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UBSウォーバーグ証券会社・経済調査部チーフエコノミストの白川浩道さん(Hiromichi Shirakawa/ Chief Economist, UBS Warburg (Japan) Ltd.)は今日のポイントとして、「日銀の次の一手 」を挙げる。「日銀は明日の決定会合でABCP(資産担保付きコマーシャル・ペーパー)買い切りオペの開始を決定する可能性が高い」との見通しを示す。しかし、「ABCPの買い切りが持つ効果は限定である。その先にある一手の方が重要である」と言う。その先の一手については、「基本的には、補正予算決定との同時での輪番増額である」と読む。ただ、予防的公的資金注入の枠組みができれば、それとのセットでのETF購入はあり得る(確率30%)、と見る。
<早ければ4月内にも、ABCPオペを開始> 日銀は、明日の金融決定会合で、ABCP買い切りオペ開始を検討するものと予想される。日銀は、早ければ月内にも、同オペを開始するであろう。ポイントは 以下のとおり(ほぼ原文通り)ーー。
【1】 信用リスクのある資産の買い切りに踏み込みという意味では、画期的な政策 といえなくはない。しかし、買い切り対象となるABCPについては、A−1格以上で政府系金融機関による信用補完がついたものに限定される可能性が高く、かなり厳格な基準が適用されることになるものとみられる。思い切った信用リスク・テークというには程遠い。実体経済や企業金融に与える効果も限定的であろう。
【2】 日銀によるABCP買い切りオペのスタートについては、福井総裁及び日銀事務方が「国債に偏った金融調節からの脱却を図ろうとしている意図の表れ」である、と評価することができなくはない。しかし、この政策は、必ずしも日銀主導の政策ではなく、その意味で、日銀の独自性は高くない。基本的には、政府の中小企業金融支援策(昨年10月末の金融再生プログラムで示された、いわば貸し渋り対策)の流れに沿ったものなのである。従って、ABCP買い切りオペの「 先」に関して、当面、大きな期待はできない。
【3】 これまでに何度も述べてきたことであるが、日銀は、ABCPの購入と異なり、ETFの購入を通常業務の範囲内で実施することはできない。非通常業務、 あるいは緊急避難措置としてのみ実施が可能である。従って、日銀によるETF購入開始は、「金融システムの健全性維持のために何らかの政策対応を講ずる必要がある」という判断を政府が行うこと、が条件となる。現行の法的枠組みに照らした場合、これは、「主要行のBIS比率が8%割れとなるリスクが大きく高まること」を意味する。逆に言えば、BIS比率8%割れがみえてこなければ、 日銀によるETF購入の議論は簡単には進まない可能性が高い、ということである。
<真水で3−5兆円の補正予算、夏場までに決定か>
【4】 従って、ABCP購入に続く、日銀の次の一手の基本シナリオは、「補正予算決定との同時での輪番オペ増額」であろう。当社では、真水でみて3−5兆円の補正予算が夏場までに決定されるとみている。日銀は6月、ないし7月の決定会合で、輪番オペの2000億円増額を決定するであろう(確率70%)。
<福井日銀、「予防的公的資金注入」にかなり前向き>
【5】 ただ、金融庁が金融審議会の場で検討する「新たな公的資金注入のフレームワーク」(5月末までに報告書作成の予定)が現実のものとなれば、それとのセットで日銀によるETF購入が実施される可能性はある。「新たな公的資金注入のフレームワーク」とは、株価下落等に対応したBIS8%超での予防的注入を可能とするフレームワークであり、金融危機宣言の一歩手前の、いわば早期是正 メカニズムを構築しようとするものである。福井日銀はこの予防的公的資金注入にかなり前向きであると伝えられており、早期是正メカニズムに組み込まれたETF購入を目指してくる可能性がある。こうした点を勘案し、年内に日銀がETF購入に踏み切る可能性を引き続き30%とみておきたい。