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(回答先: 【注目記事】「りそな再生」の大ペテン 「選択」2003年6月号 投稿者 小耳 日時 2003 年 6 月 03 日 12:13:54)
【巻頭インタビュー】りそな「実質国有化」は責任逃れ
http://www.sentaku.co.jp/keisai/kantou.htm
池尾和人 (慶応大学経済学部教授)
1953年、京都生まれ。京都大学経済学部卒、一橋大学大学院修了。
京大助教授を経て95年から現職。
日本ファイナンス学会会長、金融審議会委員などを務める。
近著に「銀行はなぜ変われないのか――日本経済の隘路」(中央公論新社)。
ヲ税効果会計のゲタを脱がされたりそなが、実質国有化されました。
池尾 実質国有化が「出口」かどうか疑問です。税効果会計を厳格化して銀行を破綻に追い込めば、政府が公的資金を投入することになり、政府の総負担は実は変わらない。政府に銀行を抱えさせて解決しますか。現行の「特別支援」は筋が悪い。長銀や日債銀に適用した「特別公的管理」のほうがまだましです。一時国有化で売り先を見つける出口がありました。しかし監督官庁は疲弊してもう懲り懲りと、半分責任逃れの特別支援に変えました。日本政府の能力を過信してはなりません。
ヲりそなは、問題銀行の捨て場の「夢の島」。その使命は終わった?
池尾 有効なビジネスモデルがないなら、国有化でなく破綻処理すべきなんですよ。これまで政府に恩を売って支援を受けてきたかもしれないが、今度は直接支えてもらう形になっただけ。政府の監視下に入っても、それでビジネスモデルが生まれるはずもない。
ヲでは、どんなモデルが考えられますか。市場型の間接金融?
池尾 ありうるとすればそういう方向しかないでしょう。一定程度の資本市場があれば、金融機関の間で機能を分化させ、全体として金融仲介機能を満たす分業の可能性があるはずです。投資銀行への特化、預金集めをせず証券化や社債で資金調達して貸出業務で稼ぐファイナンス・カンパニー、逆に預金口座をベースに地道なサービスを提供するなど、従来のような丸抱え自前主義から脱出すべきです。
ヲ金融のアンバンドリング(解体)ですね。メガバンクは逆行でしたか。
池尾 過去を断ち切れないのは、第一にゼロ金利では新モデルが成り立ちにくいこと、第二に銀行の人的構成が時代の要請に完全不適合なことにあります。徹底した商業銀行をめざすなら、低賃金のクラーク (一般職員)をもっと増やし、バンカー(銀行家)は一握りにすべきです。今は「そこそこ優秀な人」ばかり。大学人の自己否定みたいですが、慶応大学経済学部を卒業したような中途半端な人材は必要でなくなる時代が来るでしょうね(笑)。
ヲ既得権にしがみついて変化を拒む「塹壕仮説」そのものです。結局、新旧勘定分離しか突破口はない?
池尾 銀行部門全体がダウンする金融危機を解決した国は、例外なくバッドバンク(不健全銀行)の分離をやっています。日本のように正常債権と不良債権を同じバランスシートに置いたまま、解決に成功した例はない。しかし日本国民全体が、いいとこどりを求めました。大規模な失業(景気底割れ)回避と不良債権の抜本処理という本来両立しないことを追求し、末期ガン症状を呈した。初期に手術しなかったのに、末期になってから「手術すれば治る」という議論には与し難いですね。
ヲあちら立てればこちら立たず。
池尾 ええ、金融の現状は行き詰まりですよ。それを認識したうえで、できるだけのことをするしかない。ドラスチックな回復とか、一挙的な解決法がある、という幻想は捨てなければなりません。今はこみいった方程式を解くような作業が待っているんです。正攻法は、金融庁や整理回収機構、産業再生機構などの解決・処理能力を高めるために、ヒトとカネをもっと投入し迅速に処理することです。今は全てひっくるめて四、五千人。問題の巨大さを思えば、もう一ケタ多くていい。
〈インタビュアー 阿部重夫〉