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【カイロ小倉孝保】米英軍は3日、イラクの首都バグダッドのサダム国際空港を制圧したことで首都決戦に向けた足場を整え、次は市街戦を巡る攻防がヤマ場となる。米英軍は市街戦回避のためイラク市民の蜂起を期待しているが、それにはフセイン大統領の生死がカギを握り、米英軍にとってもこれから難しい局面を迎える。
フセイン大統領の動静については、米英政府が盛んに死亡の可能性を示唆しており、外国のラジオを聞いているイラク国民はこうした情報を入手している。
しかし、独裁国家であるイラクでは、大統領が死亡すれば、すぐに政権は内部崩壊し、それが表面化することを国民は知っている。サブリ外相が4日、英BBCラジオで「大統領は生きている。どこにいるかは言えない」と語るなど、政権幹部による大統領健在のメッセージも続いている。
91年の湾岸戦争後、イラク南部や北部で住民が立ち上がったが、米軍はこれを支援せず、結局、住民はフセイン大統領による大弾圧を受けた。住民にはこの苦い記憶が焼き付いている。
イラク人ジャーナリストや外交筋にも、「最終的に住民蜂起は起こりうるが、それはフセイン大統領の死亡が確認されるなど、誰がみてもフセイン政権崩壊がはっきりした時点だろう」との意見が多い。
食料不足が深刻との情報もある。しかし、イラク政府は開戦前、大量の食料配給を行い、国民に備蓄を徹底させた。一般のバグダッド市民の多くは3、4カ月分のろう城に耐える食料を備蓄しており、極端な社会不安にはなりにくい状況だ。
むしろ、市民の負担になりそうなのは停電だ。バグダッドは3日から一斉停電状態とされ、「夜の暗さが市民に与える心理的負担は予想以上に大きい」(外交筋)といわれる。しかも、夏場にかかったバグダッドで冷蔵庫が使用できないことへの市民の不安は予想を超えるとの見方もある。
米中東軍は3日、イスラム教シーア派の聖地ナジャフで、宗教指導者が進撃する米軍を妨げないよう求める宗教令を出したと発表した。だが、カタールの衛星テレビは、この指導者がすぐに否定したと報道した。
イラク宗教界は完全にフセイン政権に管理されており、こうした宗教令を出す可能性は乏しい。イラク国民は米軍の発表を「米軍はイラク宗教界の現状を知らない」と感じたとみられる。
[毎日新聞4月4日] ( 2003-04-04-20:13 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20030405k0000m030077000c.html