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イラクの首都バグダッド中心部に侵攻した米軍は8日、首都中心部にある共和国宮殿の占拠を続ける一方、チグリス川を渡って初めて市東側に進撃した。首都南東部では海兵隊がラシード空軍基地を制圧した。一方、米軍の激しい攻撃が続く中、カタールの衛星テレビ「アルジャジーラ」のバグダッド支局が米軍ミサイルに被弾、同テレビの記者1人が死亡したほか、多くの記者が滞在する「パレスチナホテル」に米軍戦車の砲弾が撃ち込まれ、ロイター通信などの記者5人が死傷した。
【アッサイリヤ基地(カタール)田中洋之】米軍は8日、A10攻撃機やアパッチ戦闘ヘリコプター、戦車部隊などを動員し、共和国防衛隊施設など首都中心部の主要施設に集中的な攻撃を加えた。戦車部隊は市内を流れるチグリス川をはさんでイラク側と激しい砲撃戦を展開した末、ジュムフリヤ橋を渡りチグリス川の東側に進入した。同橋の北側にあるシナク橋の西側で、米軍が対岸のイラク軍を攻撃しているとの報道もある。首都の東西地域を結ぶ橋を米軍が確保したことで、首都攻略作戦が急進展することも予想される。
米中東軍によると、バグダッド南東部では米海兵隊がラシード空軍基地を制圧した。米軍は首都南西郊外のサダム国際空港の制圧に続いて、空路補給の拠点をまた一つ確保したことになる。
米軍は首都の支配地域を一気に広げており、中東軍のソープ報道官は「我々は市内の兵力を増強している。イラク側の組織的な抵抗は見られない」と述べた。
一方、アルジャジーラの支局が米軍のミサイルに直撃され、ヨルダン国籍のカメラマン1人が死亡、他のスタッフ1人も負傷した。ミサイルが支局内の発電機に命中し、火災を起こしたという。米中東軍は同支局を標的にしたことを否定している。近くにあるアラブ首長国連邦(UAE)の「アブダビ・テレビ」の支局付近にも着弾したが、負傷者はいなかった。
また、米陸軍第3歩兵師団の司令官は同日、パレスチナホテルに米軍戦車が砲弾1発を撃ち込んだことを認めた。この砲撃でロイター通信のカメラマン1人が死亡したほか、同通信の記者など4人が負傷した。米軍はホテルの方からライフル銃などで攻撃を受けたため応戦したと主張しているが、同ホテルが記者団の滞在先であることは広く知られており、米軍の対応に批判が出ることは避けられない。
ロイター通信によると、イラク国営テレビは8日、フセイン大統領をたたえる映像や愛国歌を流した後、放送を停止した。また、フセイン大統領の長男ウダイ氏が所有するシャバド・テレビも砲撃され、8日午前から放映中止に追い込まれた。ラジオも一時、放送を中止した。
バグダッド南部では7日、イラク軍が米軍の通信センターを攻撃した際、スペインの記者とドイツのカメラマンが死亡している。
[毎日新聞4月8日] ( 2003-04-08-23:19 )