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★戦後にらんで業種分析、素材など関心――日経金融スクランブル
24日の東京株式市場で日経平均株価は大幅続伸し、5日以来となる8400円台を回復して取引を終えた。イラク戦争の短期終結期待が強まったのを受けて米国株相場が前週末まで8日続伸。これを受けて東京市場でも買い安心感が広がった。外国為替市場で一時1ドル=121円台まで円安が進んだのも支援材料に働いた。
「欧米株相場があれだけ上げれば、日本株も少しは戻らないと……」。市場からは異口同音にこうした感想が漏れていた。直近安値からの上昇率を比べるとダウ工業株30種平均が約13%上げているのに対し、日経平均はこの日の大幅高でもまだ約7%。出遅れた日本株の水準訂正が進むとの見方が幅広い銘柄に買いを促し、東証一部の値上がり銘柄数は前週末に続いて1300を超えた。
米英軍がイラクの首都バグダッドにいよいよ迫るなど戦況が急展開するのをにらみつつ、株式市場では早くも戦争の短期終結を前提とした動きが出ている。証券会社などが投資家向けに作成するリポートで1991年の湾岸戦争の際などにどんな業種の株価が上げ下げしたのかを振り返る「セクター分析」がその代表例だ。
クレディ・スイス・ファースト・ボストン証券の市川真一ストラテジストは、開戦前の17日に「湾岸戦争時を振り返る」という題名のリポートをまとめた。湾岸戦争開戦からおよそ2カ月間の業種別東証株価指数の動向を調べた内容だ。
市場全体が反発する局面で最も上昇率の大きかった業種は海運や紙・パルプ、不動産など。「開戦直後は自動車などの輸出関連業種に上げが目立ったが、主な輸出先である米国景気が厳しかったこともあって次第に素材株などの反発が目立った」という。今回のイラク戦争を受けては素材セクターの比重を高めるよう提言している。
一方、メリルリンチ日本証券は20日付のリポートで、湾岸戦争時のみならずイラン・イラク戦争や同時テロ後の米軍によるアフガニスタン攻撃など、過去に起きた複数の戦争それぞれを対象にセクター分析を実施。「開戦後は精密や電機株が総じて堅調だった」としている。湾岸戦争時と比べて今回は「プラントなどで復興特需を見込むのは難しいのでは」という。
大和総研の三宅一弘チーフストラテジストが注目するのは国際優良株だ。過去との比較よりも戦後をにらんだ景気見通しなどに基づく。「戦争が短期終結し米国景気の落ち込み懸念が小さければ、米国株との連動性が高い国際優良株が注目される」という見立てだ。これ以外に原油価格の下落が業績にプラスに働く可能性のある素材株や、相場全体に連動しやすい証券株なども物色される可能性があるという。
先を争うように「戦後」をにらんだリポートが出始めた背景には「投資家が求めている」ことがある。メリルリンチ日本証券の菊地正俊シニアストラテジストは「戦争がほぼ不可避と受け止められた先週あたりから問い合わせが増え、リポートをまとめることにした」と話す。戦争が始まっても圧倒的な軍事力の差で短期終結のシナリオを描く投資家がもともと多く、開戦がきっかけになって株価が実際に反発すると雪崩を打つように「戦後有望な業種は何か」という関心につながっているようだ。
もちろん「バグダッドを主戦場とする戦闘はこれからで、すぐに戦争が終わると考えるのは尚早」と警戒する声も根強い。仮に戦争が短期間に終了したとしても「その後にイラクの民主化をどうやって実現するのかという難題が控えている」(三菱証券の藤戸則弘シニア投資ストラテジスト)のも確かだ。
先回りは株式市場の常とはいえ、前のめり気味の今の市場の銘柄選択には湾岸戦争時などと日本の置かれた景気、財政状況があまりにも異なることがどれだけ反映しているのかと疑問符も付く。「前例はあくまで前例」とみておいた方が無難かもしれない。(水口博毅)