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バグダッド郊外のバグダッド(サダム)国際空港を制圧した米地上部隊は4日、同空港を拠点に首都攻略の準備を開始した。首都南東クートでは共和国防衛隊の約2500人が投降したと伝えられ、バグダッドでは市街戦を恐れる市民が郊外への避難を開始した。米政府は、一部で戦闘が続いていても「勝利」を宣言し、暫定政権樹立の準備を進める戦略を策定したとも伝えられ、フセイン政権が今後、求心力を保てるかどうかが焦点になってきた。
【アッサイリヤ基地(カタール)田中洋之】国際空港を制圧した米第3歩兵師団の指揮官がロイター通信に語ったところでは、滑走路の状態は良く、航空機の離陸着に問題はないとみられる。空港の地下にはイラク側が造ったとみられるトンネル網が発見され、一部はチグリス川方向に延びているという。
米軍当局によると、空港をめぐる攻防で、イラク側は化学兵器を使用しなかったが、バグダッド南部の工場で4日、白い粉の詰まった瓶や化学戦に関する文書が入った箱数千個、神経ガス解毒剤が発見されたという。
一方、米中東軍によると、バグダッド北部に展開する米特殊部隊はバグダッドとフセイン大統領の出身地ティクリートを結ぶ道路を封鎖した。北部では米軍の支援を受けたクルド人武装勢力がモスル制圧に向けて進撃している。
AFP通信は米軍報道官の話として、クートで共和国防衛隊バグダッド師団の約2500人が投降したと伝えた。バグダッドからの報道によると、多くの市民が郊外への避難を始め、フセイン政権の統制力低下の兆候との見方も出ている。
【ワシントン中島哲夫】4日付の米紙ワシントン・ポストは、ブッシュ政権がイラク戦争に関して、仮にフセイン大統領または側近が国土の一部で戦闘を続ける展開になっても「勝利」を宣言し、軍事占領とその後の暫定政権樹立に向けた準備を始めるという戦略を策定したと報じた。複数の米政府当局者の証言を引用して伝えた。
同紙によると、この構想は、米軍が主な抵抗を排除できた段階での実行を想定。米中東軍の司令官らがバグダッド以外に軍事占領の司令部を創設し、「新時代」の始まりを宣言する。治安維持と人道支援活動を援助するため、大規模な米軍兵力が居残るという。
【アンマン春日孝之】イラクのサハフ情報相は4日、国営テレビを通じ、フセイン大統領の新たな声明を読み上げた。米英軍が首都包囲網を狭める中、国民に「侵略軍に抗戦せよ。勝利は近い」と訴えている。
[毎日新聞4月4日] ( 2003-04-04-21:52 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20030405k0000m030111000c.html