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(回答先: 成熟債権国家」への日本の挑戦―19世紀の英国の国際分散投資戦略に学ぶ― 投稿者 Ddog 日時 2003 年 7 月 15 日 01:01:41)
国際分散投資戦略が英国拠点の国際金融家の貨幣的富増大に貢献したことや世界経済を活性化したことは間違いない。
彼らが蓄財の合理性を投げ捨て英国の国民経済が発展することを第一義に行動していれば、英国経済はデフレではなく低金利下のインフレが続き、金融家の利益は少なく、世界経済も停滞していたと推測する。
金融家が、貸し出しや投資を英国内に求めていれば、貸し出し貨幣の過剰により低金利になるだけでなくインフレにもなるので、実質利益はそれほど得られなかったはずだ。
(この意味で、国際分散投資は国際金融家にとって“合理的政策”だった)
英国が19世紀後半にデフレに悩んだのは、巨額の経常収支黒字が国外に流出したことと投資先が生産した廉価な財を輸入したことが主要因である。
貨幣供給量が少ない状態で輸入財が増大すれば、物価の下落に拍車がかかる。
その代わり、米国やドイツそして日本という新興産業国家が産業力を高めることができた。(それを通じて、英国拠点の金融家は大きな利益を手に入れた)
筆者は、英国と国際金融家を同一視しているようである。
産業革命によって「世界の工場」として成長した英国が、その後の海外投資の成功で「世界の銀行」として君臨するようになることで、英国という国民経済は相対的な凋落を迎えたのみならず、「世界の銀行」という地位も米国に譲ることになったのである。
基礎でありフローを産み出す産業力を失った国民経済が、金融業を支え続けることはできない。
国際金融家に貨幣的富が集約し産業力が低迷したことで、英国は、第1次世界大戦の戦費さえ賄えず、米国から80億ドルもの融資を受けてしのぐことになった。(米国からといっても、英国拠点の国際金融家から借りて、その利益拡大に貢献したことを意味する)
そして、その負債が英国に第2次世界大戦後の発言力を大きく削ぐことになる。
国際分散投資戦略は、国際金融家の利益や新興国家の発展に貢献したが、英国という国民経済を凋落させていったのである。
現代の世界に、当時の米国・ドイツ・日本に相当する“魅力的な”新興国家があるかどうか、あるとしても、そこを発展させることが自国経済や金融業の利益につながるのかを中長期的に予測しなければならない。
たとえば、中国経済の発展に貢献することで日本経済が得る利益は短期的なもので、中期的には、19世紀末から20世紀初頭の米国経済が英国経済に与えた影響や戦後日本経済の発展が米国経済に与えた影響と同じ結末になると考えるのが正しい。
フローの源泉である産業力を劣化させた米国への投資(貸し出し)は、回収不能や債権の一部放棄になる可能性も高い。