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(回答先: ビル・トッテン氏:No.573 金持ち優遇税制で景気悪化 投稿者 あっしら 日時 2003 年 5 月 10 日 19:42:45)
森永卓郎 著 実業之日本社
「日本経済最悪の選択」
誰が日本をこんなにダメにしているのか?
小泉政権がすすめる二つの改革の暗い未来と改革のおかげで利益を得る人々
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(1)いっこうに進まない「官の改革」とものすごいスピードで進みつつある「民の改革」
世間にはあまり知られていませんが、小泉政権の改革は「官の改革」と「民の改革」の二つに分かれています。国民が圧倒的支持を持って評価したのは「官の改革」のほうで、「官僚支配を改め、民間経済を官僚が妨害しない効率の良い小さな政府作っていく」と初めて言い切った政権だったのですが・・・
ところが実は、その「官の改革」のほとんどが虚構だと言うことが、小泉内閣が発足して以来、現在までに分かった事実なのです。多くの政治評論家やエコノミストの小泉政権評価は「小泉首相は、ワンフレーズの口だけで実際には何もやらなかった」というものですが、しかしこの評価はコントロールされたマスコミのイメージのすり替えが成功したもので大間違いなのです。指示されたことを実行している小泉一人に責任を押しつけ、その影で政策を後押ししている自民党のロックフェラーの飼い犬や創価学会:公明党に「目」をむけるべきです。彼らも責任を問われるべきです。
小泉政権の押し進める「民の改革」とは何か?これは一言で言うとアメリカ型の「市場原理主義」に、日本の経済・社会を構造転換していこうということなのですからね。その施策は一見、自由主義経済の王道を進むが如き政策のようですが、その本質は「強者をますます強くし、弱者をますます弱らせる」ということです。この「民の改革が実は、ものすごいスピードで進んでいるのです。
その結果、日本の経済社会は金持ち役人が住みやすい世の中へとひた走っているとしか思えません。デフレ経済のなかで、一般サラリーマンは傷つけられ、経済強者や高級官僚・公務員などの既得権者だけがデフレのメリットを謳歌しています。この事態が進むと、やがて支配する者とされる者に社会階層が明確に分かれていくことになります。
■「郵政三事業民営化」の大嘘
小泉の出身母体は大蔵族(現在の財務省)ゆえに、旧大蔵省との長年の敵は郵政省だったのです。銀行や保険会社がすべて自分の支配下にあるのに、競合する郵便貯金や簡易保険が思いのままにならないことにずーといらだってきたというわけです。「郵政事業全体を民営化することによって郵便貯金や簡易保険を大蔵省(現在の財務省)の支配下に置きたい」が本当の狙いで、郵便貯金や簡易保険の民営化にだけ熱心で、もう一つの郵便事業には大きな規制枠をかけ、結果ヤマト運輸が参入を見送ってしまいました。そしてこの確執をアメリカに巧く利用された形跡があります。
また道路四公団の改革の成果としても、経過は紆余曲折があったように見せかけながら、いままで道路公団が建設することによって地元負担が不要だった高速道路の建設に一定の地元負担が課せられるようになっただけです。地元負担すなわち市民県民税の負担です。まさに大山鳴動してネズミ一匹です。
■「天下り廃止」は役人天国を作り出す矛盾
政官財の癒着を断ち切るためにもっとも良い方法が「天下りの廃止」です。退職後に特殊法人や公益法人を渡り歩いて、多額の給与と退職金を手にする。それが高級官僚の最大の利権ですので、天下りのポストが増えると共に無駄な財政支出がうまれてきます。当初小泉は天下りを禁止すると言っていたのですが、職業の自由を奪うことは出来ないと言う配慮?から天下りの禁止は見送られました。
ここで小泉がとったのは驚愕の方針だったのです。各省庁の幹部公務員が定年前に退職する「早期勧奨退職慣行」の見直しを指示。「早期退職慣行をやめて、役所のなかに定年まで抱え込め」ということになります。早期退職は民間企業への天下りする慣行で、政官の癒着の温床になってきた反面、官庁組織の若返りというメリットを持っていたのですが、キャリア官僚を定年まで抱え込むと、間違いなく“船頭多くして船山に登る”の図が展開されることになります。さらに年功序列で膨れあがった高い給料をいつまでも払い続け、しかも権力もいつまでも温存させるという、まさに役人天国が出現する可能性があります。
■勝ち組の民間給与が公務員の給与を決める?
勝ち組の民間給与が公務員の高給を隠し、公務員は一向にデフレの痛みを感じないと言った矛盾が生じつつあります。そのからくりが「人事院勧告」なのです。2002年8月8日人事院が国家公務員の給与を平均で2・03%引き下げるよう国会と内閣に勧告しました。同時に賞与も0・05ヶ月引き下げられたため、年収ベースでは2・3%の引き下げとなりました。これで改革が進んだと思っては早計なのです。
公務員給与は「民間準拠」といって、平均的な民間企業の水準に合わせて決められることになっています。具体的には、職種・役職・年齢などの属性ごとに民間企業の給与を調査し、おなじ属性を持つ国家公務員との格差を、公務員の人数で加重平均して官民格差を算出します。しかし最大の問題は、調査対象の民間企業が、企業規模100人以上かつ事業所規模50人以上に限られているので、ある意味で比較対照とされるべき中小企業は比較対象に含まれていないと言うことです。
■住宅金融公庫の改革だけが順調に?進む真相
全く進まない特殊法人の改革のなかで、住宅金融公庫の改革だけが異常なまでに早く進み、ほぼ完成に近づきつつあります。なんと住宅金融公庫は五年後に廃止されるのですから・・・
これは「一般市民が家を買えない世の中にしよう」という試みとしか考えられない矛盾が含まれています。具体的に見てみましょう。2002年度から既に改革の前倒しが実施されていますが、その一例をあげると「融資戸数の削減」です。融資戸数は2001年の55万戸から、2002年度は50万戸へ、さらに通常融資で上乗せして貸し出される「特別融資額」がマンションの場合、2001年の800万円から、2002年度は400万円と融資限度額が半減。その上にこれまでは物件価格の全額を公庫融資でまかなうことも可能だったのに、2002年度からは年収800万円以下の人は物件価格の八割まで、年収800万円以上の人は半分までしか借りられなくなってしまいました。
皆さんは今、低金利だから公庫の融資限度額が下がったのなら銀行から借りればよいとお考えでしょうが、世の中そんなに甘くありません。住宅金融公庫以外に「長期・低利・固定」のローンを出せる金融機関は存在しないと言うことを肝に銘じて再読下さい。銀行の変動金利型住宅ローンは、短期プライムレート連動型住宅ローンになっていますので、短期プライムレートに1%上乗せしたのが、住宅ローンの金利となります。今はデフレだから影響が出ませんが、将来インフレが起こったとき8−10%の住宅ローン金利を払えますか?3000万円の住宅ローンを借りている人は、年300万円の利子がかかります。月額25万円の高利払いです。その時点でインフレで給料が上がっていると思いますか?
まるで日本の銀行が、外資に食われている状態を想定したような改革になっている事に気づかれるはずです。住宅金融公庫の改革だけが突出する形で進行しました。どこからみてもおかしな改革です?
(2)急速に進む「民の改革」は貧富の格差を拡大させる。
「官の改革」は遅々として進んでいない状況なのに、逆に「役人が住みやすい国づくり」「金持ちが住みやすい国づくり」は、着実にというより急速に進行しています。
それは商法の分野で顕著に表れています。まず「金庫株の解禁」がインサイダー取引の温床になると言うことです。金庫株、すなわち企業が自社株を買うことです。自社株買いを悪用すれば、インサイダー情報を握っているのはその会社自身だから、画期的な新製品の発表前に自社株を大量に購入して、発表後に高騰した段階で売り抜けるとしたら100%勝てる勝負ができる。しかもその大もうけの甘い蜜を吸えるのは、一般の従業員ではなく、役員などの経営幹部ばかり・・・
さらにもう一つ。経営幹部や経済強者を有利にする商法改正が2002年4月に行われました。それは「ストックオプションの規制緩和」です。これは権力者の報酬を手厚くする制度です。いままでストックオプションの権利をもらえるのは役員と従業員だけでしたが、今回の改正で、取引先・顧問弁護士・経営コンサルタントという「経営の仲間達!」もストックオプションの報酬を得られる権利を獲得したのです。しかも2005年5月には何と、取締役の責任を制限する手続きを容易にする改革?がおこなわれたのです。株主代表訴訟が起こされたときに、一定の手続き(賠償金額を社内定款で予め決めておく)で取締役の責任を軽減(自己破産しなくてよい)することが可能になりました。まさに「金」はとるけど「責任」はとらないというアングロサクソン・システムに会社を変えてしまいました・・・
一方で労働者の権利は驚くべき速度で縮小しています。経営者の思惑で首切りをかなり自由に出来るようになりました。
元々わが国の雇用慣行は「期限の定めのない雇用契約は終身雇用である」と言う裁判所の判例に縛られてきました。特に整理解雇をする場合は、整理解雇の四条件と言うのがあり(1)人員削減がどうしても必要と言う客観的な理由が存在すること、(2)配置転換の実施など整理解雇を回避すべく最大限の努力を会社が尽くしていること、(3)解雇される従業員の人選が妥当かつ公平な基準で行われていること、(4)労働者や労働組合へ事前に説明し協議が尽くされていること、という厳しい四つの条件をクリヤーしなければ解雇は有効にならなかったのです。それに労働条件不利益変更の法理というものがあって、基本的には経営者が勝手に労働条件を悪化させてはいけないというのが、これまでの判例でずーと積み重ねられてきた雇用慣行でした。しかしながら昨今の不況を背景とした首切りが続出。組合は賃上げ要求の旗を降ろして経営者側が画期的勝利をおさめつつあります。
企業内で経営者が労働者の選別を強めるなか、企業自体も強い企業と弱い企業、つまり勝ち組と負け組への選別が始まったというのも小泉政権下で急激に進んだ事態ですね。なんとその先棒を担いで選別を進めたのは“銀行”なんですね。ここ10年ほど銀行はデフレ下で増え続ける膨大な不良債権を処理してきましたが、そこで弱り果てた大銀行が始めたのが「企業のランク分け」です。強い企業には1%台の低金利、7-8ランクの企業は4%台、9-10ランクに至っては7-8%の高金利を要求することになってしまいました。いままで銀行は、持ち合い解消にともなう保有株式の売却で含み益をだし、不良債権処理を続けてきましたが、さらに自社所有の保養所・グランド・社宅を売り、海外の金融子会社などの虎の子の海外資産まで売ってしまい、もはや銀行には簡単に売れる資産は残っていない状況まで追いつめられていたんですね。最近の株式市場での日経平均が8000円を割る事態となっては、利益をだす原資がまったく消え失せてしまったのです。
銀行が儲かっている大企業からではなく、儲かっていない中小企業から高金利で稼ぐという悪徳経済システムにいたるまで追い込んだ政府の経済政策が正しいとはとても思えません。強い企業だけ残れば、経済は活性化する、自分たちは生き残れるという大錯覚が最大の誤りですね。弱肉強食社会を作ると言うこと自体が、小泉内閣の描くグランドデザインであって、その影にみえる英米寡占勢力の狙いなんでしょう。
銀行はそもそもリスクを取ってはいけないと考えています。欧米のリスク高金利主義よりも日本の銀行の不動産担保主義は非常に妥当だといえるでしょう。銀行は預金者から元利保証で預かった資金を貸し出すのだから、絶対安全な運用をしなければならないはずです。銀行が集めた資金を為替やデリバティブといったカジノへ投資するのは言語道断ですね。
■一部の「勝者」と大多数の「敗者」に選別される四つの恐ろしい改革
★税制改革
金持ち有利の税制改革が貧富の差を拡大しているといえます。
小泉内閣の税制改革の四つの柱は
・「法人税の引き下げ」
・「相続税の最高税率の引き下げ」
・「消費税の益税解消」
・「各種人的控除の圧縮による課税最低限の引き下げ」
ですね。「法人税の引き下げ」では利益をたくさん出している企業に対して減税し、そのセット税制の「外形標準課税」によって赤字の弱い企業からも容赦なく税金を取り立てるという弱肉強食政策そのものです。石原慎太郎が何故「外形標準課税」を持ち出してきたか、わかりますよね。「相続税の最高税率の引き下げ」はもっとおかしい!現在でも相続税は5000万円プラス相続人一人に対して1000万円の控除があります。相続人が3人いれば、8000万円の控除がありますが、一般市民で8000万円の財産を残す人、即ち相続税の対象となる死亡者は5%に過ぎないことがわかっています。これも金持ち優遇政策以外の何ものでもない・・・「消費税の益税解消」にいたっては、売上3000万円までの零細企業に認められている消費税の免税措置を止めたり、仕入れ比率を実際の仕入額にかかわらず定率で申告できる簡易課税制度を止めたり縮小する事で、対象はすべて中小・零細企業です。(怒!)配偶者特別控除の廃止・縮小も一般サラリーマン層だけをターゲットにしており、金持ちは税金対策で配偶者に給与を支払っているので打撃を受けないのです。
一番大きな問題は社会保険料です。今までは毎月の給与の8.5%(労使折半)とボーナスの1%(うち0.3%が本人負担)だったのが、2003年4月から賞与も含めた総報酬に保険料が課せられます。保険料率は厚生年金13・58%、政府管掌健康保険が8・2%になります。負担は本人と会社の折半ですが、年収700万のサラリーマンモデルが支払う所得税・住民税は年間32万円。ところがこの所帯では改正によって社会保険料は152万円と税金の5倍近い負担となります。184万円が給与より天引きされ、516万円が手取りとなる計算です。社会保険と税金は違うとお考えでしょうが、実質は同じものです。
★食の安全
生産性の上昇のなかで食の安全性が犠牲にされています。経済とは直接関係がないと思われるでしょうが、「食」の世界でも弱肉強食は進行しています。昨年企業の倫理感の欠如問題で消費者の食品不信が高まり多くの企業が倒産の憂き目にあいましたが、普段から厳しい対応・法律で縛っておけば防げた可能性は高いのです。食品問題の恐ろしいところは、健康被害との因果関係が極めて立証しにくいことです。問題のある食品の健康被害は、長い時間をかけて蓄積していきます。私達は一種類だけの食品を食べているわけではないので、何年後、さらには何十年後に健康被害が表れたときには、どの食品が原因か、全く解らないのが実体です。さらに言えば、人間の記憶というものはいいかげんなものだから、たとえば「一週間前の昼食は何を食べましたか?」ときかれても大多数の人は答えられない。ということは少し時間が経ってしまえば、ほとんど証拠が無くなってしまうと言うことを肝に銘じてください。ゆえに食品は、企業の完全犯罪が成立し易い分野なもんですから、企業はバレなければよいという感覚で平気で嘘をつき、商品を供給し続けるのです。
なぜ?危険をはらむ食品が増えてきたのか?それは明らかに生産性の向上という経済面の問題です。効率のために食の安全性が犠牲にされてきたといえるでしょう。これこそがアングロサクソン型経済システムの影の部分ではないでしょうか?その目的は免疫を落とすことか・・・IWC(国際捕鯨委員会)での決議や黒マグロの漁獲制限など、一連の動きのなかで、彼らの本音は「日本人に肉以外の独自のタンパク源を持たせたくない」ということなんんでしょう。オーストラリアでは毎年300万頭のカンガルーが間引きされている現実を直視すれば、鯨とカンガルーに何の違いがあるのでしょうか?
このままでいけば、庶民は危険な食品を食べ、金持ちは金に飽かせて安全な食品を食べる。その結果、金持ちは長生きし豊かな老後を謳歌するが、一般庶民は長年の食生活で体内に蓄積された危険物質のせいで早死にしてしまう。つまり60歳くらいまでは全員が働いてくれたほうが都合がいい。危険な食品を食べたからといってすぐに死ぬわけではないので60歳ぐらいまでは問題なく生きられるでしょう。そして定年まで働かせて置いて税金と年金保険料をしっかり取っておく。そして一般市民は定年で、会社から引退するとしばらくして死んでしまうという図式です。
★医療改革制度
医療制度改革は弱い者いじめの改革だ!2002年7月患者の負担増を柱とする健康保険法改正が国会で成立しました。70歳以上の高齢者、サラリーマン本人の医療費の自己負担が重くなります。サラリーマンが窓口で支払う自己負担は、本人で2割、家族の外来で3割・入院2割でしたが、すべて3割負担となってしまいました。平均するとサラリーマンとその家族で、一人あたり年4000円、高齢者で年8000円程度と厚生労働省は試算していますが、程度の問題ではなく、確実に「弱い者イジメ」だと言うことが問題なのです。
しかし今回の負担増の本質は3割負担ではなく、「高額医療費の負担限度額の引き上げ」が大問題なのです。これまでは自己負担が月間63000円を超えた分について、自動的に健康保険から払い戻される仕組みになっていました。今回の改正で、72300円と1割引き上げられました。つまり高額医療費がかかる疾病によって家計が苦しくなるときに負担増・・・70歳以上の高齢者についても事情は同じです。高齢者が外来で医療機関にかかった場合、これまでは1割の自己負担でしたが、其の限度額は一ヶ月3200円でした。つまり月3200円さえ払えば何度でも医者にかかれたのですが、この限度額が撤廃され、2002年10月からとりあえず完全な1割負担が求められることになりました。高齢者の医療負担は高いから、大変な金額の負担になります。お金がないから医者にいけない高齢者が増えることは誰しも容易に想像がつくはずです。それを敢えて強行したところに裏の意図が見えてくるのです。
社会保険料の計算では給与額そのものに保険料率がかかるのではありません。月給を一旦標準報酬月額に読み替えてから、保険料率を乗じて保険料を算出するのです。2003年4月からは標準報酬月額に150万円の上限が設定されるのです。賞与が150万円の人も、500万円の人も、2000万円の人も、健康保険料や厚生年金保険料の計算では、賞与は150万円とみなされるのです。賞与が150万円の人は規定通り21.8%ですが、2000万円の人は1.6%となってしまう。これを金持ち優遇と言わずして何と言うべきであろうか!さらに政府与党社会保障改革協議会が決めた医療制度改革大綱には、保健医療の分野を限定的にしておき、金のかかる高度医療は自由診療にすることによって医療財政を立て直すという改革が進行しています。そうなると自由診療を徹底し、医療保険を民間に任せたアメリカで何が起こったか?実に4000万人の低中書得者が高額の負担が必要な医療保険に入ることさえできなくて、病気になっても病院にいけない人々はNPOが運営する病院で行列をつくって、そこそこの医療しか受けられないのに対して、最先端の医療を受けて長生きできるのはお金持ちだけというアメリカ型の医療制度への改悪が進行しつつあります。このような“地獄の沙汰も金次第”と言う社会が本当に望ましい未来をつくるのでしょうか?
★教育改革
「ゆとり教育」こそが平等社会を根底から覆す元凶なのです。いくら弱肉強食の社会でも敗者復活のチャンスがあれば、まだ許せるのですが、それさえなくそうとしているのが「ゆとり教育」だと考えています。遠山文部大臣や多くの有識者が反対したのにもかかわらず「ゆとり教育」は確実に進んでいて、公立の小中学校が完全週休二日制に移行してしまいました。ところが多くの私立受験校はこれには追随しなかったのです。
公立校では完全週休二日制によって授業時間が30%も削減されてしまいました。当然学力レベルは落ちざるを得ない。本来「3.14」であるべき円周率が「3」という虚構に平気で取って代わっています。音楽授業というのはきちんと楽譜と音楽理論を教えなければならないのに、ポップスを取り入れて子供の歓心を買おうとしていますし、国語の教科書には秋元康の文章が入り、夏目漱石が削除されてしまう・・・子供達やその親達は喜びますがそれが教育レベルを引き上げることにはつながらないのです。
つまり物事の本質を包み隠すように子供達への迎合がみられ、虚構を教えそれを頭に刷り込むことによって、結果的に「ゆとり教育」が階級の固定化を決定的にしてしまうことになるのですが、誰も気が付かない・・・・いや気が付かないフリをしています。
金持ちの子供は「お受験」で小学校から私立へ通い、公文教育や進学塾で十分な教育を受けられるのに対して、一般庶民は「ゆとり教育」の下、虚構の義務教育しか受けることが出来ないと言う教育格差が、知らず知らずのうちに生じてしまうのです。それは就職の段階で決定的に人生を左右することになります。いままでそれなりに勉強して大学に入れれば、誰でもチャンスが与えられる平等な社会だったのですが、「ゆとり教育」の下では貧しい家庭の子弟が、国立・銘柄大学に入れるチャンスの芽をつみ取る教育システムということになります。つまり高級官僚やエリートの仲間には入れてもらえないどころか近づけもしない世の中が来たということになります。
以上、見てきたように小泉内閣の構造改革はアングロサクソン型システムへ猛烈なスピードで進んでいます。実力社会と言われながら、実際にアメリカ経済を支配しているのは「WASP=ホワイト・アングロサクソン・プロテスタント」というエリート達で、このアメリカ型のシステムを「素晴らしい」と思っている日本人が、日本の支配者達にも相当数存在します。高級官僚や日銀、そしてそれを支える御用学者がアメリカに留学して、エリート達の豊かな生活を見てきて、それと同じ仕組みを日本にも持ち込もうとしているのでしょう。メイドがいて、ドライバーがいて、青い芝生とプールがあって、白いお城のような豪邸に住んでいる人たちの暮らしを目のあたりにして「自分たちにもこの生活が手に入るんだ」と思ったのにちがいない、なんと言う錯覚だ!
これ以上構造改革を進めて弱肉強食社会にすれば、エリート層が豊になるツケを庶民に押しつけるという改革が、実は「民の改革」の正体だということがわかるでしょう。