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株式市場と政府の温度差、一層拡大するリスク高まった
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投稿者 Ddog 日時 2003 年 4 月 03 日 00:49:45:ZR5JcjFY1l.PQ

(回答先: 世界マネー/再び、リスク回避の傾向を強めている[.yen-dokki] 投稿者 Ddog 日時 2003 年 4 月 03 日 00:47:52)

株式市場と政府の温度差、一層拡大するリスク高まった

UBSウォ−バ−グ証券会社・経済調査部チ−フエコノミストの白川浩道さん(Hiromichi Shirakawa/ Chief Economist, UBS Warburg (Japan) Ltd.)は今日のポイントとして、「悪くない」3月日銀短観は株式市場にとって「悪い」ニュースを挙げる。3月短観は、全体としてみれば、悪い内容ではない。むしろ市場が想定していたよりも、内容は良かったと評価される。メディアは短観を悲観的に評価し過ぎで あろう。しかし、「3月短観が悪くなかったことは、政府の需要対策が早期に進展 しないというリスクをもたらす」として、株式市場にとって、「悪くない」短観は「悪い 」ニュースである、と語る。 <3月短観のポイント6点> 3月短観のポイント(ほぼ原文通り)として、次の6点を挙げているーー。
【1】 大企業の業況判断DIについては、製造業はほぼ想定どおりとなった一方、 非製造業は幾分上ぶれたと評価される。製造業では、自動車の業況判断悪化(12ポイント)が目立つが、鉄鋼、一般機械、精密機械等は改善を継続している。非製造業では、運輸と通信の業況判断が回復したが、特に、通信の業況判断改善( 20ポイント)はポジティブ・サプライズと言えるだろう。
【2】 業況判断以外では、在庫判断DI、需給判断DIともに、ほぼ横ばいに止ま った。北米における耐久消費財消費の地合いの悪化等を背景に加工業種では判断 が幾分後退しているが、アジアの内需堅調に支えられて素材業種では判断が改善 している。また、生産設備判断、雇用判断も、中小企業における雇用判断を除け ば、依然として、緩やかな回復基調にあると判断される。フローでみた製商品需給、ストックでみた機械設備、雇用の需給ともに、悪化は確認されない。
【3】 03年度の売上、収益計画は底堅い内容となり、設備投資も明確な下げ止ま りが示唆される。売上予想は+0.8%(02年度−0.9%)、経常利益予想は+13 .5%(同+11.3%)であるが、03年度については、非製造業の大・中堅企業の 売上回復が全体を支える構図になっている。無論、売上や利益予想にはダウンサ イド・リスクがあるが、非製造業における売上・利益回復期待は、企業が内需の 底堅さを予想している証左であると言える。そうした中で、設備投資については 、製造業が+0.2%と3年ぶりのプラス計画になり、足元での循環的な投資回復 が視野に入った上、非製造業でも大・中堅企業で下げ止まりの計画(中小企業も 含む全体では−4.1%)が示されている。03年度のGDPベースでの実質設備投資が+1%程度(当社予想は+0.6%)は達成できる内容を示していると判断さ れる。
【4】 こうした短観の内容からすれば、政府は、景気の底割れリスクを簡単には議論できないであろう。日銀も、内閣府も、景況感の大幅な下方修正はできないと みられる。官僚的な言い方をした場合、3月短観の評価は、「海外景気に関する 不透明感の高まりの下で、製造業を中心に景況感の改善が足踏み状態にある」、 といったものであろう。要するに、景況感の改善は止まったが、そうであるから と言って、景気後退が示唆される内容ではない、ということである。
【5】 リスクは、政策対応の遅れである。官僚からすれば、元凶はイラク戦争等に 起因する海外環境の悪化であり、国内景気の自律的な減速ではない、ということ になる。このため、財務省筋を中心に「もう少し状況を見極めよう」とする姿勢 が強まり、財政の追加出動に対する議論が進展しにくくなる可能性がある。残念ながら、株式市場と政府の温度差がさらに拡大するリスクが高まった、というこ とである。当社では、3−5兆円規模の追加補正予算の組成(夏場までに)を想 定しているが、補正組成の議論が遅延しないことを望む。
<来週の日銀・決定会合では、ABCP買切りオペ開始を議論へ>
【6】 さて、来週の日銀の金融政策決定会合では、ABCPの買い切りオペ開始が 議論され、何らかの形で、コミットメントが表明されることになろう。しかし、 ABCPの買い切り開始が景気に与える効果は全くないと考えてよいであろう。 3月短観では、企業の資金繰り判断DI、貸出態度判断DIともに悪化しておらず、その水準も、98年後半のボトムに比べれば、中堅・中小企業で10ポイント程度高いところにあるからである。ABCP買い切りの議論がETF購入開始の布石とならない限り(その可能性が全くないわけではないが)、市場からは、悲し いほど無視される政策決定となろう。

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