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[QUICK] エコノミスト「迫力なきトリプル高へ」UBSウォーバーグ証券会社 チーフエコノミスト 白川浩道氏
http://www.asyura.com/0304/hasan25/msg/646.html
投稿者 Ddog 日時 2003 年 4 月 24 日 00:06:38:gb2b4T9TetGkU

(回答先: [QUICK] 株クオンツ「市場は成長企業の交代を示唆」 投稿者 Ddog 日時 2003 年 4 月 23 日 23:55:12)

[QUICK] エコノミスト「迫力なきトリプル高へ」UBSウォーバーグ証券会社 チーフエコノミスト 白川浩道氏03/04/23

【景況判断】現状(3ヵ月前比):減速 先行き(3ヵ月後):横ばい
GDP予測:02年度1.6%(1.5%) 03年度▲0.5%(0.2%)
【金 利】短期:横ばい TIBOR3ヵ月 0.10%
長期:やや強含み10年物新発国債0.80%前後
【円 相 場】やや円高114〜116円/1ドル
【株 価】横ばいからやや強含み 日経平均8,500円程度
l GDP予測値は実質GDP成長率、前年比%。カッコ内は直近10回分の平均値
l 長短金利、円相場、株価は3ヵ月後(03年7月末)の予測値

1. 景気見通し:「年度後半から緩やかな回復へ」

景気のピークは昨年10−12月期であり、足元では、個人消費と生産活動が調整局面に 入っている。しかし、調整局面は秋口までには終了し、その後、来年央にかけて再び緩 やかな景気回復局面が生じるものと予想する。ミニ調整後の力なき回復である。重要な ことは、景気の底割れは想定しにくい、ということである。2003年度の実質GDP成長率は −0.5%〜0.5%の間に収まり、2004年度には1%弱のプラス成長となるであろう。こうし たシナリオは、米国の2003年の実質成長率が1%を割り、明確なリセッション入りとなる ようなことが生じない限り、変更する必要はないだろう。

景気を下支えするのは、まずは、企業の設備投資である。世界的なディス・インフレの 進行、欧米経済の先行き不透明感の高まり、米ドルの趨勢的な下落の可能性など、企業 を取り巻く環境は引き続き厳しいが、そうした中でも、製造業の合理化・高度化投資、非 製造業のIT関連投資は緩やかに回復するであろう。製造業では、機械設備の除去率(除去 額と機械資本ストックの比率)が上昇傾向を続けていることからも示されるように、国際 競争が激化する中で、製品の質の向上を狙った設備投資のインセンティブが強まってい る。円高傾向でも、製造業の設備投資が回復する可能性が高いことに注意が要る。また 、非製造業では、構造物投資の拡大は望めない一方で、通信や金融業でIT関連投資が回 復する兆しにある。IT投資の循環は、技術革新の循環が短期化する下で、同様に短期化 する傾向にあり、収益環境がある程度厳しくても、投資を実行せざるを得ない状況にあ るものとみられる。IT投資は年末頃から明確に回復して来るであろう。

個人消費は、短期的にはかなり強い調整圧力に晒されているが、夏場までには落ち着 くものとみられる。循環的な要因としては、個人の所得環境が最悪期を脱していること( 企業リストラが一巡したことが背景)、構造的な要因としては、高齢者世帯の消費意欲が 堅調であること、を指摘できる。さらに、株価対策を目的にした、公共事業の前倒し執 行や、2003年度・補正予算導入(7月までに)も景気の底割れを防ぐことになろう。なお、 ハードランディング型の不良債権処理と産業構造改革は先送りされる公算が高いが、こ れも景気の安定に寄与する。雇用の安定が消費者のマインドを支えるとみられるからで ある。

2. 金融環境:「迫力なきトリプル高へ」

市場は福井日銀の発足に大きな関心を寄せてきたが、金融政策への期待度は落とさざ るを得ない。日銀が、その裁量の範囲内で実行可能な政策には、景気刺激効果を期待で きないからである。

輪番オペの増額を決めて、イールドカーブのフラット化を目指しても、円相場が安く なるわけではないだろう。日本の長期金利水準がここまで低下した以上、内外金利差の 拡大を演出することはできないからである。政府がどうしても円安政策を行いたいので あれば、無制限での非不胎化為替市場介入でも行うよりほかに手がないであろう。しか し、米国政府がそれを許容する可能性は極めて低い。国家安全保障関連の支出が嵩む米 国は、減税幅の削減を決定せざるを得ず、財政政策による国内景気刺激に自信が持てる 状況には到底ない。そうである以上、米国政府は、米ドルの緩やかな下落を促し、対外 収支を改善することで、デフレ圧力を後退させるとともに、民間部門のバランスシート 調整を緩和しようとするであろう。米ドル軟化を目的にしたFEDの追加緩和実施の可能性 もあると読むべきであろう。このような状態で、日本が為替介入によって円安誘導を行 えると考えるのには無理がある。

日銀にETFを購入させ、なんとか株式市場の需給を改善させようという考え方があるの は事実である。しかし、日銀法のフレームワークからすれば、こうした政策(アメ)には 、どうしても、ムチが伴う。ムチとは、大手銀行の経営陣や株主に対する責任追及であ る。特に問題なのは、株主責任の追及(減資)であり、これは企業のバランスシートを悪 化させ、さらに株価を下落させる可能性が高い。「金融危機宣言なくして、日銀による株 価サポートなし」であるが、現下の法的枠組みの下では、ムチがアメに比べて大きくなる 可能性が高い。さらに、金融危機宣言を行えば、不良債権処理の加速は不可避であり、 これは、過剰債務企業の整理・淘汰を必要以上に加速させてしまうリスクがある。金融危 機宣言は優良企業のバランスシートを悪化させるだけでなく、雇用情勢の急激な悪化を もたらすことになる。そして、そうしたハードランディング型の構造改革はもはや海外 投資家からは評価されない。日本には、計画的な不良債権処理、産業・企業再生の下で、 漸進主義的な構造改革を進めることが求められている。米国における趨勢的な低成長化 と財政赤字の拡大が視野に入る中で、日本が、金融ショックを起したり、ハードランデ ィングの構造改革を側面支援するために財政赤字を大きく拡大させたりすれば、世界的 な長期金利上昇が不可避である。世界はそれを望んでいない。日銀による株価サポート と金融危機宣言、という組み合わせを採用すべきではないが、当局も、そうした政策対 応には後ろ向きであろう。

円安誘導が困難な中で、日銀による直接的な株価サポートにも難があるとすれば、財 政出動しか出口はない。政府と日銀が一体となったデフレ対策とは、真水で5兆円以上の 規模の補正予算と、それと一体となった輪番オペの増額である。為替相場は円高化し、 株価と長期金利は緩やかに上昇するであろう。迫力はないが、秋口にかけて、トリプル 高になるものと予想する。

3. 注目点:「産業再生機構に注目」

産業再生機構が発足した。経済における過剰供給の是正といった機能は期待できない が、企業ガバナンスの変化を通じて日本企業の競争力向上をもたらす可能性がある。

産業再生機構の基本的な役割は、個別企業の事業再生、あるいは事業再編を促すこと である。いわば、ミクロの企業ベースでの過剰債務の削減と収益力の強化が第一義的な 政策目標である。ここで、機構は、2次ロス等への配慮から、支援の基準として、生産性 向上基準や財務健全化基準を設けているほか、買取り対象企業について清算価値よりも 回収価値が高くなると見込まれること、を前提としている。このことは、業界全体が大 きな過剰供給に苦しみ、小手先の事業リストラでは長期的な再生が望めないような、い わゆるゾンビ企業は買取りの対象にはなりにくいことを意味する。産業再生機構には、 産業構造転換を促す役割は期待されておらず、機構の発足によって、経済における過剰 供給の削減が目立って進展することはないだろう。しかし、一方で、企業ガバナンスは 改善する可能性がある。産業再生機構が集約化して非メインバンクから購入した債権に ついては、最終的に「スポンサー」に売却されることになる。ここで、売却される債権の 形態としては、株式が多用される可能性が高い。過剰債務の削減をデット・エクイティ・ スワップの形で行い、これに事業再編をくっつけて市場へ戻す、ということである。「ス ポンサー」には、企業再生ファンド、同業他社、外資系金融機関・企業、などが含まれる であろうが、個人的には、外資が受け皿になる部分がそれなりに大きいのではないかと みている。この結果、再生後の企業については、そのガバナンスが変容している可能性 が高いが、比較的優良な企業のガバナンスの向上は、日本経済の競争力アップとして、 外人投資家(特に欧州投資家)から前向きな評価を受ける可能性が高い。株価のプラス材 料であるだけに、注目である。

<白川浩道氏略歴>
1961年生。83年慶応義塾大学経済学部卒、日本銀行入行。金融研究所エコノミスト、88- 89年米国ワシントン大学経営大学院博士課程、調査統計局副調査役、国際局調査役、金 融市場局調査役を経て、99年11月より現職。91-94年の3年間、経済協力開発機構(OECD) 経済総局にエコノミストとして出向。債券市場分析、金融政策分析に関する論文多数。 共著に「マネーサプライと経済活動」(東洋経済新報社、96年)。東洋経済「統計月報『エコ ノミスト・コンセンサス』」、などのコメンテータ。エコノミスト人気調査ランキング7位 (2003年3月24日付日経金融新聞)。

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