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軍事に暗く限られた情報しか入手できない状況でフライングの書き込みになるが、米英が考えていると思われる「イラク侵略作戦」を考えてみた。
素人の浅はかな見通しという感じでお読みいただきたい。
基本的には、「自国兵士の犠牲への配慮」と「国際世論への配慮」という二つの配慮を基礎として作戦が立てられていると思う。
● 自国兵士の犠牲への配慮
今回の侵略目的からバグダッド攻略とその軍事的制圧が不可欠の条件である。
それが達成されなければ、名目的であっても「占領政府」を樹立できない。
このテーマをできるだけ少ない自国兵士の犠牲で達成するためには、スムーズにバグダッドまで侵攻し、しかも、バグダッドでの市街戦を避けなければならない。
さらに、クウェートから500Kmも離れているバグダッドまで数百トンと言われる補給を確保しなければならない。
米英軍の侵攻部隊兵力は12万から13万人とされている。
500Kmの補給路を制空権だけで確保することはできない。
空から補給をすることもできるが、弾薬の類であればいいが水や燃料は難しいし、確実に補給できる確度も低下する。
12万人を1Km単位で割り当てれば240人である。100m単位であれば24人である。戦車や装甲車があるとしても、補給路を確保すること自体が困難な兵力しかないと言える。
そして、補給を確保するために兵力を割けば割くほど、バグダッド攻略の兵力が減少することになる。
例えば、5万人をバグダッド攻略部隊に振り向けるとする。
地方都市は無視するとしても、7万人から8万人が補給路の確保では、1Km単位に160人しか配置できないことになる。
この場合、南部地域に民兵レベルの反米勢力が存在すれば、補給路の確保はできないだろう。(輸送トラックに戦車などの強力護衛を付ければその分攻略能力が減少する)
補給が断たれれば、5万人がバグダッドにスムーズに到達したとしても、すぐに身動きができなくなり、正規部隊が民兵と同じ活動力になってしまう。
最悪は、補給も確保できず、バグダッド攻略部隊の背後(南部)から反米武装勢力が襲ってきたときである。バグダッド市内と外からの挟撃にさらされることになる。
こうなると、猛空爆で援護したり空から懸命に物資を投下しても、攻略部隊の命運は断たれることになる。
これくらいは米英の作戦立案責任者もわかっている。
だから、なんとしても、南部地域及び中部地域の反米抵抗勢力を排除しなければならない。
(北部地域からの侵攻部隊は、主力をサポートするレベルの兵力しかないようだから、クウェート方面からの主力部隊が動き始めない限り、動くことができず待機状況になる)
それが達成できない限り、バグダッド攻略作戦はやりたくてもやれない。
現段階は、正規軍を含む南部地域及び中部地域の反米抵抗勢力を投降させるか寝返らせるかの作戦を実施しているはずある。
しかし、この作戦で正規軍を排除したとしても、民兵(部族社会の兵力)が機を見て反米抵抗活動をする状況であれば、バグダッド攻略作戦に踏み出すことは危険な賭けとなる。
このようなことから、バグダッド攻略作戦は、恐る恐る状況を見ながら進められることになると推測する。
● 国際世論への配慮
元々イラク侵略は、国際社会の強い反対を受けながら愚かにも踏み切った戦争である。
東京大空襲のような無差別都市空爆を行なえば、国際社会の反戦=反米英の動きが加速化することになる。
開戦前には豪語し、能力としても可能な3000発の強力精密爆弾を使った空爆の敢行は、とてつもない英断を必要とする作戦である。
今日の空爆でも既に10名の犠牲者が報告されているが、無差別空爆で数百、数千の犠牲者が出たことが報告されれば、米英に対する風当たりはより強いものになる。
もちろん、戦況が膠着というかバグダッド侵攻作戦のめどが立たない状況が続けば、バグダッドを含む都市への大空爆を実施することになると予測している。
しかし、それはごく短期のものでなければならない。そのような空爆は、それを梃子に一気にバクダッドを攻略するという“決意”(可能かどうかは別問題)がなければ行なえない。
バグダッド攻略作戦の失敗を恐れてイラク焦土作戦のような空爆を行なえば、米英の継戦は危うくなるだろう。(英国は大多数が米国でも賛否が拮抗している世論のなかで踏み切った戦争である)
これらの二つの要因から、しばらくは軍事施設・行政施設・通信施設に的を絞った空爆が続くのではないかと考えている。
そして、今回のイラク侵略戦争の絶対命題であるバグダッド攻略は、常にその実施への圧力を受けながら延ばされていくと予測している。
これは、ラムズフェルド長官を筆頭とする国防総省文官と制服組の確執が続くことを意味する。
文官が大統領を動かして、バグダッド攻略作戦の早期実施を制服組に迫れば制服組は実施に踏み切らざるを得ない。
そのようなかたちであれば、事前に虐殺と破壊の嵐といえる猛空爆が短期集中で実施されることになるだろう。
そして、それでも、バグダッドを制圧できるとは限らないのである。
今回のイラク侵略戦争は、初日のような状況がけっこう長期にわたって続くような予感がする。
とにかく、痺れを切らしたほうが軍事的レベルでも敗北を喫する戦いである。