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バグダッド占領前後の数日の動きは、予想外の不可解な現象なので、憶測が盛んに行われることになる。とりあえず、あっしら氏の提示された「不可解」を並べてみます(要するにイラク側の用兵の不合理と米英の対応です)。
1. イラク側の戦術の異常さ。
1-1. 首都市街戦がない。
1-2. 北部に無用の戦力を控置。
2. 米英側の戦術の異常さ。
2-1. 空爆が少ない(特に北部)。
2-2. 地上軍侵攻が急速。
3. フセイン以下の潜伏先への疑問(占領軍関与の疑い)。
3-1. 首都占領直前まで生存して士気を鼓舞。
3-2. 首都占領直後に突如消息不明。
などです(申し訳ありませんが引用しません)。同氏は、これらから、「ブッシュ・フセイン合作説」を仮設としています。
ここからはあっしら氏の論を離れます。1からはイラク側に合理的な用兵の意思または能力がないことが想定されます。これを説明するための仮説は、以下のようなものでしょう。
1を説明するための作業仮説
A. 合理的用兵の能力喪失(イラク側が)
A(1). イラク指導者の死亡等(心身の故障も含む)
A(2). 通信手段の破壊
B. イラク指導者の裏切り
などでしょう。一方、2からは米英側がイラク側の不合理な対応を予期していたように感じられます。実際には、AまたはBを知っていた、あるいは知らなかったかによって、次のいずれかになります。
2を説明するための作業仮説
X. 航空偵察・通信傍受、内部情報提供者などの手段でAを確信(Aと結びつく)
Y. 英米がイラク指導者の裏切りの相手方であった(Bと結びつく)
Z. 不合理な戦術の結果、偶然にもイラクのでたらめ用兵に助けられた。
ここで、Xは指導者以外の情報提供者の存在、あるいは特殊部隊による直接の殺害なども含まれます。この段階では、A-XまたはB-Yの組み合わせがいずれもあり得ます。A-Xの場合は、「A(1)を確信して攻撃したらA(2)であった」というケースも含まれます。Zは、Aと結びつきますが、あまり現実性がありません。
ここまでは、特定の個人を問題とする現象ではありません。「イラク指導者」をフセインとした場合、3の評価が問題と思います。3を説明し得る可能性の高いシナリオとしては、(i)「ブッシュ・フセイン通謀」説のほか、フセインが実権を失っていた場合は、(ii)「フセイン以外の実権者の裏切り」もあり得るでしょう(いずれもB-Yに属する)。
米英側の発表やマスコミの論調は(もちろん信用していません)、(iii)「首都占領直前にフセインが死亡して米英がそれを確信(A1-X)」、(iv)「通信手段の破壊成功を確信(A2-X)」ないし(v)「イラク側の用兵能力喪失と米英の盲進(A-Z)」説でしょうか。また、米英側が(i)説を認める気配はありません。また、(iii)説は占領直後にトーンダウンしていますが、(ii)説は一貫して主張しています。
私としては、フセインの生死そのものへの関心はありません。今後の展開としては、「フセイン派」の残党狩りと称する民衆弾圧が強まると予想しております。米英側の不合理(上記2)を考えると、(v)説はちょっとナイーブに過ぎます。「おかしい」と思うのが健全な理性です。
そう考えると、(i)説または(ii)説を隠蔽するために米英が(iii)説ないし(iv)説を垂れ流している。あるいは(iii)説ないし(iv)説が実情に近いか。いずれかと考えるべきでしょうか。前者も仮説としては魅力的ですが、その動機が現状では明確ではありません(残党狩りのためにフセインを生かしておく必要はない)。