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【カゼル近郊(イラク北部)藤生竹志】クルド人組織「クルド民主党」(KDP)の武装勢力と米特殊部隊が連携し、イラク軍に対じするイラクの北部戦線。その戦況は、フセイン政権が崩壊の道を歩むのかどうかを占うカギの1つだ。だが、湾岸戦争(91年)後、初めて同政権支配地域に進攻したクルド武装勢力と支援の米軍との作戦は、まだ、統制十分とはいえない状況だった。
「引け!。これはミリタリー・オぺレーション(軍事行動)だ。早く下がれ!。安全は保証出来ないぞ」。米特殊部隊の兵士が報道陣に向かって叫ぶ。クルド武装勢力はカラシニコフ銃や機関銃で激しく反撃したが、その実態はめった撃ちだった。
クルド武装勢力は最初、優勢かとみえたが、次第に押し戻されていた。
「逃げろ!」。兵士の叫び声を聞き、反射的にイラク軍が残した土豪に走りこみ、身を硬くして頭を抱えた。その直後に、約50メートル背後で「ドーン」と爆発が起き、煙が上がった。
攻撃が収まると、穴からはい出してイラク軍の様子を見ようと試みた。榴弾砲や迫撃砲の「ボン」という発射音が聞こえるたびに土豪に駆け込んだ。そんなことを何度か繰り返した。イラク軍が放棄した土豪には、仕掛け爆弾が残されている可能性もあったが、そんなことを考える余裕もなかった。
AFP通信は3日、イラク軍の戦略的要衝とされるイラク北部の村カゼルで、約200人のイラク兵と約120人のクルド兵が交戦したと伝えた。クルド武装勢力司令官は同通信に「戦線が開かれた」と話し、北部戦線での本格的な地上戦開始を告げた。
劣勢を受けて、米特殊部隊が急きょ、無線で空爆支援を要請した。戦闘開始から30分もしないうちに、米軍戦闘機によるイラク軍への空爆が始まった。約2キロ先に見えるカゼル周辺のあちこちから煙が上がった。橋が爆破され、イラク兵が乗っていたトラックが吹き飛ばされるのが双眼鏡で見えた。
私たち報道陣にとっては、戦場からいつ逃げ出すかが大問題だった。イラク兵が見ていれば攻撃される可能性もあった。
「今だ。早く走れ!」。自治区入り以来、取材で一緒に行動してきた、地元の裏事情に詳しい武器商人の声に、はじかれたように走り出した。息が続く限り走って、何とか脱出した。
北部戦線では、米軍機によるイラク軍陣地への空爆支援を受け、これまで自治区から出ようとしなかったクルド武装勢力が境界線を越え始めた。だが、フセイン政権はクルド人指導者に対し、米軍を支援しないよう強く警告している。
3日の戦闘は夕方になってやっと収まった。だが、自治区に入る米兵は近く、約2000人に達する見通しだ。一方のイラク側は精鋭部隊「共和国防衛隊」を、北部の油田都市キルクークやモスルなどに配置している。北部戦線でも今後、激しい戦闘が繰り返されるのは必至といえそうだ。
[毎日新聞4月4日] ( 2003-04-04-21:35 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20030405k0000m030080001c.html