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(回答先: 政治利用を非難する政治性 投稿者 たこ 日時 2003 年 7 月 09 日 12:50:05)
まず初めに、たこ氏にお礼を申し上げます。毎回、拙い私の投稿に対し真摯に返答していただきました。おかげさまで天皇制に対して多くの新たな認識を得ることが出来ました。ありがとうございます。
さて、反論は反論として述べさせていただきます。まず、歴史の検証を否定する訳には行きません。ただ「責任」というものを検証する場合、少ない責任を政治的意図の下に拡大、誇張して述べ伝えたとしたら、それは正確な歴史の検証とは言えなくなります。
「もちろん、私は、現代史の記述を歪めることにも反対します」と述べられるたこ氏は、法律家であられることもあり、言葉には相当注意を払っておられるとは思います。しかし、全体の論調として、この国に漂う天皇制についての曖昧さを切り裂き、天皇の責任を炙り出そうとするたこ氏の勢いは、読む者をして、あの戦争の責任は天皇にこそあるのだ、天皇の責任さえ明確にすれば、あの戦争の責任問題は落着するという誤解を招きかねません。
当然、たこ氏がそのような意図がないとしても、結果として真に裁かれなければならない天皇を利用した勢力の戦争責任が曖昧になりかねません。
これは、パラドクスです。天皇の政治的実態的な戦争責任を主張すればするほど、戦争責任の象徴として天皇を利用することになるのではないでしょうか。天皇制がもつ一種の罠のように思えます。
天皇の戦争責任については、その少ないか多いか、実体的か形式的かは、繰り返しと水掛け論になりますので、省略します。
ただ、私の意見は、たこ氏ご指摘の通り、政治論です。理論的整合性を欠き、そのような反論は見るに耐え得ないと思われるかもしれませんが、たこ氏に一つだけお聞きしておきたいことがあります。
たこ氏は、現行の天皇制をどう思われるのか。昭和天皇の戦争責任ということに限定して、述べられているのか、それとも今現在、こうあるべきという青写真のようなものをお持ちなのか、いかがでしょうか?
ちなみに、私は現在の天皇制を静かに見守るべきと考えています。
「現在をアノミーと規定し、連帯意識を醸成する処方箋として天皇崇拝布教を主張する論」などの挑発に乗らず、今の天皇制を肯定的に受け入れ憲法の制約の下で政治との距離を保ってもらうしかないと思うのです。
「象徴天皇制」という用語はご指摘の通り私の造語になってしまいましたが、意図したのは、憲法があえて「象徴」という言葉を用いて定めた現行天皇制ということです。「戦前あるいはそれ以前の天皇が仮に政治権力を有しなかったとしても、何の「象徴」なのですか？」との問いに対しては、時代により性質やその度合いも異なりますが、おおむね権力の正当性を象徴していたのではないでしょうか。
徳川家康が征夷大将軍を豊臣秀吉は関白の地位を朝廷から戴いていたのも、薩摩と長州が錦の御旗の下で戦ったのもすべてこれにより自身の政治的地位を有利にしたいがためでしょう。
中央集権の下、近代化を推し進めなければならなかった明治憲法時代には、さらに「神性」を帯びさせなければならなかったのでしょうが、長い歴史の中では明らかに異常です。
「「象徴」は、「ハトは平和の象徴」との語句にもあるように、それ自体としては尊崇や尊敬の意味を含みません」ということは当然です。
「象徴」という言葉が独立して何らかの効果を発揮するのではなく、何かを何かの象徴として宣言したり定めることに意味があるはずてす。マッカーサーが、混乱した戦後の国民の意識の統合を図るための象徴として天皇を用いたことに意味があるのであり、その結果、一定の効果を発揮したとすれば、当時の国民にそれを受容れる意識があったことの証明です。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。