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【バグダッド=久保健一】サダム・フセイン政権下で長い弾圧下にあったイラクのイスラム教シーア派勢力が、同政権崩壊後、政治活動を活発化させている。
中核は、同国中部のシーア派聖地ナジャフを拠点に、イラン流のイスラム法学者統治によるイスラム国家樹立を主張する一派だ。米国は、イラン・イスラム革命の再来を恐れており、今後、こうした活動に介入する可能性もある。
「住民のことを第一に考えて、生活基盤の復旧に全力を挙げてほしい」
約200万人のシーア派教徒が暮らすバグダッド北部のサドル・シティー(旧サダム・シティー)地区最大のヘクマ・モスク(イスラム礼拝所)。今や同地区の為政者的存在のムハンマド・ファルトゥーシ師(31)は1日、配下の約100人のイスラム法学者を集め、約1時間にわたり訓示した。
同地区の名は、フセイン政権が99年に暗殺した故ムハンマド・サディク・サドル師にちなむ。バグダッド陥落後すぐ、サダム・シティーから改名された。シーア派貧困住民が大多数で、政府不在状態の中、自然発生的に法学者による自治が始まった。
法学者らは、病院や警察・消防などの各機関に常駐。病院側に要請し診察費を3分の1に値下げさせるなど、“手腕”を発揮。同モスクには連日、同師に援助を求める住民が詰めかける。
「世俗主義のフセイン政権が国民に何をしたのか? イスラム国家が最善だ」。ファルトゥーシ師は、本紙の取材に自信をみなぎらせた。
同師など、国内各地にいるシーア派“為政者”の多くを任命したのが、ナジャフのサドル師信奉者組織「殉教者サドル事務所」。フセイン政権に抵抗し続けた故サドル師を前面に出し、国内人口の60%を占めるシーア派内の最大勢力に急成長した。
ナジャフを中心とした同国シーア派は、法学者の政治関与を積極肯定する「発言主義派」と、政治不介入の立場を取る「静ひつ主義派」に大別される。同事務所は、亡命シーア派組織「イラク・イスラム革命最高評議会」(SCIRI)と並び発言主義派の中心的存在だ。
イランの「イスラム法学者による統治」(ベラヤティ・ファギー)の導入や米国など外国勢力排斥を主張する一方、フセイン政権関係者を擁護したとして、先月、静ひつ主義派の有力法学者、アブデルマジド・ホイ師を殺害したとされるなど、過激さも伝えられる。
政治参画について、同事務所の精神的指導者的地位にいるシーア派最高権威「大アヤトラ」のカーゼム・ハーエリ師が先月8日、「シーア派は可能な限りの新政権の要職を占めるべきだ」とするファトワ(宗教見解)を出すなど、野心を見せる。
(2003/5/4/22:20 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20030504id26.htm