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(回答先: 「脅威」排除に先制攻撃 ブッシュ・ドクトリン初適用 「米国だけに許されるという論理通用しない」 [東京新聞] 投稿者 ファントムランチ 日時 2003 年 3 月 20 日 21:47:23)
「お前こそ、外国の代理人だ。外国の力で指導者になったくせに」。今月1日、エジプトで開かれたアラブ首脳会議で、サウジアラビアのアブドラ皇太子がリビアの最高指導者カダフィ大佐を怒鳴りつけた。皇太子が言う「外国」がどこなのかは不明だが、あまりに生々しい発言にエジプトの国営テレビが生中継を中断するほどだった。
引き金は、直前のカダフィ大佐の演説だった。大佐は、90年にイラク軍がクウェートを侵攻した際、ファハド・サウジ国王に電話したことを明かし「国王は、米軍の力は圧倒的で、アラブのどこの国にも入れると話した」と暴露した。2人の激しいやり取りは、アラブ諸国が外国の勢力拡大にいかに神経をとがらせているかをうかがわせた。
今回、ブッシュ米大統領は「中東の民主化」という“武器”を持ち出した。フセイン大統領の下、24年間に及ぶ独裁国家を生きてきたイラク国民にとって、今回の戦争は「解放戦争」の側面がある。だが、フセイン後の国家体制作りを考えると、スンニ派やシーア派のイスラム教徒、アラブ人やクルド人が混住する、複雑な民族・宗教構成のイラクで、米国から与えられた民主主義が根付くかどうかには疑問が多い。
多くのアラブ人は中東で米国が非民主国家を支援していることをよく知っており、米の言葉を信じない。サウジに選挙はなく、女性は車の運転も許されていない。エジプトでは本音で大統領を支持する人はあまり聞かれないにもかかわらず、政府の管理下で行われる選挙でムバラク大統領の支持は常に90%を超える。
アラブが真に民主化されれば米国の国益と合致しない事態も起こり得る。真に民主的な選挙を実施すれば、サウジでは宗教色の強い反米政権になる可能性もある。ヨルダンでは人口の60%強を占めるパレスチナ人の発言力が増し、反米・反イスラエルになる可能性が濃厚だ。「ブッシュ大統領が画策するのは民主化ではなく親米化だ」(エジプト・アハラム政治戦略研究所のラシュワン上級研究員)との言葉には説得力がある。
もう一つ、アラブ人が米国にうさん臭さを感じるのは泥沼のパレスチナ情勢とのリンクだ。ある西側外交官は「イラク攻撃はパレスチナ問題の一挙解決を目指す米国のウルトラCだ」と語る。イラク攻撃でパレスチナ支援を堅持してきたアラブの力を弱め、イスラエルの立場を強めたいとの米の戦略があるというのだ。
欧米の力にほんろうされてきたアラブ諸国は、イラク危機でも結局米英の攻撃を阻止できなかった。【アンマン小倉孝保】=つづく
(毎日新聞2003年3月20日東京朝刊から)
転載元
http://www.mainichi.co.jp/news/article/200303/20i/043.html