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防衛庁は27日、米軍が対イラクのピンポイント爆撃に使用している巡航ミサイル「トマホーク」(射程約1700キロ)など、他国基地に限定的な攻撃を加えられる兵器の導入に向け検討に入った。防衛庁筋が明らかにした。核兵器や弾道ミサイルの開発を進める北朝鮮の動きに国内の不安が高まっていることなどを踏まえた。ただ、自衛隊には敵地攻撃能力を持たせない、としてきた従来の専守防衛政策の転換にもつながりかねないだけに、防衛庁は世論の動向を見極めながら、政府・与党内の調整を慎重に進めたい考えだ。
27日、敵地攻撃能力の保有に意欲を示した石破茂防衛庁長官は、トマホークの購入が可能かどうかなど、米側との水面下の調整を図るよう周辺に指示している。
ただ、トマホーク導入論議をめぐっては、周辺諸国の反発などを懸念する声や、防衛政策の転換に消極的な意見もある。福田康夫官房長官は27日の記者会見で「政府全体としてどう判断するかは別だ。とりあえずそういう計画は持っていない」と述べ、導入には慎重な見方を示した。
◇背景に北朝鮮の脅威
防衛庁が巡航ミサイル「トマホーク」など敵地攻撃能力を持つ兵器の保有を検討し始めた背景には、弾道ミサイル発射の動きをみせる北朝鮮の脅威がある。また、安保論議に一石を投じることで将来的なミサイル導入に道筋をつけたい狙いもあるとみられる。ただ、日本が専守防衛の国是を変更する大きな政策転換になるのでは、との印象を与え、周辺諸国との摩擦材料になる可能性も否定できない。政府内には慎重論もあって、導入までには課題も多い。
政府は既に戦闘機の航続距離を延ばす空中給油機の導入を決めており、28には初の情報収集衛星(偵察衛星)を打ち上げる予定。これをとマホーク導入を合わせ「3点セットで北朝鮮に軍事的な圧力をかける狙い」(日米防衛関係筋)との見方もあるが、北朝鮮を刺激するのは確実だ。
政府は従来、他国からミサイル攻撃を受けた場合に発射基地を攻撃することは「法理的に可能」との憲法解釈をとる一方で、大陸間弾道ミサイル(ICBM)、長距離戦略爆撃機、攻撃型空母については「他国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられる攻撃的兵器」との解釈をとり、保有は違憲としてきた。
だが、巡航ミサイルについては違う解釈をとっている。石破茂防衛庁長官は(1)保有に憲法解釈の変更は必要ない(2)日本を攻撃するミサイル基地などを目標に精密爆撃する限定的な攻撃力の保有は専守防衛の国是に反しない――と判断。27日の国会答弁では「専守防衛を侵すものでもない」との考えを強調した。
トマホークなどは米から購入する必要がある。米軍が04年から実戦配備する弾道ミサイル防衛システムの導入と併せ、対来調整も必要だ。
ただ、日本が他国から攻撃された場合、自衛隊は自国を守る「盾」に徹し、米軍が反撃の「矛」役を担うのが日米安全保障体制の枠組みだ。自衛隊が反撃能力を持つことは、日米安保体制の見直しにもつながる。
これについて小泉純一郎首相は27日夜、記者団に「検討するのはいいということでしょ。日本は専守防衛に徹する。これに変わりありません」と述べ、導入論議そのものには異を唱えず、専守防衛を変更する考えのないことを強調した。
【平田崇浩】
【トマホーク】
米軍が開発した長距離巡航ミサイル。潜水艦やイージス艦など水中や水上から発射でき、核弾頭の搭載も可能。最大射程は核弾頭搭載型が約2500キロ、通常弾頭型が約1700キロとされる。命中精度は約10メートル。「東京から発射して博多にあるサッカーゴールに突き刺さる」(防衛庁幹部)ほど精度が高い。現在は米英だけが保有しており、91年の湾岸戦争で使用したほか、今回のイラク攻撃にも使われている。
[毎日新聞3月28日] ( 2003-03-28-03:01 )
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/20030328k0000m010155000c.html