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(回答先: 【イラク侵略戦争のゆくえ】 傲慢者らしく“願望”と“信仰”で作戦計画を立てたブッシュ政権 − 戦闘の勝利さえ危うい実情 − 投稿者 あっしら 日時 2003 年 3 月 23 日 00:51:51)
クウェートからイラク南部に突入した米英の地上部隊はさほど頑強な抵抗を受けずに進撃を続けている。バグダッドなどで猛空爆が行われ、戦況の焦点は「米英軍が一方的に有利なまま収束に向かうのか」「イラク側は生物・化学兵器を使うのか」「首都バグダッドでの市街戦はあるのか」などに移りつつある。自軍兵士とイラク民間人の流血を出来るだけ避けたい米国は、イラク側の早期降伏を引き出そうと、フセイン政権幹部の投降を促す裏工作に力を注いでいる。
21日、ワシントン郊外の国防総省で記者会見したラムズフェルド長官は、自信満々だった。
「イラク政府内の混乱が増大している。戦況を把握し、軍と意思疎通し、国家を統制する能力が失われつつある」
米政府筋によると、この発言の背景には米側が盗聴しているイラク政府と軍の通信が激減している現実がある。フセイン大統領が指示を出している形跡がほとんどなく、軍の指揮命令系統も機能していないとみられることが、長官の自信の背景にある。
フセイン大統領の死亡説にもつながる現象だが、ラムズフェルド長官は会見で別の根拠を示した。水面下でイラク軍部との投降交渉を開戦前からひそかに続けてきた事実を明らかにした。
イラク南部バスラの防衛にあたっていたイラク軍第51歩兵師団は、正副司令官が投降したのに続き、兵員の大半も秩序正しく投降したと伝えられる。ラムズフェルド国防長官の発言を裏付ける出来事ともいえる。
だが、実はフセイン大統領の信頼が最も厚い首都防衛の共和国防衛隊でさえ、有力部隊の指揮官が投降交渉に応じているという。その交渉が行き詰まったため、圧力をかけようとラムズフェルド長官は「衝撃と畏怖」と称する大規模爆撃に踏み切った――。ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)が22日、米政府高官の証言を引用して伝えた話だ。
パウエル米国務長官は21日、米政府にはイラクとの間に世界各国の複数のルートで人的パイプがあり、これを通じてフセイン政権に「変化」が不可避なことを伝えてきたと明言した。米英軍のイラク攻撃作戦が「非常に好調に進展している」と評価し、「イラクの指導者たちは自分の時代が終わったことを認識するのが賢明だろう」とも述べ事実上、亡命または投降することを呼びかけた。
しかし、22日付のワシントン・ポスト紙は、米軍とCIA(米中央情報局)の当局者が複数のイラク軍指揮官と接触し、一部からは米軍地上部隊に化学兵器を使用しないという約束をとりつけたものの、共和国防衛隊の一部部隊は化学兵器を搭載した砲弾の支給を受けた兆候があると報じた。バグダッド市街戦にまで至るのかどうかも含め、戦況はなお流動的だ。
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米英軍地上部隊が20日(日本時間21日未明)、イラク領内へ進撃したが、大方が予想しなかった素早い動きだった。湾岸戦争(91年)では地上戦に入るため39日間の空爆を要した。マイヤーズ統合参謀本部議長は21日の記者会見で「イラク南部の油田の安全確保」が突然の侵攻の理由の一つだったことを明らかにした。
米軍の空爆が始まって以来、イラク軍は計7カ所の油田に火を放った。米軍筋によると、クウェートのイラク国境に集結していた海兵隊員は今週初め、油田の放火が確認された場合、数時間以内に攻撃準備態勢が取れるよう命令を受けていたとされる。戦後復興をにらんだ油田確保が、作戦の一つの焦点だった。
イラクの確認石油埋蔵量は1125億バレル。油田はイラク全土で1000カ所を超える。イラクが戦後、経済復興を果たすために原油生産は欠かせない。米英軍が特に重視しているのは北東部キルクークと南部バスラ近くのルメイラ。二つの地域でイラク全体の約80%に上る石油を産出している。
イラク軍は91年の湾岸戦争でクウェートから撤退する際、約700の油田に火を付けた。復旧費用に200億ドル以上かかったと言われ、復興に8カ月を要した。
キルクークとルメイラの油田や石油精製所が完全に破壊された場合、復旧に9カ月から3年かかるとされる。これまでのところ、大規模な破壊行為は確認されていない。米軍は作戦の初期段階として南部の油田地帯を順次制圧。北部に特殊部隊を展開しキルクークの油田を確保する狙いとみられる。 【ワシントン中島哲夫】
[毎日新聞3月23日] ( 2003-03-23-01:45 )