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イラク戦争:バグダッド攻防の焦点 米軍の補給作戦の現状追う [毎日新聞]
http://www.asyura.com/0304/war29/msg/761.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 3 月 31 日 17:57:45:


 イラク進撃中の米地上部隊は首都バグダッドの南約80キロのカルバラ付近まで到達しているが、前線に食料や燃料、弾薬などを供給する補給線の確保がイラク軍のゲリラ攻勢などで困難になり、作戦の大きな障害となりかねない情勢だ。バグダッド攻防の成否の焦点に浮上している米軍の補給作戦の現状を追った。

 バグダッドの南のナジャフやナシリヤ、サマワに展開している地上部隊は食料や燃料不足で兵士の食事が1日1回に減らされているほか、燃料の節約のため装甲車の使用も制限されている。AFP通信によると、イラク中部では食事を制限され空腹の米兵に、イラク人が羊や鶏肉、卵などを分け与えるケースも出ているという。

 補給線の確保が困難になった理由は、地上軍が予想外に速いペースで進撃し、補給のスピードが追いつかないことに加え、イラクのゲリラ攻勢による隊列の襲撃などがある。南部ナシリヤで23日、米陸軍第3歩兵師団の整備補修を担当する「507歩兵中隊」がゲリラ部隊「フェダイン・サダム」の奇襲を受け米兵9人が死亡、12人が行方不明となり補給線のもろさが表面化した。その後も断続的にゲリラ攻撃を受けており、輸送が困難となって引き返すケースも出ている。また砂嵐で補給部隊を先導する監視用の武装ヘリが飛べず、空中支援なしで移動を余儀なくされているケースもあるという。

 このため米軍は、ナシリヤ近郊で制圧した飛行場に29日、第82空てい師団を配置し補給部隊の安全確保に乗り出した。米軍はこの飛行場を「ブッシュ国際空港」と名付け、補給基地とする考えだ。

   □  □

 今回のイラク攻撃で米軍は、クウェートのシュアイバ港に陸揚げした必要物資を前線まで陸路輸送している。カルバラまでの距離は約500キロに及ぶ。隊列にはトラックやタンクローリー、クレーン車などが加わる。スピードは遅く、1日の走行もせいぜい200〜300キロのことが多い。隊列が1キロにも延びることがあり、迷子になる車もある。

 イラク国内には約10万人の米兵が展開している。この中でも約1万6000人規模の米第3歩兵師団の維持だけで膨大な物資が必要だ。暑い砂漠地帯で従軍する兵士には食料とともに水分が欠かせない。1師団で1日当たり100万リットル以上の水が使用される。浄水器を持っている部隊もあり、補給物資が届かないためユーフラテス川から水を取り、飲み水を作っているという。

 また、戦車や装甲車、ヘリコプターなどの燃料で1日当たり230〜285万リットルを消費。特に攻撃ヘリ「アパッチ」1機で1時間当たり400リットルのディーゼル燃料を使用する。このほか、進撃に伴いイラク市民に与える人道物資や捕虜の輸送も必要になりつつあり、大きな負担となっている。

 補給部隊は作戦部隊と異なり、イラク軍のゲリラ攻撃に対抗する十分な武器を持っていない。天候や道路の状況も極めて悪い。米軍関係者は「500キロにも及ぶルートを車列が移動するのは大きなリスクを伴う」と指摘する。特に約1万9000リットルの燃料を積む巨大なタンクローリーは側面攻撃の絶好の標的となる。

 米中東軍のレニュアート作戦部長は29日の会見で、「補給ルートへのイラク軍の攻撃は続いているが、各部隊への兵たん支援は止まっていない。必要物資も十分な量を確保している」と語った。また、前線部隊の進軍が一時停止しているとの指摘について「我々は空爆や地上からの砲撃を続けている」と作戦が順調に進んでいると強気の姿勢を変えていない。 【アッサイリヤ基地(カタール)田中洋之】

 ▽軍事外交評論家、松井茂イラク情報センター理事長の話

 イラク戦争が長期化すると見られる中、米軍が今後の戦いを維持する上で大きな問題となるのは、水や燃料、食料の補給だ。4月、5月に入ると、イラクは急に気温が上がり、日中の気温が50度近くにもなることもある。現在、米兵は1日当たり1・5リットルのペットボトル3本の水が配給されている。欧州などの戦場であれば、これで十分だが、夏場のイラクでは10本(15リットル)は必要だ。

 また、乾燥した砂漠の暑さは、食欲を増進させる。現在、補給の遅れから1日1食に制限されている部隊があるというが、十分な食事ができないと戦意の喪失につながりかねない。

 実際の補給方法はトラックなどによる陸上輸送が最も効率がいい。空輸では、大きな飛行場を確保せねばならない。空中からのパラシュートでの降下では落とせる量に限りがある。

 だが、イラク軍は、ゲリラ戦により陸上の補給線を断ち切る作戦を考えているはずだ。米軍は4月以降、「デジタル師団」と呼ばれる第4歩兵師団、米陸軍最強の第1機甲師団を投入する予定で、補給量はこれまでの3、4倍に増えるとみられる。また、作戦展開に沿って前線が細分化すればするほど、途中で、自爆テロなどにさらされる可能性が高くなり、補給は難しくなる。

[毎日新聞3月30日] ( 2003-03-30-22:48 )

http://www.mainichi.co.jp/news/flash/kokusai/20030331k0000m030079001c.html

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