2003) 7月2日(水曜日)
通巻638号
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日本はやがて米国に“捨てられる”運命にある
「中国重視」へアジア戦略を転換した、とアブラモウィッツが衝撃の予見
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「米中接近」の新戦略を骨格として、「新アジアの調整」を説く論文が最号の」フォーリン・アフェアーズ」(03年7−8月号)に出た。著者は有名なモートン・アブラモヴィッツとスティヴン・ボズワース。
太平洋を巡る戦略的環境は激変した、として始まるアブラモヴィッツ論文は、「日本のパワーと信頼性はこれまでの地位から滑り落ち、とりわけ9・11以後、替わって中国の戦略的価値が増大した」とする。
即ち@日本の衰退A中国の勃興、という二大要素が織りなすダイナミックな激変プロセスのなかで、米国は太平洋戦略を「日本重視」から「中国重視」へと軸足を大きく移した、と言うのだ。
「北京は瞬く間に米国との”戦略的競争相手”から安全保障と貿易の”パートナー”になった。ブッシュ政権の劇的なアジア政策の転換は、大西洋のそれと同様に、太平洋をまたぐ戦略の曖昧性を依然内包するとはいえ、明らかに”中国の脅威”より当面はテロリズムへの戦略的対策を根幹としたアジア戦略を発揮するようになった。まして対中国外交の鷹派だったディック・チエイニー副大統領が訪中するのも、中国がアジア地域においてさえ通商と貿易の主導権を把握して、日本の地位を凌駕する勢いにあるからだ」。
従って「日本の戦略的重要性は数年の間は存在するにせよ、徐々に影響力を弱めて行くであろう」。
さらに朝鮮半島における緊張は「戦争を誘発する懼れと同時に新秩序形成へのきっかけにもなりうる」とアブラモヴィッツ論文は指摘している。
まだ衝撃的予見は続く。台湾は平和的に中国に飲み込まれるだろう、と言うのだ。
「長らく米国の被保護者であった台湾も、国際的孤立化から逃れることは出来ず、他方で台湾の技術、投資が中国経済にますます吸収されつつあり、平和統一への展望が視野に入ってきた」。
片岡鉄哉教授に依れば「これで第二次大戦の対日挟撃が再現する。その前提は日本の平和主義、中台の平和統一、朝鮮半島と日本からの米軍撤退であり、結果として日本は米中の「瀬戸内海」に封じ込められる」戦略である、と警告される。
アブラモウィッツは親中派として知られるリベラル論客だけに、この論文の信憑性には限界があるが、ワシントンは「空気」「雰囲気」が作用する不思議な政治都市だけに、こういう議論が強く存在していることだけは事実であろう。