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【カイロ小倉孝保】米軍が攻略をめざすカルバラは、預言者ムハンマド(マホメット)の孫フサインとその弟アッバースが殺害されたイスラム教シーア派の聖地だ。米軍のカルバラ攻撃によってモスク(イスラム寺院)が破壊されるなどした場合、全イスラム教徒が一気に反米姿勢を強める可能性もある。
カルバラは元来、スンニ派主体のフセイン政権への反発が強い町とされ、91年の湾岸戦争後には住民蜂起も発生した。シーア派の動向はイラク戦争の行方を左右する大きなカギだ。
しかし汎アラブ紙「アッシャルク・アルアウサト」のサミール・アッタラー編集局次長は2日付け同紙で「米国はシーア派が反フセイン政権の蜂起を起こすことを期待していたが、シーア派教徒は米国への怒りを燃え上がらせ、米国の攻撃に対抗することを最重要だと考えている」と分析している。
イラクはカルバラに共和国防衛隊を配置して二つのモスク周辺の防衛に全力をあげているとみられ、米軍の攻撃でイスラム関係施設が被害を受けたり、シーア派市民に多数の被害者が出れば、反米感情が一気に盛り上がるのは確実だ。
また、カタールの衛星テレビ「アルジャジーラ」によると、やはりシーア派の聖地であるナジャフでは最近、シーア派とスンニ派の連帯の必要性を叫ぶ声が高まり、両教徒が一緒に礼拝する姿が増えているという。米軍のカルバラ攻撃によっては、イラク、イラン、シリア、レバノンに広がるシーア派ネットワークだけでなく、全イスラム教徒が米軍の攻撃をイスラムへの挑戦と受け取る可能性もある。
フサインとアッバースは680年、カルバラでウマイヤ朝軍(現在のスンニ派)の攻撃に遭い、殉教した。シーア派教徒は「カルバラの悲劇」として語り継ぎ、今でも、モスクの講話などでこの悲劇を聞いて涙を流すシーア派教徒の姿が見られる。
現在のカルバラは、町の中心にフサイン・モスク、アッバース・モスクが並んで建ち、その周囲に土産物屋が並んでいる。カルバラで埋葬されることを希望してイラク全土から遺体が運ばれ、常に葬儀が行われている。また、二つのモスクの周りには、大きな墓地が広がり、町全体が宗教色を帯びている。
[毎日新聞4月2日] ( 2003-04-02-21:39 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20030403k0000m030109000c.html