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米英軍のイラク攻撃が続く中、アラブ世界の民衆は次第にイラクびいきを強めている。近現代史を通じ、外国勢力に常に屈服を強いられてきたアラブは、米英の軍事力に抵抗を続けるイラクに、かつての反植民地闘争のイメージさえ重ね合わせている。
中東に惨禍をもたらしてきたフセイン政権は支持しないが、米英も支援したくない――民衆は相矛盾する複雑な心情に揺れている。イラクの解放と中東民主化――米国が掲げる戦争の大義は、少なくとも現時点ではアラブ大衆には浸透していない。
「これは米、英、(米国が後押しする)イスラエルがアラブ世界に仕掛けた第3次世界大戦だ!」。アラブ各地で反戦デモが繰り広げられた28日、レバノン北部トリポリでは約7万5000人の市民が「アラブの反撃」を訴えた。同市を二分するキリスト、イスラム両教徒の各代表は「弱者の声に耳を傾けよ」「世界は今や善と悪に二分された」などとゲキを飛ばした。
こうした心情が、イラク国民に対するアラブ同胞としての共感、いわばアラブ民族主義に基づく連帯感だとすれば、異教徒の侵攻に対するイスラム教徒としての反発もある。
イスラム教第1の聖地メッカ(サウジアラビア)の大モスク導師、サーリハ・フマイド師は28日の金曜礼拝で、米英に対し「不正な戦争を直ちにやめよ。もし続ければ(イスラム教徒の)憎悪と衝突を燃え上がらせるだろう」と警告。他方、信徒には「イスラム教徒の力を取り戻せ」と呼びかけた。
こうした訴えの底にあるのは、外部勢力に蹂躙(じゆうりん)されてきた苦い歴史だ。アラブは16世紀初めから約300年にわたりオスマン帝国下で異民族トルコに支配され、第1次世界大戦後は英仏による分割、植民地統治を受けた。さらに1948年にユダヤ人が建国したイスラエルとは4度戦争をしながら、いまだ占領地を回復できないでいる。
中央アジアからイベリア半島に至る広大な地域を支配した栄光の時代は、1300年も昔の記憶に過ぎない。イラク軍が見せた執拗(しつよう)な抵抗ぶりは、こうした敗北感を癒やす効果さえもたらしている。
「サダム・フセインには倒れて欲しい。だが、もうしばらくは持ちこたえて、米国に教訓を与えて欲しいというのが心情だ」。サウジ紙アル・マディーナのハリド・バタルフィ編集長は米紙に複雑な胸の内を明かした。
こうした一時的な「イラクびいき」は、米英軍が開戦直後、イラク南部ウンムカスルの制圧を早々発表しながら、手こずっていることが判明した時点から顕著になった。特に米軍が星条旗を掲揚した光景は、アラブのテレビで繰り返し放映され、「イラク解放という米国が主張する戦争目的は名目に過ぎず、実際はイラクを支配しにやってきた」との印象を強めた。
「独裁者フセインは消え去った方がいい。だが、強大な米英軍に断固抵抗するイラクの人々は称賛すべきだ」とカイロの石油会社役員ワギダ・マスリさん(52)は言う。カイロ・アメリカン大学マスコミ学科のハンザダ・フィクリー前教授は「フセイン嫌いの者まで米英の底意を疑うようになっている」と指摘する。
アラブ諸国はこうした民衆の憤懣(ふんまん)が暴発し、制御不能になることを恐れ、世論の慰撫(いぶ)に懸命だが、これまでの戦争の経緯を見る限り、米国がフセイン政権打倒に最終的に成功したとしても、戦後復興や中東での政治改革の取り組みが極めて多難なものになることは必至の情勢だ。(カイロ 平野 真一)
(2003/3/30/00:43 読売新聞 無断転載禁止)
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アラブ民衆というよりは世界的な声ではないでしょうか。
現在の米・英同盟軍の状況をみると、戦線が拡大し過ぎて補給が続かず(補給船を戦闘爆撃機・潜水艦に沈められたため)第2次世界大戦で米・英などの連合軍に敗北をした、日本軍や、ソ連の冬将軍に行く手をはばまれた旧ドイツ第3帝国軍をみる思いです。