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ロボットがあなたの仕事を奪う
マーシャル・ブレイン氏が独自の未来予測を語るのを聴いていると、疑う気など忘れ、今後40年でわれわれがやっている仕事のほとんどがロボットにとって代わられるということが、いかにもありそうだと思われてくる。
この未来図がかなりのところまで現実化していることは、日々の雑事をちょっとこなしてみれば一目瞭然だ。ガソリンスタンドの自動給油装置、銀行のATM、大型スーパーに導入されたセルフサービスのレジなど、サービス業ではすでにかなりの規模で機械が人間の代わりを果たしている。
今日の急激な技術革新があと数十年も続けば、画像処理、マイクロプロセッサーの高速化、人の動作のシミュレーションなどの技術が進み、現在の低賃金労働のほとんどが自動化される可能性がある。これはもはや夢物語ではない。
チップの処理能力が18ヵ月ごとに2倍になるという『 http://www.webopedia.com/TERM/M/Moores_Law.html ムーアの法則』に集約されるような、現代における技術進歩の実際を考えあわせれば、こんな未来図もお茶の子さいさい(no-brainer)で実現するような気がしてくる。
少なくとも、ブレイン氏――そう、これ(Brain)が彼の本名だ――は、事態が加速度的に進展すると見ている。
「まだ誰も気づいていないが、これからどんどん加速し増大していく一方だ」とブレイン氏は語り、さらに、これからの世代にとって、ロボットに仕事を奪われて失業することが経済上の大きな問題になる理由について、さまざまに説き明かしてくれた。
ブレイン氏は『 http://marshallbrain.com/robotic-nation.htm ロボット国家』というエッセイの中で、人間型のロボットは2030年までに広く普及し、ファストフード店、掃除業、小売店などでロボットが人間に取って代わると予測している。仕事を失った人に別の仕事を与える方法が見つからない限り、2055年までに米国人の半数以上が失業するという。
確かに不吉な話だ。しかしノースカロライナ州ローリーに住み、4人の子どもを持つ父親で、ウェブサイト『 http://www.howstuffworks.com/ ハウスタッフワークス』(HowStuffWorks)の創立者でもあるブレイン氏は、未来のロボット革命に警鐘を鳴らすタイプの人物には見えない。
ウェブサイトを運営するブレイン氏の従来の得意分野は、現時点で存在するさまざまなものの動く仕組みを解き明かすことであり、この分野で十数冊の著書もある。しかしブレイン氏は、長年ノンフィクションの執筆に携わったあと、未来予測やSF小説へと目を向けたのは自然な流れだと考えている。
「本を読み、さまざまなものの仕組みを解き明かし、それをすべて頭の中に取り入れたことがすべてが、1つに集約されたのだと思う」とブレイン氏。
ものごとの仕組みに関する断片を集めていくなかで、ブレイン氏の初めての小説の着想が固まった。作品は8月15日(米国時間)から順次オンラインで無料リリースされる。物語は予言的な一節から始まる。
「これを面白いと思うか、避けがたい事態だと捉えるか、象徴的事件とみなすかは、自由にとってくれてかまわない。とにかく、最初にロボットによって仕事が奪われるという事態が起きたのは、マサチューセッツ工科大学(MIT)でも米航空宇宙局(NASA)でもなく、また米マイクロソフト社でも米フォードモーター社でもなかった。それはノースカロライナ州ケアリーのレストラン『バーガーG』で、2015年の5月17日に始まった」。小説では、ロボットが経済市場に存在する仕事のほとんどをこなせるようになった社会を詳しく描いていく。
小説を補完するものとして、ブレイン氏は、物語の中で示したアイディアから導き出される未来図に関するエッセイを連載している。また、市場経済への目配りも忘れず、小売業やファストフード業で人間と機械を管理する自動システムの特許も申請したという。
最初のエッセイは、いつものように子どもたちを近所の『マクドナルド』に連れて行ったところから始まる。そこで電子機器を使った新しいセルフオーダー式キオスクを試したブレイン氏は、将来ほとんどのファストフード店で機械が仕事をするようになるのだろうかと考える。
料理注文用のキオスクは始まりでしかない。すでにマクドナルドは、自動バーガー調理器をテスト中で、バーガー調理員が職を確保できかどうかも怪しくなってきた。ブレイン氏は、2015年までに小売業の分野で500万人が仕事を機械に奪われるだろうと見積もっている。
しかし、ハイテク好きが集まるサイト『 http://slashdot.org/ スラッシュドット』にブレイン氏のエッセイについての意見を寄せた多くのハイテクマニアたちは、ブレイン氏の予測には説得力がないと話している。
同サイトに投稿された反論の一例は、人間型ロボットが普及するためには人々がロボットを購入する必要があるが、もし皆が失業してしまえば、誰もロボットを買うことはできないというものだ。
新しいテクノロジーが登場すると未来に対する懸念が浮上するのはいつものことであり、人々は結局、自動化された仕事に変わる新しい仕事を見つける、という意見も投稿されていた。
しかしブレイン氏は、それは難しいと考えている。
たとえば、ロボットによって少なくともロボット修理という分野に新しいチャンスが生まれるかもしれないという楽観論があるが、これにも難点があるとブレイン氏は言う。
「ロボットが修理を必要とするときは、別のロボットが壊れたロボットを運送用のパレットに載せるだろう。そのパレットをトラックに載せるのは、ロボットのフォークリフトだ。こうして、トラックによって修理工場まで運ばれる。修理工場では人の介入や監督を必要としない高度に自動化されたシステムがロボットを修理する。ロボットを修理するのも、人間ではない――ロボットなのだ」とブレイン氏は述べた。
[日本語版:鎌田真由子/長谷 睦]日本語版関連記事
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