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(回答先: 「米軍のバグダット攻略計画」観測(軍事研究2003/4) 投稿者 YM 日時 2003 年 3 月 19 日 06:54:21)
これら二つの攻撃部隊の他に特殊部隊と海兵隊の強襲上陸部隊が、様々な戦闘支援作戦に投入される。例えば特殊部隊は、デルタ・フォース(対テロ部隊)、第5特殊作戦群(グリーン・ベレー)、第160特殊作戦航空連隊(特殊作戦ヘリ部隊)、英軍SAS(特殊航空行動隊)などから成り、バグダッドを含むイラク全土に展開される。
彼らの任務は、バグダッド市内に潜伏するフセインの探索・追跡、精密誘導兵器による爆撃の誘導支援、イラク西部に潜むスカッド弾道ミサイル発射機の捜索・破壊行動、油田(北部イラク、イラク─クウェート国境付近やバグダッド南部)をイラク軍が破壊する前に確保する作戦などになるであろう。
ペルシア湾に停泊する揚陸艦艇で待機する海兵隊強襲上陸部隊(各種ヘリやハリアー戦闘機を有する海兵遠征部隊等)は、中央軍が戦況の変化に応じて臨機応変に使うことができる予備兵力となる。役割は、空中展開・打撃能力を活かした緊急侵攻作戦。具体的には要地にある飛行場の占領や交通の要衝の制圧そして市街戦への投入である。
以上が想定される米軍攻略作戦の概要であるが、もちろん現段階では不確定要素が非常に多い。例えば四個師団の米地上軍では兵力が心許無い。さらに米軍は兵力を増強するであろうという情報もある。
ワシントン・ポスト紙(電子版=二月七日付)は、すでに一部戦闘支援部隊を湾岸へ送っているドイツ駐屯の第5軍団(第1機甲師団と第1歩兵師団)が、北部攻撃部隊に増強され、南部攻撃部隊には第1騎兵師団が加わるという可能性を報じている。ただしこれが実現するには、さらに1箇月以上の準備期間とトルコ側の受入れ承認が必要となる。
しかし米軍にとってより深刻な問題は、国防総省も認めているように、トルコ側が六万二〇〇〇人規模になる光地上軍の受入れに難色を示していること。どうやら米側が一五〇億ドル(一兆七八〇〇億円)の緊急援助を提案し、地上軍のトルコ進駐を基本的に認めたようだが、仮に事が円滑に運んだとしても、北部攻撃部隊の展開運れは避けられない。
この影響を受け、米本国からトルコに向かった第4歩兵師団の重兵器・装備は、すでに約四〇隻の各種輸送船に積み込まれ、トルコ沖に集結しているが、揚陸できないでいたという。その量は、空輸できる兵員一万五〇〇〇人は別として、MlA2戦車、ブラッドレー戦闘車四六二輌を含む車輌約九〇〇〇輌である。
たとえ展開が遅れるにせよ、第4歩兵師団の戦力が、イラクに対する軍事作戦を大きく左右する要因になるのは疑いない。と言うのも第4歩兵師団は、米軍が次世代のハイテク地上軍として総力を挙げ開発してきた戦略部隊だからである。
同師団最大の特長は、完備したデジタル情報システムにあった。
その効果を一言で現すならば、事前に敵の情報(戦力、位置、行動等)を丸裸にしてしまう能力といえよう(都市の中に隠れていればわからないが)。これは戦場における情報支配と呼ばれ、この結果、第4歩兵師団は、常に敵よりも最適な条件で遂行可能となったのである。最適な条件とは、必要な時に、必要な規模の部隊を、敵より素早く投入できることを意味している。
当然ながら味方の犠牲は少なく、事前に攻撃目標を確認可能なことから、民間人を誤って攻撃する確率も減らすことができる。まさにこれからの軍事作戦に不可欠な迅速で無駄のない新世代の地上戦闘部隊といえよう。