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ウエストティスベリー(米マサチューセッツ州) 5月21日(ブルームバーグ):米連邦準備制度理事会(FRB)のデフレ対策は十分でないという見方が強まっている今日、かつてインフレ抑制の重要性をFRBに訴え続けた団体の言い分を重要視する人は少ない。
団体の名は、金融政策を監視するエコノミストの自主的な団体「SOMC」(影のFOMC)。金融政策を決定するFRBの連邦公開市場委員会(FOMC)をもじった名称の団体だ。SOMCは19日、年2回開く総会に続いて記者会見した。しかしその注目度は、インターネットで検索される関連記事が1件だけという低さだった。
無理もない。SOMCの景気認識が、1)デフレが続く危険性は「ほとんどない」、2)追加利下げは「現在の状況下では解決策にならない」、3)財政・経常赤字が経済に与える影響についての警告は「誤解を招くだけ」、4)それが金利に与える影響は「限定的」――と、興味をそそるものではなかったからだ。
ニクソン政権下の1971年に発足したSOMCの目的について創設者であるカーネギー・メロン大学のメルツァー教授(経済学)は2000年に、「金融政策の結果を批判するだけではない」と説明。「実際の金融政策よりも効果的な政策が存在することや、マネーサプライ(通貨供給量)の制御を通じてインフレを許容可能な範囲に抑制するのが可能なことを示すことだ」と語っている。
有言不実行
21日のグリーンスパン議長の議会証言には、あいまいさはなかった。議長は今月6日のFOMC声明を繰り返す形で、「向こう数四半期にわたり、インフレ率が歓迎されない顕著な低下に向かう可能性は低いものの、インフレ率が加速する可能性よりは高い」と述べた。さらに議長は、ディスインフレが進行した場合にデフレの危機が高まることについて、「デフレのリスクは小さいが、仮にそうなった場合の結末は非常に深刻だ」との認識を示した。
金融政策とは、悪い結果を導く可能性のあるリスクを警戒するためのものであるはずだ。とすれば、もしFRBがデフレを本物の脅威と認識し、デフレが貨幣的現象であるとするならば、FRBが懸念を表明するだけで、実際に資金供給を拡大しないのはなぜだろう。
一方、SOMCはインフレ加速の可能性が高いと考えている。ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドの調査部門責任者バガバチュラ氏によると、過剰な状態にあるのは設備だけで、生産、在庫、雇用は過剰な状態でないため、米景気は「大幅に」拡大する可能性があるという。それが「戦争後のV字型回復」になるか、より持続的なものになるかを判断するのは時期尚早で、2004年第1四半期(1−3月)までは分からないが、「2004年春から2005年春は、 1994年と似た状況になる」との見方を示す。
1994年は、景気の加速が始まり、FRBが3%の低水準にあった政策金利を引き上げ始めた年。FRBは1994年2月から1995年2月にかけて政策金利を合計3ポイント引き上げ6%とした。
バガバチュラ氏は「実質国内総生産(GDP)成長率が5%だった2002年1−3月期に何が起こったかを思い出してほしい。2年物国債の利回りは 2.75%から3.75%へと1ポイント上昇した」と語る。
もしこれが繰り返されることになれば、「FRBはフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1.25%に据え置き、金利差が拡大するのを黙って見ているわけにはいかなくなる」とバガバチュラ氏は言う。金利差の拡大は、銀行のマネーサプライを増やす誘因になるからだ。
FRBは金利水準が上昇しないことを暗にほのめかすことにより、時間稼ぎは可能と考えるかもしれない。しかし本当のところは「FRBにも分からない」というのが真実だと、バガバチュラ氏は語る。グリーンスパン議長は議会証言で「(イラク)戦争終結に続く経済活動について、明確な判断を下すのに十分な情報を入手していない」ことを認めた。
市場はこれでもFRBが示している今後1年間の金利政策を信用できるというのだろうか。(キャロリン・ボーム)
(ボーム氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニスト。ブルームバーグ・ラジオの番組「ノー・ナンセンス」の司会も務めています。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
ニューヨーク Caroline Baum 東京 柴田 広基 Hiroki Shibata
Last Updated: May 22, 2003 20:58 EDT
http://quote.bloomberg.com/apps/news?pid=80000003&sid=akD2I6.FPjxs&refer=top_kaigai