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軍主導の戦後復興、難航か イラク戦
「フセイン後」のイラク戦後復興論議が本格化し始めた。米英軍主導で内外のイラク人による暫定統治機構樹立を打ち出した米国に対し、暫定政権の受け皿になることを目論（もくろ）んでいた国外中心のイラク反体制派は反発を強めている。米軍がバグダッドに侵攻、イラク攻略が山場にさしかかる中、「新生イラク国家」樹立へ向けた利害調整はなお難航しそうな雰囲気だ。
「イラクは東ティモールでもコソボでもアフガニスタンでもない」――ライス米大統領補佐官（国家安全保障担当）は４日、イラク戦後復興の道筋案を示した記者会見で、暫定統治機構づくりを米英の「連合軍」で主導する考えを明確に打ち出した。一からの国家づくりに国連が主体的な役割を担った過去の紛争と、一定の行政機構を持つイラクの再建とは異なるとの主張だが、その本音は「米英両国が当面、主導的な役割を担うのは自然」との立場だ。
ライス氏は、米英両国について、「主体的役割の一つ」と述べ、国連の関与は今後の議論の対象とする考えを示したが、国連の主体的関与を求めている欧州各国などが今回の構想を「国連はずし」と受け止めるのは必至だ。豊かな石油資源を持つイラクの復興には、新たな利権分配という要素もあり、米英主導の復興への警戒感もある。米英側も、復興や人道支援にかかる費用は国際社会に分担を求めたい考えだけに今後、さらに調整が必要になるとみられる。
暫定統治に至るまでの間、水や電気の供給、人道支援などに当たる「イラク復興人道支援室」は米中央軍の指揮下に置かれ、各国代表も入るが、米国防総省が主導権を握る。室長は米退役中将のガーナー氏だ。「異教徒」の軍事占領に対するアラブ諸国の懸念もあってか、ライス氏は「支援室は暫定政権ではない」と主張するが、実態としては軍政に近い。「軍政」に対する反発が広まれば、国連やＮＧＯ（非政府組織）が連携しにくくなる事態も予想される。
新政府への移行政権と位置づける「暫定統治機構」は、イスラム教のシーア派、スンニ派、少数民族のクルド人など国内の各宗派、民族の代表に加え、内外の反体制イラク人組織を含む「幅広い基盤」（ライス氏）を持つものとするという。ただ、グループ間の利害調整をどう進めるのか、見通しは示されていない。
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テヘランに本部を置く反体制派のイスラム教シーア派組織、イラク・イスラム革命最高評議会（ＳＣＩＲＩ）のアブー・イスラム報道官は朝日新聞に対して、「イラク国民も反体制派も、米軍主導の統治構想など受け入れない」と憤った。
ＳＣＩＲＩやクルド２大政党の代表などでつくる反体制派の指導評議会は３月２７日に、フセイン政権崩壊にあわせて「民族の尊厳と国家の独立を維持するため」暫定政権を樹立すると宣言した。国連に協力を求めるとうたい、外国軍による統治を拒否する内容だった。
北イラクで米軍と共闘するクルド民主党のバルザニ議長は、４日付アラブ紙で「米軍による統治には反対だ。我々の犠牲に見合うだけの政権参加を求める」と明言した。反体制派の不満が高まれば、米がクルド部隊の協力を得て進めている北イラクでの作戦展開にも微妙な影響が出る可能性がある。
◇
連合軍の一翼を担う英国のストロー外相は先週、「イラクの人々が一刻も早く、国を運営すべきだ」と述べ、イラク各派の指導者による会議を国連が早期に招集し、戦後の構想を具体化するよう提唱した。アフガニスタン復興におけるボン会議が念頭にある。
英政府が想定するのは、復興支援を国連が担う一方、多国籍軍が治安回復に責任を負った「アフガン型」の国家再建のようだ。
「米国がイラクを長々と治めるつもりなら、支持しない」（中東担当のオブライエン閣外相）というのが英国の考えだ。ブレア首相は今週、北アイルランドでブッシュ大統領と会談する際、軍政の短期終結と国連の重視を働きかける可能性がある。 (04/06 09:43)
http://www.asahi.com/international/update/0406/002.html
[図] 米国のイラク復興構想
http://www.asahi.com/international/update/0406/images/nat0406003.jpg
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。