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(回答先: 「消費」税のフェイク 投稿者 たこ 日時 2003 年 6 月 23 日 13:46:51)
消費税法の条文を、思い切って整理して並べておきます。以下の「...」は筆者による省略です(コメントは末尾)。
第4条(課税の対象) 国内において事業者が行つた資産の譲渡等には、この法律により、消費税を課する。(以下略)
第5条(納税義務者) 事業者は、国内において行つた課税資産の譲渡等につき、この法律により、消費税を納める義務がある。(以下略)
第7条(輸出免税等) 事業者(...を除く。)が国内において行う課税資産の譲渡等のうち、次に掲げるものに該当するものについては、消費税を免除する。
1.本邦からの輸出として行われる資産の譲渡又は貸付け
2号以下略
第30条(仕入税額控除) 事業者(...を除く。)が、国内において行う課税仕入れ...については、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める日の属する課税期間の...消費税額...から、当該課税期間中に国内において行つた課税仕入れに係る消費税額(当該課税仕入れに係る支払対価の額に105分の4を乗じて算出した金額をいう。...)...につき課された又は課されるべき消費税額(...)の合計額を控除する。
これらの条文からわかるように、ごく乱暴な表現をすると、売上から仕入を控除した金額を課税標準として、事業者に課されるある種の「事業税」(同名の地方税と区別するため、過去の政治議論にあった「第二事業税」を用います)です。もちろん、最終消費者が負担するとの政治的説明も不可能ではありませんが、これは価格転嫁が完全に行われるというフィクションの下に限ります(それに対して、「第二事業税」との説明は条文そのものから得られます)。
奇妙なことに、消費税が「第二事業税」との論は、消費税に反対した勢力のみならず、これを推進した勢力(中曽根内閣と竹下内閣当時の自民党)からも出されています。いわく、「赤字なら大企業でもほとんど納税がないのはケシカランから、消費税の導入でこれを是正する」です。この論では、消費者に転嫁すべきとの説明とは裏腹に、最初から事業者が納税すべき税目との本質を正しく指摘しています。
導入当初には、「外税」による転嫁を「指導」することによって、一応は下請企業などへの配慮も見られました。下請企業でも、消費税の導入時は、ほぼ自動的に納入価格の3%(当時の税率)アップが認められたケースが多いでしょう。もちろん、これは制度として保障されたものではありません。その後の「本体価格」の値下げ圧力をとどめるものではなく、また、「消費税」名目で下請代金を加算したか否かにかかわらず、仕入税額控除(当時は仕入価格の3/103)が認められますから、下請代金の加算を保障するものでもありません。
もっとも、消費税率の変更は、「値上げ」の正当な理由とみなされる傾向はありますから、今後においても、相当部分は価格(特に消費者価格)に転嫁されるでしょう。しかし、これを理由に、たとえばトヨタと下請業者の関係で、消費税相当額が下請価格に転嫁されると考えるべきではありません(「トヨタと下請業者」は、価格転嫁が最も困難な場面のひとつです)。
輸出免税については、別に考えるべきです。「輸出競争力」、「外国需要者に税負担を求めない」などは、消費税に限って輸出を免税とすべき理由ではありません。まったく同じ理由によって、生産財にかかる固定資産税なども免税が正当化されますが、現にそんな免税はありません。法人税なども、企業会計上の費用に違いありませんから、ある意味では、これも販売価格に転嫁されています(法人税の原資は売上)。輸出企業については、法人税免税でも、同じ理由で正当化されてしまいます。輸出免税については、消費税の性格などからの理論的な考察のみで当否を論じ得る問題ではありません。このような理由で消費税のみ免税とするのは政策的配慮以外にありません。「不完全な価格転嫁」という現状に照らすと、輸出免税の本質は、輸出奨励の補助金でしょう(特に還付)。