現在地 HOME > 掲示板 > 国家破産24 > 387.html ★阿修羅♪ |
|
(回答先: ▼28日のポイント@/1−3月期の国内景気は、予想以上に底堅い [Yen Dokki!!] 投稿者 あっしら 日時 2003 年 3 月 28 日 23:39:47)
UBSウォーバーグ証券会社・経済調査部チーフエコノミストの白川浩道さん(Hiromichi Shirakawa/ Chief Economist, UBS Warburg (Japan) Ltd.)は今日のポイントとして、「予想以上に底堅い1−3月期の景気 」を挙げる。1−3月期の景気の評価とインプリケーション(含意)として以下の4つ(ほぼ原文通り)を挙げるーー。
<1:アジア4カ国向け輸出金額は前年比+39%> ネット外需は、輸出が予想以上に堅調であるため、予想比上ぶれている。高い 輸出の伸びに貢献しているのは、引き続き、アジア向け輸出である。中国、韓国 、台湾、香港の4カ国・地域で輸出全体の3割強を占めている。2月における、これら4カ国への輸出金額は前年比+39%(1月は+18%)に達した。米国向け のスローダウンが鮮明になる中で、アジア向けは、鉄鋼、化学といった素材関連 に加え、産業機械、自動車(部品を含む)等が好調を維持している。他方で、輸 入については、機械類の輸入が減少する傾向を示している。これは、製造業の機 械投資が循環的にピークを迎えていることの証左と捉えられる。
<2:消費水準の大幅切下げも現状では想定しにくい> 個人消費は、昨年10月以降、調整局面入りしているが、調整圧力は想定比弱 い。家計調査でみると、個人消費の調整圧力は昨年の11、12月と大きく高ま った後、1、2月は落ち着きを取り戻している(今日発表の2月の勤労者世帯・ 実質個人消費の前月比は−1.1%となったが、1月に+3.6%になったことの反動であり、1−2月平均は昨年10−12月平均対比でみてほぼ横ばいの水準にある) 。確かに1−2月はインフルエンザが猛威を振るった関係もあって、医療関係の 支出が増加した面はあるが、衣料品、自動車関係、通信関連が堅調であり、全体 としても、想定比悪くないとの印象は否めない。1−2月の個人消費の底堅さは 、百貨店やスーパーの売上統計において前年比マイナス幅が縮小していることか らも確認される。こうした個人消費調整圧力の弱さは、個人の所得環境が循環的 に改善していることが背景になっているものとみられる。すなわち、個人の所得 環境の最悪期は昨年夏場であり、その後は、企業のキャッシュフローが製造業を 中心に回復する下で、個人所得も回復基調にある。雇用者賃金、雇用者数の前年 比マイナス幅がともに縮小しているのである(今日公表された労働力調査によれ ば、非農林業部門の雇用者数前年比減少幅は、昨年5月の98万人から2月には11 万人にまで縮小)。しかし、4−6月、7−9月にかけては、輸出のピークアウ トを背景にした生産や雇用への下押し圧力が再び高まるものとみられることから 、個人消費がこのまま下げ止まることは考えられない。ただ、不良債権の最終処理加速による企業倒産の増加が予想されないため、消費者の雇用不安が大きく強 まるシナリオは描けない。消費水準の大幅な切り下げが生じる可能性も現状では 想定しにくい。
<3:設備投資は年内は冴えない展開> 企業設備投資も1−3月期は横ばい圏内。企業の設備投資については、10−12 月期以降、製造業の循環的な回復が生じているものとみられる。こうした動きは 、4−6月期までは継続することが予想される。ただ、製造業の設備投資が年央 以降も回復を続ける公算は低い。生産活動のピークアウトがその背景である。他方で、非製造業の設備投資については、年内は底這い状態が継続する可能性が高 い。非製造業の機械投資の主力であるIT投資の立ち上がりにはもう2−3四半期要する可能性が高いこと、構造物投資はこの1−3月期で一旦ピークアウトする 可能性が高いこと、が背景である。設備投資は年央から年内は冴えない展開とな るものと予想する。
<4:経済政策のサプライズは当面望めない> 足元の想定外に堅調な景気を背景に、経済政策のサプライズは当面望めない。 政策当局者にとっての関心は、当然のことながら、株価の低迷である。しかし、 他方で、実体経済が少なくとも足元では予想外に堅調な動きをみせていることか ら、景気の底割れリスクを簡単には議論できない状況にある。日銀の3月短観も 景気の大幅な悪化を示唆するものにはならないであろう(当社では、ヘッドライ ンの大企業製造業の業況判断DIについては−8と、昨年12月から1ポイントの改善を予想している)。株価低迷と実体経済の底堅さのギャップをどのように埋め て行くかが経済政策の中心的課題である。逆に言えば、政治家や政策担当者にと っては、株式市場の需給改善策にどうしても目が行くことになるであろう。そして、その意味では、日銀によるETF購入論はくすぶり続けるであろう。しかし 、日銀によるETF購入は、本質的に緊急避難措置あるいは非常時措置であり、 銀行の過小資本問題の蒸し返しを伴うため、簡単には前進しまい(実現可能性は 幾分上昇しているが、年内を展望してもその確率は30−35%か)。銀行問題 の蒸し返しは、雇用不安を再び拡大させ、日本経済の安定を損なうからである。 従って、経済政策面では、基本シナリオとすれば、やはり、03年度補正予算の 早期導入を想定するしかない。これは、基本的には政治的なリップ・サービスの 色彩が強いとみられるが、それでも、本予算の前倒し執行とともに、景気を下支 えることになるであろう。現状では、経済政策には、ネガティブ・サプライズも 、ポジティブ・サプライズも想定できない。