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[QUICK] 株クオンツ「市場は成長企業の交代を示唆」
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投稿者 Ddog 日時 2003 年 4 月 23 日 23:55:12:gb2b4T9TetGkU

[QUICK] 株クオンツ「市場は成長企業の交代を示唆」
日興シティグループ証券会社 クオンツ戦略高橋文行氏03/04/22

【トピックス 】市場は成長企業の交代を示唆している
【マーケット動向】株価の下値は固いが上昇には力不足
【スタイル動向 】中小型バリュー優位は継続へ、勢いは弱まる
【セクター動向 】利益モメンタムとバリューで輸送用機器、化学、卸売業に注目
【ファクター動向】決算発表のサプライズに敏感な展開へ

1. トピックス:「市場は成長企業の交代を示唆している」

最近では、ソニーや武田薬品工業と言った日本を代表する国際優良銘柄のPERが、過去 10年間で見て最も割安な水準にある。株価が低迷している背景には、イラク戦争から来 る消費者心理後退への懸念や、厚生年金の代行返上、銀行・生保の保有株式圧縮に起因す る需給バランスの悪化がある。こうした要因に加え、企業の成長性に対する投資家の期 待の変化が影響している可能性がある。

株価動向が示唆する企業の成長性に対する期待に注目する。株価のグロース(成長)と バリュー(割安)の投資スタイルに対する感応性を基に、市場が期待する企業の成長性を 分析した。ここで分析するスタイル感応度は、個別銘柄の株価のグロース株指数に対す る感応度と、バリュー株指数に対する感応度との差に基づく。スタイル指数には、シテ ィグループの日本株式グロース・バリュー指数を利用している。

株式のPERは企業の中長期における成長期待を反映して変化するが、グロースとバリュ ―感応度の差が大きい銘柄ほど、PERが高くなる傾向が認められる。また最近では感応度 の差が拡大しており(相対的にグロース株指数に対して株価がより敏感になった)、利益 の成長期待が高い銘柄の株価パフォーマンスは、他の銘柄を上回っている。バリュー株 に優位な最近の市場展開にあってこうした銘柄が評価されているのは、成長企業が交代 してきていることを、株価が折り込み始めたからではないかと考える。

代表的な国際企業であるトヨタ自動車とキャノンのグロース・バリュー感応度を比較す ると、最近では対照的な動きが見られる。トヨタ自動車の株価のグロース・バリュー感応 度の差は、2000年の年初にピークに達したが、その後は縮小を続けている。グロース感 応度が緩やかに低下を続ける一方、バリュー感応度は昨年の春以降で大きく上昇した。 これと連動するようにPERも低下した。一方、キャノンに対する感応度のスプレッドは、 1999年以降においてもほぼ同水準を維持したままで推移している。最近におけるPERの水 準にも大きな落ち込みは見られない。株価のスタイル感応度を見る限り、トヨタ自動車 に関しては成長期待の低下が、キャノンに対しては高い成長期待が維持されていること を、株式市場は示唆している。

最近の半年間で、グロースとバリュー感応度の差が拡大したことで、グロースにより 敏感になった銘柄と、差が縮小したことでバリューにより敏感になった銘柄をリスト・ア ップしてみよう。ただし、バリュー感応度がグロース感応度を大きく上回っており、バ リューの色彩が強い銘柄は除外した。セクター内で感応度の差の変化を比較すると、小 売業ではイオンが相対的にグロースにより敏感なった一方で、イトーヨーカ堂はグロー スへの感応性が低下した。電気機器に関しては、東京エレクトロン、村田製作所、パイ オニアではグロースとバリュー感応度の差が拡大したが、日本電気、日立製作所、ソニ ―では縮小した。

ここで紹介した株価のスタイル感応度は、株価のバリュエーションと組み合わせるこ とで、特に大型グロース株におけるポートフォリオ選択に有効である。株価に相対的な 割安感があり、株価がグロース指数に敏感になった銘柄に投資する戦略である。我々の 残余利益バリュエーション・モデルを利用し、現在のROEと株価が示唆する将来のROEとの 比較で割安な銘柄に注目し、株価のグロースへのスタイル・モメンタムを考慮すると、日 本テレコムホールディングズ、イオン、コニカなどの銘柄が選択される。

2. マーケット動向:「株価の下値は固いが上昇には力不足」

我々は東証株価指数(TOPIX)の動向を読む上で、TOPIXのROEと残余利益バリュエーショ ンに基づく株価が織り込んだ将来のROEとのギャップ、予想利益の修正、長期金利、およ び市場のインプライド・リスク・プレミアム(成長期待、金利、株価のバランスを示す)の 変化に注目している。TOPIXの予想ROEは市場が期待するROEを上回っており、金利が極端 に低い状態にあってさらに低下したことで、現在の株価には割安感がある。さらに、最 近では今後の企業収益改善に対する期待がやや高まっている。一方、リスク・プレミアム は昨年の年末以降上昇を続けている。この動きは投資家心理の悪化を反映しており、株 価上昇への重荷となっている。当面は、株価の下値は固いが上昇には力不足と言った展 開となろう。

3. スタイル動向:「中小型バリュー優位は継続へ、勢いは徐々に弱まる」

我々は、グロースとバリューのスタイル動向を見るに当っては、個別銘柄の株価が織 り込んだ期待成長率(インプライド・グロース)の分布や予想収益動向などに注目している 。また、大型と中小型では、主に2つの株式グループ間におけるインプライド・グロース の格差と市場の予想益回りを分析する。当面は中小型のバリュー株に優位な状況は変わ らないと分析する。しかし、その勢いは徐々に弱まって行くであろう。

4. セクター動向:「利益モメンタムとバリューで輸送用機器、化学、卸売業に注目」

我々のセクター・モデルは、予想利益の変更モメンタムとバリューの分析を基本として いる。利益モメンタムには売買代金の動向を組み合わせ、市場のリスク・プレミアムの変 化に対応してバリューの強調具合を調整する。この先3ヵ月間では、輸送用機器、化学、卸売業のセクターをオーバー・ウェイトする一方、通信、電気機器、銀行をアンダー・ウェイトとしたい。

5. ファクター動向:「決算発表のサプライズに敏感な展開へ」

これから2003年3月期決算の発表が本格化する。今年は昨年の同時期と比較すると、予 想利益の修正に対する株価の感応性が高まっている。今年は決算発表のサプライズに対 する株価のリアクションも大きくなると予想する。我々はアーニング・サプライズを予想 するモデルを構築している。前回の決算(2002年9月中間決算)におけるポジティブ・サプ ライズが大きい、株価のモメンタムが強い(上昇傾向にあり、かつ安定している)、予想 利益の修正モメンタムが強い、円安に対する株価感応度が高い(輸出主導企業)、そして 時価総額が大きい企業ほど、決算発表前の予想を上回る利益を発表するサプライズが期 待される。オリンパス光学工業、日産自動車、商船三井などの銘柄には、純利益ベース でポジティブ・サプライズが出ると予想される。また、ネガティブ・サプライズに当ては まりそうな銘柄に対しては要注意である。

<高橋文行氏略歴>
1983年米国ノートルダム大学工学部航空宇宙工学科卒業。ミネソタ大学大学院修士過程 終了。野村総合研究所、モルガン・スタンレー証券を経て、現在、日興シティグループ証 券会社クオンツ戦略マネジングディレクター。クオンツ人気調査ランキング5位(2003年3 月24日付日経金融新聞)。

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