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(回答先: イラク:イランがシーア派へ救援物資 警戒強める米国側 −毎日新聞 投稿者 怪傑 日時 2003 年 4 月 29 日 23:31:57)
バグダッドから北東に車で約1時間。首都では見慣れない薄茶色の軍服を着た兵士が姿を現す。イラクを拠点に対イラン・ゲリラ活動を展開する反体制組織「ムジャヒディン・ハルク」だ。
検問所で銃を構えるイラン人兵士はアラビア語よりも流ちょうな英語で通行車両を点検する。数キロ先の「アシュラフ基地」では戦車を載せた大型トレーラーなどが行き交い、米軍兵を乗せたとみられる車両が基地に出入りする。
ムジャヒディン・ハルクはフセイン大統領が宿敵イランへの対抗上、庇護(ひご)してきた旧政権協力者だ。しかし、ブッシュ米政権がイスラム教シーア派の発言力増大によるイラクの「イラン化」に懸念を強める中、米国とムジャヒディン・ハルクの利害が反イランで一致。両者間で連携を模索する動きが表面化し始めている。
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「停戦が発効し、ムジャヒディンの一部は非戦闘態勢に移行した」。米中東軍は22日、米政府が「テロ組織」の一つに指定してきたムジャヒディン・ハルクとの停戦合意を発表した。米国が指定するテロ組織はアルカイダなど36組織あるが、停戦で合意したのは初めて。
ムジャヒディン・ハルクは1965年にイランの知識人らが社会主義化を目指し結成。イランの王制打倒に役割を果たしながら、イスラム勢力との関係悪化以来、イランの体制転覆を目指す。
勢力は推定数千人。戦車や砲を装備しているとされる。消息筋によると、米軍はイラク戦争でバグダッド北方約130キロにある「アル・マンスーリーヤ基地」を攻撃、ムジャヒディン・ハルク側に死者が出たという。
「米軍との停戦合意調印を歓迎する。我々の闘争はイスラム聖職者支配による正統性のない(イランの)体制に対してだけだ」。ムジャヒディン・ハルクのマスード・ラジャビ議長は22日、声明を出し、闘争の標的が米国でなく、イランの現体制である点を強調した。
関係筋によると、対米合意でムジャヒディン・ハルクは(1)検問所の設置(2)武装と対イラン闘争の継続――を認められた。スポークスマンのモフセン・ナディ氏は28日、同組織の軍事基地内で毎日新聞に強調した。「イランがイスラム聖職者による支配体制をイラクに拡大しようとしているのは確実。周辺地域や世界の脅威だ。我々も米国も同じ考えだ」
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バグダッドの旧ムジャヒディン・ハルク本部。フセイン政権時代には本部前の歩道は通行禁止とされ、高さ3メートル近い塀に遮られた内部はうかがい知れなかった。米英軍の空爆開始4日前、兵士らは本部から撤収し、郊外の基地に避難した。
1平方キロメートルほどの敷地には6階建ての本部ビルと住宅などが広がる。本部には今、「カハラマーナホテル」の横断幕が掛かる。86年にホテルを接収されたオーナーのウガイリさん(62)が米英軍によるバグダッド制圧後、復旧に着手した。
だが、街が落ち着きを取り戻し始めた20日、ムジャヒディン・ハルク兵士が突然、姿を見せた。「お前らは出て行け」――。本部としての再開を要求したという。
断固拒否の姿勢を取っていたウガイリさんは対米停戦合意のニュースに耳を疑った。「ムジャヒディン・ハルクは米国のカードだ。米国は彼らを使って、イラン勢力のイラク潜入を食い止めようとしている。米国は連中を居座らせるだろう」。ウガイリさんがあきらめた様子で解説する。
混乱から抜け切れない戦後のイラクで、米国の思惑が見え隠れする。
[毎日新聞4月29日] ( 2003-04-29-22:42 )