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(回答先: Re: 「高所得者に対して高税率で税収を上げる」 投稿者 アルク 日時 2003 年 6 月 03 日 12:52:57)
高所得者に対して高税率で税収を上げるというのは「累進課税」と言いますが、このような考え方になったのは戦後のアメリカの占領政策以来です。累進課税は占領軍の若き経済学者シャウプ博士によって導入されたと思いました。(違っていたらごめんなさい)それまでは収入に関わらず一定の税率を取るのが普通であると考えられていたので、ぜいたく品への税ならいざ知らず、所得そのもので多い人から高い税率という考えはシャウプ博士の本国のアメリカならば、共産主義革命の第一歩と恐れられたでしょうから、かなり衝撃的な方法論だったと思います。江戸時代の年貢だって4公6民みたいに収穫量に関係なく一律の割合でしたもんね。
幸い累進課税の実験台になった日本は戦争で焼け野原ですから、高率納税者である大金持ちなどは数字だけの想像上の存在だったでしょうし、大体新円発行になるほどのスーパーインフレ(ハイパーまではゆかなかったが)ですからお金よりモノが大事な状態だったから実感が湧かないし、戦後の混乱でストレスが溜まったほとんどの日本人は金持ちには憎悪もあったでしょうから累進課税という制度になっても深く考えるとか抵抗する余裕もなかったでしょうね。GHQにいたアメリカの経済学者はアメリカで実現不可能な社会主義的なことを、どんどん日本で行っていったと大学で習った。(投稿者は不経済学部卒業。經濟學部なんてのは日経のテレビ欄と私の履歴書以外に2ページほど多めにに読めるページが増えるぐらいの知識しか得られませんね。)
1929年の大恐慌以来、アメリカは経済停滞が甚だしく共和党のフーバー大統領のもとフーバーモラトリアムなどで救済措置をとっていたがままならず、F.ルーズベルト大統領になって有名なニューディール政策で公共事業を起こして産業活性化を図って少々活性化しました。しかし国家が産業に大幅に関与するのはアメリカ憲法違反になる(NIRAという政策を発表したら議会でこのように反対を受けました)ということで、このやりかたはストップになった。
実はこのニューディールのモデルは第一次大戦後のナチスドイツなのです。ドイツはアウトバーンなどの公共事業で産業活性化を行い、ワイマール体制でのハイパーインフレもナチスが与党になって収束させた。「これは奇跡だ」ということで多くのアメリカの政治家、産業人、学者が見学に行って取り入れられるものを探した。そのときにドイツに研究に行った一人が「不確定性の時代」の著者ハーバード大学のガルブレイス教授です。見事に産業復興をなしたヒトラーに「ノーベル賞を」という声も多かったそうです。
しかしです!、ドイツもアメリカも結局公共事業のみでは完全に立ち直れず、結局戦争走りました。まずドイツはズデーテン地方の併合からラインラント侵攻。アメリカは第二次大戦がはじまっても元来世論が参戦反対でしたが、ルーズベルトは参戦を画策していた。真珠湾攻撃を知っていてわざと防がず参戦世論の喚起に利用したとを疑う説も多い。
つまり経済を無理やり拡大させないと一国内の公共事業のみでは経済立て直しが不可能だったから戦争を利用したようにも思えます。そうすると日本は戦後は石炭など主要産業国有化に始まり傾斜生産方式など公共事業で持ってきたのに戦争していない。けれども輸出大国となった時点では輸入する側の先進国は経済戦争、経済侵略というようにとらえられていたのかもしれませんね。
累進課税の問題からずれて失礼しました。