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生命保険会社が契約者に約束した運用利回り(予定利率)を破たん前に引き下げる制度を導入するため、金融庁が作成した改正保険業法の要綱案が6日、明らかになった。
焦点の生保の経営責任について、経営陣の退陣を強く求めてきた政府・与党内の要請を退け、進退を当事者間の調整に委ねたのが最大の特徴だ。銀行などが拠出した基金・劣後ローンの扱いも債務免除額などは当事者間の交渉に任せている。金融庁は7日の自民党保険問題小委員会に要綱案を示して本格調整に着手し、今国会での改正案成立を目指す。
「予定利率引き下げについて」と題した金融庁の要綱案は、生保破たんによる契約者の損害を回避する狙いで、破たん前の「予定利率」引き下げが可能な制度導入を目指す内容だ。
要綱案によると、予定利率の引き下げは従来通り、「将来、業務継続が困難となる蓋然性(高い可能性)がある保険会社」からの申請に基づくことに限定し、利率引き下げの下 限を「3%程度」とした。保険契約者の権利を保護するため、契約者の10%以上が反対すれば申請を撤回できる制度も従来通り盛り込んだ。
その上で、要綱案は新たに経営責任問題に触れ、「経営陣の方針・説明と契約者がそれを納得するかどうかという手続きの中で解決される」と明記した。これは利率引き下げの申請主義に配慮して、経営陣の退陣を法的には強制せず、責任問題は関係者の交渉に委ねる方針を示したものだ。
銀行などが拠出している基金・劣後ローンの取り扱いに関しても、「当事者の合意による債務免除の検討も考えられる」とし、生保と“出資者”である銀行との協議で個別に決める方針を盛り込んだ。
また、予定利率を引き下げる生保には「経営内容など将来の見通しを開示させるのは当然必要」と明記した。現在、「企業秘密」として生保が開示を拒んでいる「利差」「費差」「死差」の「3利源」を含む経営情報について、改めて徹底開示を求めることが不可欠と判断したためだ。
金融庁はバブル期に契約した5%超の予定利率を破たん前に引き下げる制度を設けた方 が契約者の負担が少ないと判断し、改正保険業法の国会提出方針を固めていた。しかし、与党内からの慎重意見もあり、法案提出をいったん見送っていたが、最近の株価急落など深刻な経済情勢などを考慮して、改めて国会提出を目指し、改正保険業法の要綱案をまとめた。
◆予定利率=生命保険会社が、資産の運用で将来どれだけ収益が上がるかを想定した運用利回りのこと。80年代後半のバブル期には5%を超えていたが、最近は超低金利で1・5%程度に低下。運用実績も過去の予定利率を大幅に下回る1%台に下がり、生保各社は巨額の「逆ざや」に苦しんでいる。
(2003/5/7/03:03 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/business/news/20030507i401.htm