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シリアパイプラインと「イスラエル」問題
http://www.asyura.com/0304/dispute9/msg/957.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 4 月 15 日 21:02:09:

(回答先: シリアを大横断する、モスル(北イラク)ーハイファ(現イスラエル)間に眠れる石油パイプラインがあった!シリア侵略戦争で勝利しこれを復活させる序章が、イラク侵略戦争の位置づけだった! 投稿者 こふきいも神社神主(こふきいもをサービスしています) 日時 2003 年 4 月 15 日 13:05:00)


こふきいも神社神主さん、こんばんわ。

貴重な情報をありがとうございます。
ヨルダンを横断して「パレスチナ」へというパイプラインのことは知っていましたが、シリアを横断するコースは知りませんでした。
ルート的にはヨルダン経由よりも近道のようですから魅力ですね。


新しい情報を元に見解を書かせていただきます。

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● 米国政権による“シリア叩き”の目的

http://www.asyura.com/0304/dispute9/msg/927.html )で、「シリアに対する恫喝は、イラクにアラブ義勇兵が流れ込んでくることをシリアに抑制させることや、シリアに国際社会の目を引き付ける陽動作戦が目的」だと書きましたが、それに加えて、ヒズボラやハマスそしてイスラム聖戦など反シオニズム闘争組織への支援をやめさせることや、自主的に「近代化」の道を選択しろと唆す目的があると思っています。

(アサド政権もアラブ近代主義を基礎にしているので、米国政権が求める「近代化」にそれなりに近い位置にあります。財政難の折り、戦争なしで目的を遂げられるのが米国政権にとっても好ましいことです)

イラクをこてんぱんに打ち負かしたと国際社会が判断していると錯誤している米国政権が、軍事力をちらつかせて気に入らないことをやめさせようとしたり、戦争なしでの目的実現をはかっている政治的言動だと見ています。

“シリア叩き”に走った動機は、シリアのアサド政権が「イラク侵略戦争」で唯一「イラク国民支持」を打ち出した国家であったことが癇に障ったからだと推測しています。
シリアは、同根のバース党同士でありながら、79年のフセイン政権誕生以来イラクと疎遠な関係になり、国交も20年間途絶えていましたから、フセイン政権支持ではなく「イラク国民支持」であったことは間違いありません。

シリア政府が現段階までの「イラク侵略戦争」をどう評価しているかわかりませんが、フセイン政権の対応ぶりに尋常ならざる評価をしていることは確かだと思っています。
政治支配者ですから、国難にあたって政治支配者がどのような対応をすべきかはよくわかっているはずです。
(米国の空軍力がとてつもない脅威だと見ているのは間違いないでしょうが、地上戦闘力はどう評価しているでしょう?)

中東全域の「近代化」が米国政権(世界支配層)の目的だと考えていますから、シリアも当然標的の一つですが、資源(お金)絡みで考えたとき、それほど優先度が高いとは思えません。
どちらにしても、旧フセイン政権の権力機構を傭兵化したり服属させたかたちでの“イラク平定”ができない限り、シリアに限らず他の国を正面から攻撃する余裕はないはずです。
“イラク平定”と並行して進められるのは、南部シーアの動きを利用したイランへの謀略的攻撃です。シーア派を分裂状態にしたり、シーア派が反米闘争の主力になったりすれば、イランが介入したり介入したくなる状況が生まれます。
そして、それを言い訳にして、傭兵化したイラク兵力をイランに送り込むことも可能です。
(イランは中近東で最強の軍事インフラを持っているというご指摘には同意します)


シリアも、イラクの反米闘争に参加しようとするアラブ義勇兵の通過国ですから、それをおおっぴらに認めていると、同じような状況が生まれる可能性があります。
そのへんはシリア政権もわかっているので、できる限りアラブ義勇兵がイラクに入らないような対応をとると見ています。
このような動きがはっきりすれば、“シリア叩き”も収まると思います。
シリアのアサド政権がフセイン政権と同じ米英のエージェントでないかぎり、正面からのシリア攻撃はないと予測しています。(その前にシリアがぐちゃぐちゃになる謀略を仕掛けるはずです)


表立っては出てきていませんが、サウジアラビア支配層などにも政治的恫喝が行なわれていると推測しています。


● パイプライン問題

イラクの北部都市モスルから、シリアを大横断して、現イスラエルの都市ハイファにつながるパイプラインの存在ですが、戦争を仕掛けてることでは、その“復活”はできないと考えています。

戦争を通じてシリアを支配しても、ゲリラの格好の標的になるパイプラインを安全に稼動させることはできません。

これについては、タリバン勢力がカンダハルを無血開城したときに書いた『ブッシュ政権はアフガニスタンでの戦争に敗北した』( http://www.asyura.com/sora/war5/msg/565.html )を参照してください。


シリアを横断するパイプラインを再開させて稼動させるためには、戦争ではなく政治交渉を通じて行なう必要があります。

そして、シリア政府がそれを認めるだけではなく、ヒズボラなど反シオニズム武装勢力の“承認”もしくは、それらの破壊活動を抑え切る力がシリア政府やパレスチナ自治政府になければなりません。

>(イスラエルがなぜ米英石油メジャーから石油をしていないのか、理由が分からない
>が。ロシアのほうが単に値段が安かったという理由が最大だろうが)。

これは、イスラム諸国のいわゆる「対イスラエルボイコット」のせいではないでしょうか。
産油国と石油メジャーのあいだには、イスラエルには自国産の原油を販売してはならないという契約があると思われます。

● 米国中東戦略に対するイスラエルの立場

「大イスラエル主義」の実現や米国が成し遂げた成果の分け前が欲しいとイスラエルが考えているとは思っています、中東の動乱がイスラエルに及ぼす影響の大きさを憂慮しているとも思っています。

「石油を喉から手が出るほどほしいイスラエル」でも、自分のものではなくどうせひとから買う原油がパイプラインで送られてくることに絶対的な執着はないと見ています。

現在のイスラエル政権は、「パレスチナ」の現状で“平和”が訪れることを第一義的に志向しているはずです。
端的には、自治区内の植民地(入植地)をわずかばかり削る程度でパレスチナと和平合意に達し、ハマスやイスラム聖戦といった武装闘争勢力は、パレスチナ治安警察で責任をもって取り締まって欲しいというものです。
そして、そのような取締りがパレスチナの内戦状況につながったら、それを好機として全面的な侵攻に踏み切り、ヨルダンなどに追い出そうと考えているかもしれません。


イスラエルの立場に関する見方については、次の書き込みを参照してください。


『イスラエルがイラク攻撃を嫌うわけ』
http://www.asyura.com/2003/dispute8/msg/317.html

『パレスチナさえ“制御”できないシオニストに「大イスラエル主義」を現実化する力はありません』
http://www.asyura.com/0304/dispute9/msg/172.html

『「ネオコン」と「大イスラエル主義」』
http://www.asyura.com/0304/dispute9/msg/175.html


● その他

>ロシアがなぜ、執拗にイラク側に立っていたのか。各種の利権があるせいなのだろう
>が、このパイプラインの復活でイスラエルとの石油売買が一切なくなる、という利害
>関係にあることはこのようにして明らかになったといえるだろう。


ロシアがイラク側に立ったのは、90億ドルとも言われる債権やイラク原油に対する権益だと推測しています。

ヨルダンを横断するパイプラインでさえ安全に稼動できないはずですから、ロシア政府も、シリアルートのパイプラインが復活することはないと判断していると推測します。

原油に関してイヤなのは、米国がイラク・イランの原油まで支配下に置くことでしょう。
一昨年から米国はロシアと原油輸入の拡大で合意していますが、イラク・イランの原油までが米国の支配下に置かれると、ロシアの交渉力は大きく低下することになります。

これも、イラク攻撃に反対した大きな理由だと思っています。

>イスラエルと米英の利益は完全に一致しており、米英の中近東制作をいわばイスラエ
>ルが乗っ取って誘導している面は否めないだろう。米議会は、イスラエルロビーの圧
>倒的な影響下にあることだけは、否定できない事実なのである。

シオニストは世界支配層(国際金融家)の駒だと見ています。

イスラエルが存在していることで、アラブ諸国に4次の戦争を強いただけではなく、それへの対応で政治的混迷を生み出すことに成功しています。
分裂と対立を通じた個別支配が、世界支配層(国際金融家)の伝統的なやり口です。

イスラエルが存在していなければ、アラブ諸国はもっとまとまりを達成していたはずです。まとまったアラブ世界よりも、分裂したアラブ世界のほうが制御しやすいことは間違いありません。
(現在は、米国的価値観と制度でアラブ世界をまとめようとしていますが...)


世界支配層(国際金融家)と言わず、米国政権が資金援助をしなくなるだけで、イスラエルは自滅に向かいます。
そのような事態を避けるために、イスラエルロビーが積極的に活動し、世論操作も活発に行なわれていると見ています。

世界支配層(国際金融家)が、イスラエルが“癌”であると認識した時点で、イスラエルは見捨てられると予測しています。
(世論操作でそのような方向にもっていくこともできます)

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