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イスラエル 暴力停止要求、多数留保へ/パレスチナ 「予定通り」堅持
【アンマン=村上大介】米国と欧州連合(EU)、ロシア、国連の四者がパレスチナ和平に向けて策定した「ロードマップ(道筋)」が三十日、イスラエルとパレスチナ自治政府の双方に提示された。だが、イスラエルのシャロン政権はすでに公表前から核心部分について多数の留保をつける姿勢を示しているのに対し、パレスチナ側は原案通りの実施を求めており、実施は「入り口」でつまずく懸念が強い。
ロードマップは二〇〇五年を期限に和平への手順を三段階に分ける。第一段階で、イスラエル、パレスチナ双方による二国家共存の受諾やユダヤ人入植地の拡大凍結、パレスチナの「暴力とテロ」の停止を実現、第二段階として年内にパレスチナ暫定国家を樹立。二〇〇四−五年の最終段階でパレスチナ国家とイスラエルとの間で双方が首都だと主張するエルサレムの帰属や最終的な国境線の画定、パレスチナ難民の帰還権の問題解決を図り、パレスチナ紛争の最終的決着を狙う。
だが、イスラエルのシャロン首相は、第一段階からパレスチナ難民の帰還権放棄を求めてゆく方針であるほか、ユダヤ人入植地の拡大凍結など、ロードマップ全体のプロセスに入る「前提」として、テロをはじめとするパレスチナ側のいかなる「暴力」の停止を強く求め、入り口で「拒否権」を握ろうとしている。
これに対し、パレスチナ側は、プロセスすべての要素を字義通りに同時進行で実現してゆくとの立場を堅持する。その背景には、入植地の拡大凍結など、和平交渉に入ることによる何らかの「果実」を示すことができなければ、二〇〇〇年秋から続いた戦闘で、和平への絶望感に駆られ、武力衝突に走るパレスチナ住民を抑えることができないとの懸念がある。
一日付のイスラエル有力紙ハアレツによると、三十日にシャロン首相にロードマップを手渡した駐イスラエル米大使は、首相に対し「イスラエルはロードマップに注文をつけることができる」と述べ、すでにイスラエルに配慮を示している。
こうした構図は、すべて入り口で失敗に終わった過去の停戦調停とまったく変わっておらず、ロードマップを実効性ある和平案とするには、米国や欧州など同案の作成者を中心とした国際社会が計画実現に強い意思を示し、どれだけ両当事者に強い「圧力」をかけられるかにかかっている。
だが、ロードマップの“強制力”については、イスラエルへの配慮を最優先する米国と、字義通り実施に移すべきだとの立場を取る欧州など残る三者の間でも食い違いがあり、ハアレツ紙は「シャロン政権の面々が、ロードマップを受け取って笑顔でいられるのは、ブッシュ政権の中で、パレスチナ人を嫌うラムズフェルド国防長官らの発言力がさらに強まっているからだ」と論評した。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/02int001.htm