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笹山登生の掲示板
http://www.sasayama.or.jp/saboard/b_board.cgi#1742
●4395 デフレ状態になくても怖いのは? 笹山登生 103/05/11(Sun) 10:09:57
ZERO IS NOT ENOUGH (5/4/03)
http://www.wws.princeton.edu/~pkrugman/zero.html
上記URLは、例の黒*掲示板で紹介されていたクルーグマンの一文だが、この中で、「実態経
済がデフレ状態になくとも、警戒すべきは、デフレそのものなのでなく、金利が非負制限をよ
り強く受けるであろう、インフレ期待感の喪失にある。」のだという。
逆説的にいえば、米連邦準備制度理事会(FRB)がある一定水準からは、それ以上金利を引き下
げられない状態に陥っている今の状態は、アメリカ経済が、日本と同じ流動性の罠にすでにと
らわれられていることを示しているともいえるだろう。
こうなれば、「流動性の罠先進国日本」が、その解決策を指し示すことが、同様罠にとらわれ
た他国への模範を示すことになるのだ。
●4405 手詰まりの各国中央銀行の金融政策 笹山登生 103/05/11(Sun) 22:57:21
Economist.com GLOBAL AGENDA
http://www.economist.com/agenda/displayStory.cfm?story_id
これも、例によって、黒*掲示板に紹介されていたロンドンエコノミストの「Stale−手詰ま
り」という記事。
内容は、米連邦準備制度理事会(FRB)も、欧州中央銀行も、景気見通しの悪化にもかかわら
ず、どうして金利引下げを強行できないのかということに付いて書いてある。
これは、4395に書いたのと共通の認識で、公定歩合を過去に下げすぎて、非負制約に苦悶
する日銀の姿を見て、こうはなりたくないという、デフレの淵を覗き込んでの各国中央銀行の
怯みと見ている。
いわば、各国中央銀行は、流動性の罠にはまってもがいている日本を反面教師にして、最後の
ぎりぎりまで、通貨政策の弾丸を温存しておこうという戦略のようだ。
わずかに、成長を保っている国でさえ、ディスインフレを強調すること自体が、真正のデフレ
につながってしまうというリスクを負っているともいう。
だから、各国は、デフレの状況を認識しても、それをデフレといったとたん、それが引き金と
なって、真のデフレの嵐が訪れることを恐れているため、レトリックを駆使せざるを得ない状
況にあるとの認識だ。
最後に、このエコノミストの記事は、いかに、各国が、金利を現状維持にしたままに放置して
も、そのことで、アメリカ・ヨーロッパを闊歩するデフレという名の幽霊を追い払うことは出
来ないであろうとしている。
こうしてみると、SARSではないが、日本を遠巻きにしながら、各国のデフレ警戒レベルは、
より用心深く、より事前に、デフレの兆候を抹殺しようとする、デフレ過敏症に陥っているよ
うにみえる。
そして、日本は、いまやデフレ貧乏神のごとく、各国から、哀れみ、そして恐れられている。
かつて、ロンドンエコノミストのノーマン・マクレイは、日本の高度経済成長を「驚くべき日
本」「日本は昇った」などと絶賛したが、この記事を見ると、いまや、日本は世界の厄介者に
見ているようにも、うかがわれる。