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(回答先: 絶望から想像力が出発する。 投稿者 愚民党 日時 2003 年 7 月 02 日 23:57:51)
私は絶望の前に立ち、対峙する。
それは私自身の姿よりも大きくも小さくもなく
私一人の姿そのままの大きさをしている。
私より他に、そこに入ることが出来るものはないのだというほどに、
絶望とは、全く、私の等身大の影絵だ。
何故だろうか。私は私の父の背中を思い出した。
そして私は、
そうするのがごくごく自然な成り行きであるというふうに、
誰かに背中を押されるでもなく、
心に密かに決めるでもなく、
自らの意志と無意識の境界に渡された平行棒を渡るように
絶望の中に向かって歩みを進める。
変わった色もない。変わった匂いもない。変わった音もない。
普段見慣れた景色。行き交う人。交わされる言葉。
私の住む世界そののままの似姿。
私は自分の住処に辿り着くように、
絶望の底にたどり着いていた。
そこに身を横たえ、やがて
ひんやりとした居心地のよさを感じながら静かに眠りについて行く。
朦朧とした意識の中で、私は見ている。
もう一人の私が、絶望の中より歩み出でようとしている。
もう一人の私は、私に対して背を向けながら、
こう語りかけているように聞こえる。
「決して私について来ないで欲しい。
私がここから抜け出すことが出来なくなってしまうから」