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(回答先: イラク大衆は、宗教選択の自由さえ確保してくれるなら、親米政権を受容してしまうのではないか。 投稿者 文化的視点より 日時 2003 年 4 月 10 日 01:11:45)
「アメリカカルチャー、アメリカンライフスタイル」あるいは「アメリカ的な価値観」を「自由」と直結させる思考、そして、「宗教選択の自由」という単語が使われたということに対し、興味深く読ませていただきました。
前者は、「アメリカンライフスタイル」の内容を具体的に書いておられませんが、揶揄した表現で申し上げると、何十年か前の家電メーカーの宣伝かハリウッド映画のシーンを連想させられます。アメリカが口にする「自由」が、イラクの各家庭に家電製品やアメリカ車でも無料配布することをご想像いただいているなら、何をやいわんですが(現在は爆弾を無料配布しています)、アメリカの経済圏に組み入れるという点では(帝国主義的発想をスマートに表現したものです)、アメリカ人の戦争指導者の思考にも近いと思います。もっとも、わざわざ戦争をしなくても、すでに何十年もこの点での侵略は相当に進んでいるように見えます。そして、これに抵抗する原理主義者、民族主義者との間に、流血が続きそうです。
後者は、アメリカの戦争指導者が、考えもしない言葉でしょう。西欧社会は、キリスト教の普遍化を通じて「信教の自由」を達成してきたキリスト教の単一宗教社会です。「信教の自由」の内実は、内心の信仰と宗教活動の自由(宗教儀式と布教活動の自由)と考えられているようです。「宗教選択の自由」という発想は、宗教選択を個人レベルの問題とする意味で、その内実を当然としつつ、言葉自体がちょっとあり得ないと思います。英国国教会をかかえるイギリスとイスラム教の部分社会もある多民族国家のアメリカで相当の違いがありますが、世俗の政治権力は、宗派に対する中立性を求められることはあっても(宗教はそれゆえに「文化規範」あるいは「道徳規範」の外見を帯びる)、宗教に対する中立性はありません。そして、これは「異宗教の許容」と両立します。(この点では、イスラム教単一社会であるアラブ圏と同様)。
ファトワの偽造と大量の反フセインビラを作った侵略軍も、反イスラム宣伝ないしキリスト教など、非イスラム宗教の布教を行う形跡はありません。「神」や「十字軍」を口にしますが、自軍兵士の士気向上のためです。