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【キルクーク(イラク北部)井上卓弥】イラク北部の油田都市キルクーク(人口約50万人)で28日、米軍の監督の下、市評議会議員による市長と副市長の初の間接選挙が実施される。同市にはアラブ人、クルド人など4民族が混住。歴史的な民族間の主導権争いに加え、石油資源をめぐる米国や隣国トルコの思惑が絡み合う。キルクークの政治状況は、複雑な民族・宗教事情を抱えるイラクの縮図とも言え、選挙に注目が集まっている。
キルクーク周辺の油田掌握を目指したフセイン政権は、1980年代半ばから主要民族のクルド人を追放し、アラブ人を定住させる民族政策を推進。隣接するクルド人自治区に十数万人が強制移住させられた。
同政権時代のキルクークの人口構成は▽アラブ人約60%▽クルド人約20%▽トルクメン人(トルコ系)約10%▽アッシリア人(キリスト教徒)数%――とされるが、イラク戦争では自治区内に拠点を置くクルド武装勢力が米軍と共同作戦を展開しキルクークを制圧した。これを受け、強制移住者や家族ら約20万人のクルド人が同市に戻ったとみられている。
こうした経緯や将来の連邦制(南北3分割)構想などから、クルド人主導のキルクーク支配体制確立を目指す米軍は、市長と副市長の選挙資格を持つ市評議会の議席(定数30、うち6議席は米軍推薦)を各民族に6議席ずつ均等配分した。
しかし、旧政権党バース党員の排除を理由に差別的待遇を受けたアラブ人代表や、クルド人の油田地帯支配を恐れるトルコの意向を受けたトルクメン人代表が反発。ともに選挙ボイコットをほのめかし、一時は選挙不成立の可能性が高まった。
米軍と同評議会は26日、トルクメン、アッシリア、クルドの3民族から市長補佐職を1人ずつ任命することで合意。市長候補には米軍の推すクルド人弁護士が有力視されているが、民族間のバランスをとるため、アラブ人元実業家を副市長に充てることで最終的な妥協が図られる見通しだ。
[毎日新聞5月28日] ( 2003-05-28-10:22 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20030528k0000e030022000c.html