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(回答先: Re: あっしら殿。こんばんわ。 投稿者 M 日時 2003 年 5 月 16 日 18:57:52)
Ｍさん、こんばんわ。
現在進行中の「ドル高是正」については、基本的に、「プラザ合意」と同じような対外債務の“切り捨て”政策と日本からのファイナンス促進政策だと思っています。
連邦政府債務だけで６兆４千億ドル（約７４２兆円）ありますから、ドルを２５％切り下げれば、実質価値は約５５６兆円になります。（これはごく短期の効果しか得られません）
もう一つ、今年度だけで３０００億ドルの連邦財政赤字が見込まれていますが、米国への投資は控えられており、そのファイナンスをどこかに依存しなければなりません。
民間部門が対米投資を控えているのであれば、政府部門をあてにしなければなりません。そのような余力や態度を持つ国は、経常収支黒字を誇っている日本や中国です。
日本政府は、今年に入ってから、円高阻止を大義名分に３兆５千億円（約３００億ドル）もの介入を行なっています。４ヶ月で３００億ドルですから、１年間で１０００億ドルに近いペースになります。
円高傾向は、日本政府が大手を振って対米ファイナンスを行なう絶好の言い訳になります。（ほとんどの人は、円高を抑え込もうとしていると考えるだけで、ファイナンスしているとは思わないはずです）
付随的に、産業競争力や産業収益の増加及びデフレ対策という意図もあるはずですが、米国の基礎的産業力や国際分業構造とそれに基づく交易連関性から、それほどの効果はありません。
ドル安によって、航空機や自動車など一部の財の国際競争力や収益性が上昇しますが、航空機はご存知のような市場環境ですし、自動車も、１ドル＝８０円でさえ日本メーカーに勝てなかったのですからそれほどの貢献はしないと予測します。
逆に、日本・欧州・中国などが交易条件の悪化で不況に陥ればそれらの国で米国からの輸入が抑制されることになり、トータルでは不利益を被る世界経済構造になっています。
デフレ対策も、最大の輸入先である中国は為替が実質ペッグされていることや対米輸出に依存している日本企業は売れる価格で米国に輸出するはずですから、ほとんど効果がありません。
現在進行中の「ドル高是正」で知りたいのは、米国富裕層の資金がどう動いているかです。
米国富裕層の資金がユーロや円にシフトしているのであれば、ドルの本格的な切り下げが行なわれるはずです。（ドル切り下げの過程でそのままドル建て金融資産を保有していれば、大きな損失を被ります）
※ 参照書き込み
『【世界経済を認識する基礎】 “あっしら”的経済概念の説明：：国際管理通貨制における外貨準備 《米国政府の対外債務返済能力》 〈その１２〉』
（ http://www.asyura.com/2002/dispute2/msg/128.html ）
＞アメリカはそう簡単に覇権、第２次覇権闘争をおろす気にはなれないと思いますがい
＞かがなものでしょうか（あっしら氏関連投稿がありましたご紹介ください）。
かつての英国から米国というかたちのように、米国の覇権がどこか他の国に移動するわけではありません。
米国という国家が覇権を維持することで利益を得てきた支配層が、米国を“普通の大国”にすることを通じて、世界全体を丸ごと支配できる覇権を手に入れることになります。
米国を支配しているのは米国民ではなく米国支配層です。
※ 参照書き込み
『「世界帝国」と帝国主義国家』
（ http://www.asyura.com/2003/dispute8/msg/1172.html ）
『「世界帝国」のごく簡単な姿』
（ http://www.asyura.com/2003/dispute8/msg/1132.html ）
『世界経済支配層が貨幣的富にこだわるのはそれが世界を支配する力だと“信仰”しているから』
（ http://www.asyura.com/0304/dispute9/msg/178.html ）
『そろそろ目を覚まそう：日本経済を含む世界経済は、「対テロ戦争」と並行するかたちで意図的に破壊されていく！』
（ http://www.asyura.com/0304/hasan24/msg/145.html ）
★ Mr.X氏は、阿修羅を中心にネットの状況をウォッチしている人のようです。
柳沢前金融担当大臣の更迭を英文で予言し、財務省キャリア官僚を自称していた「匿名希望」氏に阿修羅からの退場を促した実績があります。
思考力に優れているので、スパイごっこが好きな安っぽい公安ではないとは思っています（笑）、
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。