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『帝国以後−アメリカ・システムの崩壊−』気になる。「集団的自衛権で内閣法制局解釈を批判
米国務副長官(asahi.com)」から
集団的自衛権で内閣法制局解釈を批判 米国務副長官 (asahi.com)
http://www.asyura.com/0306/war38/msg/1087.html
投稿者 彗星 日時 2003 年 9 月 10 日 12:57:45:HZN1pv7x5vK0M
彗星さん、はじめまして近い内撤退する、「なるほど」です。彗星さんの
ニュース投稿を読み推薦図書だった『帝国以後−アメリカ・システムの崩壊−』
がますます気になっています。
集団的自衛権で内閣法制局解釈に対し批判でなく恫喝していると思います。
ただし、アーミテージ国防副長官の焦りは米国が帝国で「ない」からこそ恫喝
するしかなくなっていると推測されます。『帝国以後』を読むとそう思えます。
また、サイード、チョムスキー氏のように米国を「帝国」として糾弾するのは
、好ましくないように思われます(仕方がない意識が芽生えやすい)。
●トッド氏の『帝国以後』●
書籍の帯には「ソ連崩壊を世界で最も早く予言した『新ヨーロッパ大全』のト
ッドがハンチントン、フクヤマ、チョムスキーらを逆手にとり、EU露日VSアメ
リカという新構図、『新ユーラシア時代の到来』を予言」とあります。小生が
サイト内を調べて以下の有益そうなリンクがありました(仏独語で最もヒット
件数が多いです。ちなみに、クライン孝子氏
http://www.takakoklein.de には独仏の多面的理解というか、何故彼らが米
国に対して強気でいられる理由を説明するためには不可欠であり、日本の読
者にとっても有益では?といった趣旨でメール差し上げております。無視され
ちゃいました・・・)
July 26, 2003 The Conceited Empire
http://dominionpaper.ca/features/2003/the_conceited_empire.html
May 27 2003 Extract from Prospect, June 2003
http://www.rwevans.co.uk/~r/rwevans/wevansnet04/item0042A.htm
【推奨書籍】『帝国以後 − アメリカ・システムの崩壊 −』エマニュエル・トッド著
http://www.asyura.com/0304/dispute10/msg/288.html
投稿者 あっしら
http://www.asyura.com/0304/dispute10/msg/288.html
「帝国以後、世界は」
http://www.fujiwara-shoten.co.jp/book/book432.htm#todd
『帝国以後 アメリカ・システムの崩壊』評者、養老孟司
http://www.mainichi.co.jp/life/dokusho/2003/0511/04.html
“帝国としての米、崩壊過程に”(インタビュー)
http://raq1.aminet.or.jp/~voyage/info/BonVoyage-Tayori/kininal.news.B.html
『経済幻想』エマニュエル・ドット著/藤原書店/3200円+税
http://village.infoweb.ne.jp/~fwix9916/dodthtm.htm
恐縮ですがあっしらさんの書評に少し図書館で借りた本の情報を加えました。
http://www.asyura.com/0304/dispute10/msg/288.html
「著者であるエマニュエル・トッド氏は、1951年生まれ、パリ政治学院を
卒業しケンブリッジ大学で歴史学博士」「ユダヤ系フランス人のようである。
(祖父がオーストリアのユダヤ人で米国に移住したことやフランスに多くのユ
ダヤ人親族がいることが明記されている)1995年のシラク大統領誕生に際
して理論的に貢献したともされているが、彼自身の思想的立場は、政治的には
自由主義的民主制を尊重し、経済的には資本主義を合理的とみなしつつ新自由
主義や自由貿易には異議を唱えるといった程度しかわからない。(イデオロギ
ー的な解釈や裁断は避けて科学的に説明するという身構えのようである)」。
小生が図書館で借りた、トッド氏の『移民の運命』(この本の方が凄いかもし
れない)も加えると、祖父は『アデン・アラビア』でデビューしたポール・ニ
ザン、父は『レ・タン・モデルヌ』誌の編集委員及び昨今カミュ論を出版した
オリヴィエ・トッドであり、曽祖父を介してレヴィ・ストロースの遠縁にあた
るので(『野生の思考』、『悲しき熱帯』等で有名な構造主義四天王の一人)
、気鋭の人口学者、人類学者になって不思議はなさそうです。また、トッド氏
は第二次大戦中に家族がカトリックに改宗したため、キリスト教的教育を受け
ています(『世界像革命』)。また「学問は事実によって検証されなければな
らない」と主張しているため、勘ぐりは不要なようです(デュルケーム的と称
してもいます)。
以下、あっしらさんの書評をもろに転載
トッド氏は、基本的に、米国が帝国から略奪者に変容し、略奪者であり続ける
ために世界に脅威を与えることでその地位を失うことになると判断している。
(略奪とは、米国民が消費する財の多くを諸外国に依存し、そのために必要な
資金までもを諸外国に依存している経済実態を指す)
またイデオロギー的にも、米国が普遍主義ではなく差異主義に拠っていること
から、帝国の名に値しないと評価している。
(属領民もローマ市民として包摂したローマ帝国とは異なり、内なる黒人・ヒ
スパニック・アラブ人を敵対(非人間)視している米国の実態を指す。普遍主
義・差異主義という識別はフランス人らしい)
さらに地理的にも、ユーラシアが世界の重心であり、米国はそこから遠く離れ
た周辺国という見方をしており、ブレジンスキー氏の「壮大なチェスボード」
はそれを自覚した上のものだと受け止めている。そして、チェスが国技である
ロシアを相手にチェスを指すのは愚かだと諌めてもいる。(笑)
トッド氏は、米国の覇権喪失過程で、略奪者となった米国への対抗軸としてユ
ーラシア+日本の同盟が生まれる可能性を示唆している。軍事面でのロシア、
経済面でのドイツ+日本という構図で、コールマン博士と類似的な国際関係の
変化を予測している。そして、このような対立構図をアテネ=米国とスパルタ
=ロシアの関係に比定している。(トッド氏の経済を除く日本に対する評価に
は過大な面も見られる)
トッド氏は、人口学や文化人類学の分析手法を用い、識字率・出産率(合計特
殊出生率)・乳幼児死亡率・いとこ婚・人種間通婚・殺人発生率・自殺率など
の比較を通じて国民性や地域性を描き出している。(このような観点での認識
は希薄だったので、判断の是非は別として興味をそそられた)
書籍からいくつか引用する。
「エリート主義とポピュリズムが対決するこうした政治システムは、なんとも
奇妙な「民主主義」だ。普通選挙は存続しているが、右と左のエリートが、不
平等の縮小につながるようないかなる経済政策の方向転換をも禁じることで合
意しているのである。それはますます突拍子もない世界となって行き、選挙の
駆け引きは、メディア上での大仰な対決を繰り広げた末に、現状維持に行き着
く。エリート間の友好関係は、上層に公認の協議が存在することの反映に他な
らないが、そのため、普通選挙が危機の可能性を示唆する場合であっても、表
面上の政治システムが崩壊することは阻止される。」(P.41)
「世界はしたがって、二重の逆転に直面している。先ず世界とアメリカ合衆国
の間の経済的依存関係
の逆転、そして民主主義の推進力が今後はユーラシアではプラス方向に向かい
、アメリカではマイナス方向に向かうという逆転である。このようにずしりと
重い社会的・歴史的過程を想定すれば、一見奇妙に見えるアメリカの行動も理
解することができる。アメリカ合衆国の目標は民主主義的にして自由主義的な
秩序を擁護することではなくなっている。その秩序は当のアメリカ自体におい
て内実を失いつつあるのだ。様々な財と資本の供給が最重要課題となり、これ
からはアメリカ合衆国の基本的戦略目標は、世界の資源を政治的手段によって
統御することとなる。」(P.44)
「二つの型の「帝国」の資質がアメリカには特に欠けている。その一つは、全
世界の現在の搾取水準を維持するには、その軍事的・経済的強制力は不十分で
ある、ということ。二つ目は、そのイデオロギー上の普遍主義は衰退しつつあ
り、平和と繁栄を保証すると同時に搾取するため、人々と諸国民を平等主義的
に扱うことができなくなっている、という点である。」(P.117)
「ある程度の犠牲精神が要求される作戦は、それが可能であるときには必ず同
盟国の徴募兵部隊に任された。<中略>作戦毎に部族の長と契約して金を支払
うという、現在アフガニスタンでアメリカがやっている「流儀」は、それゆえ
昔ながらの方法の、さらに悪質化した現代版にすぎない。この面ではアメリカ
はもはやローマにもアテネにも似ておらず、ガリア人傭兵やバレアス島の投石
兵を雇っていたカルタゴに似ている。B52はさしずめ象の代わりということ
になろうが、生憎ハンニバルの役割を果たす者はだれもいない。<中略>最近
、死者なき戦争という概念が、少なくともアメリカ合衆国の側で浮上して来た
が、この概念こそは、非対称的対決へのもともと持っていた選好を最終的到達
点にまで突き詰めたものに他ならない。それはアメリカ軍の伝統的な地上での
無能さを許容し、公式化し、さらに助長することになる。」(P.123)
「アメリカ合衆国の経済的・軍事的・イデオロギー的手段には限りがあるため
、アメリカは己の世界的役割を主張するには、小強国を虐待する以外の可能性
がないのである。アメリカ外交の酔っ払いの千鳥足のような行動振りには、一
つの論理が隠されている。すなわち現実のアメリカは軍事的小国以外のものと
対決するには弱すぎる、ということである。すべての二流の役者たちを挑発す
れば、アメリカは少なくとも世界の檜舞台での役割を主張することができる。
」(P.185)
「有効な対空防御体制、さらには核抑止力を持たない国は、いかなる国といえ
ども、空から飛来する恐怖に情け容赦なく曝されるということを、実際上、世
界中に示唆した。しかし地上戦に突入することができないというアメリカ陸軍
の能力不足のために、超大国の根本的無能力も改めて浮き彫りにされてしまっ
たのである。」(アフガニスタン戦争に関する説明:P.188)
「アメリカ経済は、消費財の大量輸入がさらに増大していることからも分かる
ように、その実体的現実においては生産性が低いということを認めるならば、
株式資本化は虚構の集塊であり、アメリカ合衆国へと向かう金は文字通り蜃気
楼の中に吸い込まれるのだと、考えなくてはならない。摩訶不思議なやり口に
よって、周縁部の特権者たちが資本投資と考えた金の動きは、アメリカ人に
とっては、世界中から購入される財の日常的消費のために用いられる通貨記号
へと変貌してしまう。資本投資はしたがって、何らかの仕方で蒸発してしまう
ということになる。<中略>アメリカで倒産がある度に、それはヨーロッパや
日本の銀行にとっては、資産の蒸発となって現れる。<中略>どのようにして
、その程度の速さで、ヨーロッパ、日本、その他の国の投資家たちが身ぐるみ
剥がれるかは、まだ分からないが、早晩身ぐるみ剥がれることは間違いない。
最も考えられるのは、前代未聞の規模の証券パニックに続いてドルの崩壊が起
きるという連鎖反応で、その結果はアメリカ合衆国の「帝国」としての経済的
地位に終止符を打つことになろう。」(P.143)
「アメリカの経済関係の新聞・雑誌は、この両国(引用者注:日本とドイツ)
のシステムを「非現代的」で「閉鎖的」として、その改革を要求し続けている
が、現実にはこれらのシステムの誤りとは、あまりにも生産性が高いというこ
とに過ぎない。世界的不景気の局面では、最も強力な工業的経済の方が常に、
時代遅れの経済や生産性が低い経済より打撃を受ける。一九二九年の危機はア
メリカ経済を直撃したが、それは当時アメリカの工業力が強大だったからであ
る。」(P.250)」
「アメリカ合衆国は、不平等革命、寡頭制への転換の全世界的旗頭になったの
だ。そのような転換は世界のすべての社会の指導階層の気をそそっていると考
えることが出来る。今後アメリカが提案するのは、もはや自由主義的民主制の
保護ではない。すでに最も豊かで最も力がある者に、さらに多くの金と権力を
提案するのである。<中略>「帝国への統合」という選択肢はヨーロッパの指
導階層から見て、国民国家を葬り去り、帝国と婚姻を結ぶという、二重の心性
的革命を前提とするであろう。つまり一方では自国の民の独立を守ることを断
念する。しかし自分たち指導階層は、その見返りとして、アメリカ指導階層に
完全な資格者として組み込まれる、というわけである。」(P.242)
「ゲームは、チェックメイトで終わらず、ステールメイト[手詰まり]で終わ
ることになろう。つまり唯一つの強国の勝利で終わるのではなく、どの強国も
支配権を握ることができないという状態で終わるだろう。」(P.270)
「われわれがこれ程まで、自分を凌駕する経済的・社会学的・歴史的な諸力に
よって引きずられていくのであれば、市民としても政治家としても、われわれ
は何を為すことが出来るのだろうか?先ず第一に、世界をあるがままに見るす
べを身に付け、イデオロギーの、その時々の幻想の影響、メディアによって養
われる「恒常的な偽の警報」(これはニーチェの言葉だ)の支配を脱すること
。現実の力関係を感知するというのは、それだけでも大したことである。」
(P.273)
転載終り
また、結論が独仏の強気な理由であり、内閣法制局の集団的自衛権の解釈変更
は以下からして危険と思われます。
「かつてそうであったように今日も、真の力とは人口学的・教育的な分野に属
するものであり、真の権力とは経済分野に属するものである。正道を踏み外し
て、アメリカ合衆国との軍事力の競争という蜃気楼の中に迷い込むことは、何
の役にも立たないだろう。偽の軍事力競争は、現実の戦略的重要性を持たぬ国
に絶えず介入するという事態に立ち至る。われわれとしては、アメリカ軍の後
ろに付き従って、作戦演劇(作戦の舞台)の観念と演劇作戦の観念を取り違え
ることなどしてはならないのである。アメリカの側に立ってイラクに介入する
というのは、流血の軽喜劇の中で端役をこなすだけのことに過ぎない。」
「二十世紀にはいかなる国も、戦争によって、もしくは軍事力の増強のみによ
って国力を増大させることに成功していない。フランス、ドイツ、日本、ロシ
アは、このような企みで甚大な損失を蒙った。アメリカ合衆国は、極めて長い
期間にわたって、旧世界の軍事紛争に巻き込まれることを巧妙に拒んで来たた
めに、二十世紀の勝利者になったのである。この第一のアメリカ、つまり、巧
みに振る舞ったアメリカという模範に従おうではないか。軍事主義を拒み、自
国社会内の経済的・社会的諸問題に専念することを受け入れることによって、
強くなろうではないか。現在のアメリカが『テロリズムとの闘い』の中で残り
少ないエネルギーを使い果したいと言うのなら、勝手にそうさせておこう。そ
れはもはやすでに存在していない覇権の維持のための闘いの代用物に他ならな
い。もしアメリカがあくまでも全能を証明しようとするなら、遂には己の無能
を世界に暴露するという事態に立ち至ってしまうだろう」(p279)
しかし、「小泉首相と『真昼の決闘』」を読んでブルーになってきます。
http://homepage.mac.com/naoyuki_hashimoto/iblog/C1570102516/E1804312369/index.html
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日本の本当の脅威と911
http://www.asyura.com/0306/bd28/msg/688.html
投稿者 なるほど 日時 2003 年 9 月 08 日
の続報を投稿したいですが・・・