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森田実氏:2003.4.4 「日本再生の道」研究――『老子』を知れば道は開ける[4]
http://www.asyura.com/0304/hasan25/msg/245.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 4 月 04 日 20:35:33:

(回答先: 森田実氏:2003.4.3 「日本再生の道」研究――『老子』を知れば道は開ける[3] 投稿者 あっしら 日時 2003 年 4 月 04 日 20:34:48)


アメリカ絶対主義の拡大と固定化が世界と日本を滅ぼす

「道は、万物の鋭さを挫き、万物の紛(もつ)れを解きほぐし、万物の輝きを和らげ、万物の塵(よご)れに己れを同じくする」(老子)〈『老子』上、朝日新聞社刊〉


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 福永光司氏はこの言葉の意味を次のように表現している(中国古典選10『老子』上、p.65)――「己れの気おいを捨て去り、他人と争うことを好まず、才知の輝きを深く包んで凡俗のなかに凡俗として生きる強靱な雑草の精神、重心を大地に落として崩れることなく挫かれることのない鈍角的な人生の在り方を己れのものとすることができるのである」

 2003年3月20日、米英両国はイラク攻撃に踏み切った。小泉首相は直ちに「米英支持」を表明した。これは、日本の政治犯罪史上に記録されるべき大犯罪だと思う。小泉内閣は日本が第二次大戦後守りつづけてきた平和主義・国連中心主義を投げ捨てた。
 同日の記者会見において小泉首相は、これも歴史に記録されるほどの愚かにして罪深い発言をした。3月29日付け毎日新聞朝刊13面「検証・小泉政権とイラク戦争」からこの発言を引用する。
「米国は『日本への攻撃は自国への攻撃とみなす』と明言しているただ一つの国だ。日本を攻撃しようと思ういかなる国に対しても(日米同盟が)大きな抑止力になっていることを日本国民は忘れてはならない」
 私は、この小泉発言を記者会見の場だけでなく国会における答弁でも聞いた。この発言はテレビでも繰り返し放送された。この発言を、国民の皆さんはどのような気持ちで聞いたのだろうか。私は日本の政治をここまで堕落したのか、政治家の誇りはどこに行ったのか――と、暗澹たる気持ちで聞いた。
 われわれ日本人は米国民と米国政府を信じ、友好関係を維持することが大切である。しかし「信頼」と「従属」は異なるものだ。自分の国の防衛は第一義的にその国の政府の責任である。同盟国が存在するからといって、政府の責任放棄は許されることではない。こんな発言を首相はすべきではなかった。

 イラク戦争勃発直前まで小泉内閣支持率は低下傾向にあった。国民の主な関心が日本経済の深刻な不況に向いており、不況の原因が小泉政権の経済失政にあると多くの国民が感じていたからである。そのうえ日本経済の3月危機が進行していた。小泉政権に対して政策転換の要求が強まり、政界における小泉包囲網は狭まっていた。
 ところがイラク戦争勃発と北朝鮮核ミサイル危機発生により、国民の関心はイラク戦争と北朝鮮脅威に移った。テレビ報道はイラク・北朝鮮だけに集中し、国内経済問題は取り扱おうとすらしなくなった。国民は経済危機に無関心になった。
 この間、政府・自民党と米国政府は、日本国民に向かって北朝鮮核ミサイル脅威を叫びつづけた。マスコミも同調した。日本国民の多くは、いまにも北朝鮮から核弾頭をつけたミサイルが日本に向かって飛んでくると感ずるようになった。

 小泉発言はこういう状況のなかで行われた。日本国民のなかに、小泉発言を「日本が攻撃を受ければ米国が助けてくれる。日本の安全保障は米国がやってくれる。この大事な米国に反対するようなことをすれば、日本は米国に守ってもらえなくなる」という意味に理解した人々がいた。それも少数ではない。
 さらに――ここが大事なところだが――〃日本には自国を防衛する能力がない。米国に頼るしか道がない〃と小泉首相が言っているように多くの国民から受け取られた。
 日米安保条約第5条にはこうある――「各締結国(日本と米国のこと−筆者注)は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する」
 たしかに「共通の危機に対処する」ことになっているが、しかしこれも条件付きである。その条件とは「自国の憲法上の規定及び手続に従って……」である。米国が日本を無条件に守ってくれるわけではない。日本国の側に「共通の危機に対処する」べき事態になったとき、米国が100%日本防衛を行うという保証があるわけではない。日本の防衛は第一義的には日本政府の責任なのである。

 だが、私がここで指摘したいのは、より本源的な事柄である。日米安保条約よりもより根源的な国の基本があることを忘れてはならないということである。それは、自分の国は自分自身で守らなければならないということである。十分な軍事力を持っているかどうかにかかわらず、自国は自力で守らなければならない。精神の問題である。政府は国民の先頭に立たなければならない。
 政府が自国民を自力で守ることが基本である。米国との間の安保条約がどれほどの重みを持っていようとも、自力防衛主義の基本を否定してはならないのである。この基本原則を放棄すれば、国民と政府は自国は自分で守るとの強い責任感と誇りを捨てることになる。自国の防衛という日本の政治の最重要課題を米国に頼り切ろうとする政治姿勢は政治の退廃である。日米同盟への依存を繰り返し強調する小泉首相の姿は「虎の威を借る狐」に等しい。
 小泉首相の政治は息の詰まるようなこせこせした政治である。こういう政治の下では国民は幸せを得ることはできない。われわれはもっと大きな「道」を進むべきである。大切なのは国民一人一人の自由であり、おおらかに生きることである。

 福永光司氏は次のような解説している(中国古典選10『老子』上、p.65)。
 「万物の世界は、人間の社会がそれを典型的に代表するように差別と対立の世界であり、そこには人間の鋭角的な自己主張や人間同士の複雑な反目と闘争、才知の輝きのあくどい誇示やこの世的な一切の醜悪さがひしめいている。しかし人間が無為自然の根源的な真理に目ざめをもつとき、その差別や対立の相(すがた)はもはや道の絶対性の前にことごとく相対的なものとなり、一面的な価値観やそれを固執する尖鋭な自己主張、利害の反目や才知の衒(てら)いや独り善がりな聖者意識などは人間のさかしらとして空しく崩れ落ちる」
 米英両国のイラクへの武力攻撃とこれを支持する小泉首相の行為は、老子哲学という鏡の前では、愚かで醜悪なものに過ぎないことは明白である。


http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C0539.HTML

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