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(回答先: Re: 説得的根拠があれば学説・判例などご教示下さい。一緒に告発したいです。 投稿者 バームクーヘン 日時 2003 年 4 月 07 日 19:35:19)
日本刑法の解釈を議論する場でもないと思いますから、ごく簡単に説明します。荒唐無稽でなく、適切な時期と方法によっては、政治的効果があり得ると考えているだけで、告発状や弁論要旨レベルの議論ではありません。
刑法の属地主義(刑1以下)の適用の問題ですが、本件では、実行正犯の行為が国外で行われていることに争いはないでしょう(行為、中間の因果関係、結果とも国内でない)。そうすると、共犯の本質論になりますが、「幇助犯は基本構成要件の修正形式(である別個の構成要件)」などと割り切ってしまえば、その幇助行為を実行行為として、その実行地や罪数を考えることによって、積極説の結論が簡単に出せます。しかし、これだけでは説得力がありません。
共犯従属性説の枠組みで考えるなら、「属地主義によって日本刑法の適用が排除される場合に構成要件該当性(違法性etcも)を観念し得るか」という問題で、最高裁レベルの判例はないと思います。肯定説では、記憶に頼りますが、平野龍一があったと思います。「正犯者の行為が行為地法によっても犯罪であるときに限り国内の共犯者を処罰することができる」などという結論になっていたと記憶しています。
下級審では、よく教科書にある「実行正犯の行為地がすべての共犯者の犯罪地となる」があります。事例を見ていませんが、私見と反対で、おそらく本件のような国外の幇助犯処罰を消極とした判例でしょう。もっとも、この判例自体は、罪数などでの従属性を弱めつつある判例の流れから考えると、過去のものになりつつあると考えます(そうでないとしても、小泉は日本人なので、属人主義を適用すれば別の結論か)。